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2部   科学技術人材
第8章  需給における課題
4  才能の開発
(2)  才能評価の適性化


科学技術者の需要の拡大にともなつて,養成される数はかなりの増大傾向を示してきているが,今後の需要を量的にも質的にも満たして行くことは必ずしも容易なことではない。また雇用の側からみた場合にも,専門領域別,職種別等からみて十分な数を雇用することが経営上の負担となることも考えられる。したがつて,今後の科学技術の進展に企業等が適切に対処していくためには,科学技術者をできるかぎり,有効に活用することがきわめて重要な事柄となつてくる。この場合,科学技術者の適正な評価がなされることが,適正な配置と活用にとつて必要である。

このような意味で,西欧諸国とわが国の科学技術の教育ないし資格制度を比較した場合相違するところが少くない。たとえば教育についてみても,わが国では中学校までは義務教育であつて,卒業までに才能が選別される機会が少く,高等学校の進学率が高まることによつてさらにこの傾向が強まる状況にある。これに対して西欧諸国ではかなり早期に才能,素質について評価される機会が多い。

また西欧諸国においては,高等学校,大学等へ進学する場合,多くは資格制度により,かつ修学中もかなり厳しく評価がなされて卒業するのに対し,わが国の場合は入学試験が競争試験であり,入学後の評価が比較的ゆるやかであるという相違がみられる。

このような事情は職場についても共通しており,採用時は比較的評価が客観的に行なわれるにもかかわらず,その後の評価が採用時の成績,あるいは学歴等によつて影響される場合が多く,これが年功序列制や終身雇用制に結びついている弊がみられる。このことは,科学技術者のみにかぎらず,能力主義をとり入れる妨げとなつており,ひいては人材の活用と組織全体の効率を低下させるおそれが多分に存在する。

西欧諸国においては,科学技術者の評価が,企業,研究機関,大学等のいわば縦の枠を越えて,学問領域別といつた横断的な評価によつてかなり厳しく行なわれており,これが企業等の間の流動性を増し,ひいては科学技術の進展と科学技術者の社会的地位の向上に大きく貢献している。

わが国においても,各種の資格の試験検定制度が設けられ,昭和32年には技術士の制度が設けられたが,こういう制度が一層十分な効果を発揮するためには,社会的な認識を向上させることが必要であり,さらにこういつた資格制度について検討を進めることも必要であろう。

近く卒業生を送り出す高等工業専門学校は,中級科学技術者を必要とする社会的要請によつて生まれたものであるが,この卒業生が有効に活用されるためにも,受入れる企業側の認識と評価が適確になされることが望まれる。

また,前述資格制度や学校制度によるばかりでなく,科学技術者自らが,企業,研究所,大学等の内で,あるいは学問領域,職種別領域で適正な評価のなされうる基盤を築く必要がある。科学技術者の業績の評価は,科学技術者でなければなしえないものもあり,それが適確に行なわれることが,ひいては社会的評価につながるからである。


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