ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
2部   科学技術人材
第7章  人材需給の推移
1  就業構造の変化


わが国の産業構造は,経済規模の拡大とともに急速に高度化しつつあり,第一次産業の比重低下にともない,第二,三次産業へとその重点が移行してきた。

このような傾向は,国情により一概にはいえないとしても,アメリカ,イギリス,西ドイツ等,先進諸国には共通なものであり,わが国においても現在の傾向がなおしばらく続くことが当然予想される。

また,この産業構造の高度化とともに,重化学工業化の進展が著しく,製造業の重化学工業化率は,世界最高を示すに至つている。

このような産業構造の高度化,重化学工業化率の増加等の現象は,科学技術の進歩に大きく影響されているものと考えられるが,これは労働力需要の質的な面にも大きな変化をもたらした。

すなわち,生産のオートメ化は,各製造業において促進されており,設備の大容量化,計装化等が進むにつれて,従来の重労働的・肉体的労働は減少し,計器の監視,判断,その他設備の安全等の新しい技能の分野が生まれた。このように,生産技術の高度化とともに,作業は単純化されるが,その反面,知識・技能を必要とする機会が多くなり,さらにはこれらのプロセスの総合判断を必要とするような指導的役割を果たす技術も不可欠となつている。 1)

この結果,科学技術者は,これらの新しい技術を理解し,制御できるもの,また新技術の開発に貢献できるもの等,非常に高い能力をもつことが要請されるようになつた。すなわち,機械では代替できないものとしての人材である。したがつて,必要な雇用量のうち,科学技術者に対する需要は,今後相対的に増大して行くことが予想される。

次に,近年の就業構造をみると,産業構造の高度化にともなつて注目すべきいくつかの変化がみられる。就業者数を雇用別,産業別,職種別,学歴別等について眺めてみよう。

まず雇用別就業者の構成比率では,昭和29〜39年において雇用労働者の67%増加がめだつ。反面,家族従業者と自営業主は減少し,家族従業者は23%の減となる。また,絶対数においても,雇用労働者の増加は1,000万人にものぼり,逆に家族従業者は300万人の減少となつている。

産業別にその就業者数をみると,第一次産業の減少,第二,三次産業の増加と産業構造の高度化に沿つた動きを示している。

中分類産業別にこれをみると,建設,卸小売業の伸びが高く,これに反して,鉱業および農林業の衰退がはなはだしい。全産業の中に占める第1次産業就業者の比率は,昭和29年41%,35年32%,39年27%,とその比率に差があり,絶対数においても減少の一途をたどつている。


注 1)労働省「生産技術の進歩にともなう技能労働の質的変化にかかる長期的展望調査結果」(40年6月)

また35年以降は非一次産業の増加雇用数のうち,第2次産業の比重が低.下し,第3次産業が上昇している。 1)

次に,就業者を職種別にみると,産業構造の高度化,生産技術の高度化等にともない相当の異動がある。これらの職種の中で,最も高度の専門的知識を必要とする「専門的,技術的職業従事者」においては,昭和29年以降,一応一定のペースで伸びているものの,昭和36年以降は,やや頭打ちの傾向を示している。この職業の中には,技術者,教員,医療保健技術者, 芸術家,芸能家等およびその他があり,昭和35年国勢調査においては,従事者217万2,190人のうち,技術者は33万3,630人と15.4%を占めている。なお,科学研究者は3万2,370人(“その他”に含まれている)となつている。したがつて,技術者は「専門的,技術的職業従事者」全体の15%程度を占めるにすぎず,一般の傾向をもつて技術者数が頭打ちであるとするのはやや速断のきらいがあると思われ,むしろ,後述の如く,大学理科系の増強,拡充等,供給面の事情を考慮に入れた場合,技術者数はやはり一定のペース伸びているものと推測される。

ただし,他の職種と比較すると,専門的な知識を必要とし,流動性が低いことが考えられるだけに,この変動は比較的非弾力的であると推定される。

その他の職種では,農林,漁業および採鉱採石従事者のそれぞれ326万人,18万人,の減少がめだち,逆に顕著な増加を示した職種には,運輸,通信,およびサービス職業従事者がある。 2)

このような,第三次産業の従事者の増加は,国民の生活水準の向上にともない,その需要が増加したものと思われるが,絶対数においては,昭和29年以降,単純労働従事者の376万人の増加,販売,事務等のホワイトカラー的職業従事者の350万人増加がめだち,専門的,技術的職業従事者の増加は58万人となつている。したがつて,全体の就業者増加数に対する専門的,技術的職業従事者の増加寄与率は7.8%となり,さらにその中の15%が技術者であると仮定すれば,その寄与率は1.2%となる。


注 1)総理府統計局「事業所統計調査」


注 2)サービス職業従事者には,1保安サービス従事者〈自衛官,警察官等〉,2  家事サービス従事者〈女中,家政婦等〉,3  その他〈一般接客業〉がある。

学歴別構成についてこれを眺めると,初等教育卒業者の比重低下と,これにかわつて中等教育卒業者の進出がめだつ。これは,義務教育の延長,進学率の上昇等を考えれば当然のことであり,換言すれば,供給の減少がもたらした結果であるともいえる。

高等教育卒業者については,文部省調査によれば全労働者中に占める比率は近年増加している。昭和34〜38年で1.7%,絶対数で96万6,000人増加している。

さらに産業別に就業者の学歴構成をみると,高等教育卒業者では建設業の伸びが顕著で,34〜38年で毎年平均30%を越える増加を示している。しかし雇用増加寄与率でこれをみると,サービス業が45.1%と半分に近い率を占め,続いて製造業が22.5%となつている。建設業は,寄与率においては8.9%と1割にも満たない。ただし科学技術者については,その供給を急速に,かつ弾力的に行ないえないものがあるため, 一般にその比重が伸び悩んでいるものと推測される。

次に,各職種内での高等教育卒業者の比率をみると,研究および専門の職種の中に占める高等教育卒業者が圧倒的に多い。また,絶対数においてもかなりの伸びを示している。このうち,技術者 注) は毎年14%に近い伸びであり,高等教育卒の中では最高の伸びを示している。

絶対数においては,4年間の100万人に近い増加の中で,事務関係が30万人と最高を示すが,技術系については技術者12万人,専門的職種25万人(うち研究従事者は約60%)とかなりの増加を示している。


注 文部省「職場における学歴構成調査」の定義による。第2節(1)参照


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ