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2部   科学技術人材
第7章  人材需給の推移
4  科学技術者供給の推移
(1)  人材養成における教育の効果


国家が教育に多額の費用を投ずることは,経済発展維持のためには不可欠であると考えられる。とくに人材の供給には多くの日時を要し,物的資本の生産とはその性質を異にするため,長期的な展望に立つた強力な育成計画を国家の手で樹立する必要がある。

わが国経済は,明治以降,工業化を基礎にして発展をしてきたわけであるが,約100年に近い年月をへて,世界の先進国グループに名を列ねるようになつた。これらの先進国をみわたしたとき,どの国にも共通していえることは,教育水準の高いことである。そして,この高い教育水準が,科学技術の進歩に対応し,さらにこれを展開して行くことを可能ならしめたといえよう。科学技術の進歩とともにその教育内容には当然質的な変化が必要とされるようになり,とくに最近は,世界的な傾向として,新しい科学技術の発展に対して充分な適応力をもつよう,専門的分化とともに多方面に対する適用化の方向にも進展しつつあるといわれる。

近年日本に押し寄せた技術革新の波は,科学技術に対する既成概念を打破し,あらためて世界の技術進歩に対する認識を深めた。この波は教育の面にも影響を及ぼし,創造的な役割を果たす科学者養成機関としての理学部の拡充,新技術を理解し,自主技術開発に貢献できる人材養成のための工学部の教育内容の拡充,第1次産業における技術革新推進のために農学部における基礎科学の充実,技術者の養成を目的とする教育機関の整備強化,法文経学部の教育の科学技術進歩への対処,高度の研究能力を備えた高度の専門家養成機関としての大学院の拡充等,将来の教育の進むべき方向がいくつか示された。

これらの教育については,当然国家の責に帰すべきものが大部分であるが,次に問題になるのは,既就職者の能力の開発,すなわち再教育である。

この再教育は,ほとんどを企業等の負担において実行しているのが現状である。再教育を企業が実行することは,職場と密接に結びついているだけに,その効果は非常に高いものがあると思われるが,近年の科学技術の進歩は,一企業内における教育能力をもつてしては,完全を期し,難いものとなり,企業外教育の比重が高まりつつある。世界的にみても,この傾向は強まつており,この分野における国家の役割も増大しているようにみうけられる。

再教育機関としては,その教育能力から,大学および国立または特殊法人研究機関が重要視されつつある。海外においても,アメリカのマサチューセッツ工科大学に設置された「高等技術研究センター」,ドイツのアーヘン工科大学における「技術の家」「技術アカデミー」等がある。


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