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2部   科学技術人材
第8章  需給における課題
1  職務と配置
(2)  企業における配置


科学技術者の職務は,専門領域によつて特性づけられるが,企業内の機能別組織の配置からみた場合にも,きわめて広い範囲に分布している。例えば生産活動を行なう企業については,企業全体の管理機能および営業機能をもつ本社,生産活動を主体とする工場,研究開発の中枢となる研究所に大別した場合,それぞれに特長をもつた科学技術者の配置がなされている。

「科学技術者の配置と職務に関する調査」 1) の結果から,企業における科学技術者の配置状況をみてみると,従業員全体に対する科学技術者の比率は約5.1%となつている。この調査は資本金10億円以上の企業を対象としているが,この比率は建設(19.8%),石油石炭製品(10.3%),精密機械(6.6%),化学(6.0%)等の業種において比較的高く,ゴム製品(0.4%),鉄道(1.2%),繊維(2.0%),鉱業(2.4%)において低い。建設業の比率が高いのは,大企業において建設業の技術活動がかなり集約されていることを示すものであるが,その他の業種についても,科学技術者の比率の高低が企業の技術活動の集約度を相当程度示していると考えられる。


注1)昭和38年,科学技術庁調査鉱業,製造業,運輸公益業を対象とした。

次に 第8-1図 は,これらの科学技術者が,本社工場および研究所の組織において,業務部門別にどのように分布しているかを示したものである。従業員数の分布からもわかるように,本社組織において生産活動や研究活の行なわれている場合がかなり多く,また工場組織においても研究活動が部分的に行なわれており,完全にこの3者の活動範囲を区別することはできないが,本社組織においては管理部門が過半を占め,次いで営業,生産部門の順となつている。また,工場組織では80%以上が生産部門であり,研究所組織において生産活動を行なつているところはきわめて僅かである。

第8-3表 組織別従業員と短大卒以上の科学技術者の割合(%)

本社,工場,研究所組織別の1単位あたり平均科学技術者数は,それぞれ60人,81人,54人であつて,工場が最も多いが,従業員総数中に占める科学技術者の比率でみると,本社13.1%,工場5.2%,研究所32.8%と順位は逆となる。一般に工場の数は,資本金が10億円以上の会社では複数であるから,工場在勤の科学技術者数がかなり多いこととなるが,最近の傾向として科学技術者の研究所における集中度が高まつている。

さらにこれを管理,営業,生産などの業務部門別配置についてみると,本社については生産部門に科学技術者が40.6%配置されているほか,管理部門に28.0%,営業部門に18.2%とかなり多数が配置されている。また従業員総数に占める比率では,研究部門と生産部門がそれぞれ44.1%,27.8%と高い値を示し,管理部門,営業部門においても,それぞれ7.2%,10.0%と全平均の5.1%に比してかなり高い率となつている。

第8-1図 組織別での各部門別従業員構成比と科学 技術者の割合

第8-4表 科学技術者の部門別構成比

本社組織における科学技術者の担当職務についてみると,生産部門においては主として生産計画,技術管理を担当しており,後述する工場組織の科学技術者が製造,資材,組立,保全等の職務に分散しているのと対照的であり,本社組織の科学技術者の職務の特長があらわれている。また,管理部門においては企画,調査,特許業務に大部分の職務が集中しており,営業部門では販売業務が主たる職務となつている。本社組織におけるこれらの部門は,企業の大規模化,技術内容の高度化,経営管理の強化にともなつて,最近とくに機構の改変強化が行なわれる事例が多く,科学技術者の職務と配置のあり方の上で,種々の新しい課題を提起している。

第8-5表 代表工場の生産部門における従業員および科学技術者の担当業務別の構成比(%)


工場組織では,約80%の科学技術者は生産部門に配置され,約10%が研究部門に配置されているが,研究部門は本社組織と比較すると工場に附属しているだけに試験,検査業務が多くなつている。

また生産部門はさらに細分すると 第8-5表 のように担当職務が分布している。これによれば,最も多く科学技術者の配置されているのは,製造業務(35.1%)で,次に設計(29.6%),計画(12.5%)の順となるが,従業員数に占める比率では設計が29.6%と最も高く,次いで高いのが計画の20.5%であり,製造業務では2.9%ときわめて低い。

このように,生産活動を行なう企業においては,最も多くの科学技術者が工場組織の製造業務に配置されているが,本社組織においても,生産業務のほか管理,営業,研究における科学技術者の職務がかなりの比率で分布しており,さらに独立した研究所組織の機構も最近は一層充実されている状況にある。科学技術者の職務は,業務内容からみても極めて多様となつてきているが,前者の生産活動に従事する科学技術者の職務が従業員中に分散した形となつているのに対し,研究,管理等の職務はかなり密集した形をとつていることなど,科学技術者の職務形態についても対照的なことが認められる。

このように多様な職務が有機的な連けいを保ち,組織として効果的に運営されるためには,科学技術者自身にも多様性が要求されるとともに,適材適所の配置を一層はかる必要がある。


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