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2部   科学技術人材
第8章  需給における課題
4  才能の開発
(4)  需給対策の総合化


最近のめざましい技術革新は,わが国の産業構造を大きく変革したが,またこれによつてもたらされた経済発展が,同時に学歴別にみた労働力の供給構造を大きく変化させつつある。

第8-4図 にみられるように,中学卒業者の高校進学率は戦後徐々に上昇してきたが,とくに昭和36年次頃から急速な上昇傾向を示し,昭和39年次には70%が高校に進学している。

さらに,これが3年間の高校課程を終えた後の高等教育への進学率をみてみると,同様に昭和33年次中学卒業,すなわち昭和36年次高校卒業の年次から高等教育進学率が上昇傾向をみせており,昭和35年次中学卒業,すなわち昭和38年次高校卒業者の高等教育進学率は約16%となつている。高等教育進学率は,世界的にも上昇の傾向にあり,最もこの率の高いアメリカのそれが1963年に38%に達していることを考慮すると,わが国における高等教育進学率も今後かなり上昇することが考えられる。

これと同時に考慮しなければならないことは,生産年令人口の増加基調の変化である。

第8-4図 中学校卒業後の進学状況の推移

第8-5図 にみられるように,生産年令人口への流入量は,ベビーブームの頂点が現在すでに生産年令に達しており,今後は昭和50年頃まで急速な減少をたどることとなる。その後はやや増加の傾向をみせるが,ほとんど横這いとなるにすぎないことが推計されている。このため,現在非常に不足を訴えられている若年労働力は,今後さらに一層不足の拍車をかけられることになり,労働力は高年令化することとなる。また前記した進学率の上昇によつて,若年層の労働力は学歴構成においては高度化するが,労働力化は違れることとなるであろう。

第8-5図 年令別の人口の推移(昭和30年〜昭和80年)

学歴構成の高度化は経済発展と科学技術の進歩による需要側からの要請でもあるが, 一方供給側の社会的条件からくる要請でもある。また人口の年令別の構成の変化は,今後のわが国の人材需給に大きな影響を与えることとなるであろう。物的資源と異なり,人的な資源はこのように社会的条件によつて大きく制約される。

わが国の技術革新と経済成長は,従来就業構造の変化と新らしい労働力の増加によつて支えられてきたが,今後の科学技術の推進をはかるためには,科学技術人材の需要と供給の両面に,上述した大きな社会的条件の変化が影響を及ぼしてくることに十分留意し,長期的対策を総合的に一層きめ細かに講ずる必要がある。このことは,各事業所単位についても共通することであり,科学技術の急速な進展にともなう科学技術者の有効な活用と,労働力の変化に対処しうる科学技術の振興を長期経営計画の一環として十分考慮することが必要である。

科学技術は今後一層総合化の傾向を高め,科学技術の進歩は多くの分野が調和のとれた姿で発展することにますます依存することとなる。したがつて,科学技術の推進のためには,種々の専門領域における質の高い科学技術者を一層大量に確保することが重要である。したがつて,最近高等教育への進学率が高まると同時に自然科学系への進学希望者の比率がさらに増大することが必要である。また,科学技術者の需要増と関連して女性の科学技術者の進出の問題があるが,これについては社会的条件から種々困難が存在する状況にある。このためには,科学技術の進歩と科学技術者の役割について,社会的な評価と認識がなお一層高まることが望まれる。

また,国全体として,産業界,大学,国公立機関のそれぞれの設置目的に沿つて,均衡のとれた科学技術者の配置がなされると同時に,科学技術者の流動性の少いわが国としては,情報流通の迅速化と円滑化,産学等の協力の推進,委託研究の拡大などの施策が総合的になされることが,科学技術者の能力を有効に発揮するためにきわめて重要である。


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