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2部   科学技術人材
第8章  需給における課題
2  採用と異動
(1)  新規卒業者の採用


科学技術者の適正な配置を考えた場合,科学技術者の能力評価や異動などが非常に重要となつてくる。しかし,この点に関しては,とくに,わが国の雇用形態が終身雇用制と年功序列制に大きく依存しているため,諸外国と比較してかなり異なつた条件下にあるといえよう。

もつとも最近の科学技術者の需給関係が,とくに質の点に関してひつぱくしてきたことによつて,上記の点はやや変化のきざしが現われているが,雇用形態は長年の社会的習慣によつて培かわれているものであるだけに,この状態が早急に大きく変化することはないものと思われる。

そこで科学技術者の異動は,主として,企業体単位の範囲に限定される結果となり,適材適所という点からは,まず企業単位についての学卒者の新規採用がどのように行なわれるかが重要な問題となつてくる。

とくに需要数が供給数を超過し,充足率の低下したことによつて問題としなければならないのは,新規卒業者の能力と適性が必ずしも正しく判定されないままに採用され,配置されるおそれの生じていることである。昭和39年度において大学新規卒業者を採用した企業519社のうち,事務系職員の採用については83%の会社が筆記試験を行なつているが,技術系職員の場合には36.2%の会社は筆記試験を行なつていない( 第8-7表 )。

ただし,募集に際しては43.7%の会社が,出身の大学を限定しており,とくに大企業の会社が一流校といわれる大学のみから採用していること,また,その多くが大学側の推せん内容を参考としていることを考慮すれば,質の評価に対する企業側の意図は表われているが,絶対的な数の不足は質の不足に大きな影響を与えているとみてよいであろう。

第8-7表 昭和39年大学卒業者の採用選考試験の 方法のうち行なわれなかつたもの

科学技術者の能力,適性をどのように判定するかは,専門領域に特殊性のあること,研究者の場合とくに必要とされる創造性などの判定が困難であること,等の理由もあつて,必ずしも筆記試験が適しているとは考えられないが,単なる大学卒業という資格によつて判定することは一層問題であると考えられる。

また,一方,募集対象の大学の範囲を限定することは,質の保証を求めるためであろうとは考えられるが,このように対象を限定することによつて,広い範囲から,優秀な人材を採用する効果もまた同時に減少することにならざるえない。前記と同じ調査においては34.9%の企業は夜間学生に対して門戸を閉ざしており,受験の機会を与える会社はほとんど増加していないことも,就職の機会の均等化あるいはかくれたる人材の発掘という見地から,再考さるべきであろう。

さらに,科学技術系学生の採用難と関連して,企業の募集時期が早まつてきているが,質を十分評価して採用するという点からみれば,採用時期を早めて採用を決定することが,かならずしも採用側の利点とはならないと考えられる( 第8-8表 )。

以上のような採用時の事情は,採用後の配置の決定についても共通するところである。新規採用者の配置決定方法は 第8-9表 にみられるように,見習期間中に適性をみて配置するという企業が45%を占めるが,その見習期間も長いところでは2年というところもある一方,2カ月程度のところもあり,必ずしも適性が十分みきわめられて配置されているとはいえない状況にある。

第8-8表 大学卒業予定者の就職決定時期

第8-9表 新規採用者の配置の方法別割合(1位のもの)

同表の「その他の配置方法」には,専攻学科,専攻テーマを主体として定めるものが大部分を占め,大学在学中の専攻内容,成績が配置決定の根処とされている。また現在のところ,「採用試験の結果」あるいは,「適性検査」を参考とするところはきわめて少数である。


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