ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
2部   科学技術人材
第7章  人材需給の推移

人材の養成・確保は,その国のためには欠くことのできないものである。

明治以降わが国が,急速に先進国に追いつくためには,それら先進諸国の進んだ制度,すぐれた技術を導入する必要があつた。また同時に,それらを使いこなし,さらにそれを発展させる人材の養成も急務であつた。このためにとられた手段には,外国留学と,外人教師の招へいがあげられよう。これは,当時わが国にとつて,その指導的役割をはたす人材の養成に非常に効果があつたと考えられる。

一方,同時に進められた義務教育の徹底化は,わが国の知的水準の向上に重要な役割を果たし,人材養成のための大きな推進要因となつた。

わが国の戦後の復興,およびそれに続く経済発展は,輝かしいものであつたが,これを可能にした要因の一つとして,戦前からの知識,技術の蓄積をあげることができよう。

戦後における,わが国の社会・経済の発展をみると,とくに昭和30年代以降,技術革新を中軸とする発展のテンポがきわめて著しく,生産,管理,事務のいずれの分野においても技術体系に新しい構造的変化を生じ,さらにそれが社会・経済にも大きな影響を及ぼすようになつた。

とくに,産業構造の高度化と重化学工業化への道は,この科学技術の進歩と,社会・経済の発展とを強く結びつける傾向を促進してきた。このために,科学技術の進歩を促し,技術革新をリードして行くものとして,科学技術者の養成が急務になつてきたといえよう。

また,わが国の経済発展に大きく寄与した他の一つの要因に,豊富な労働力をあげることができる。従来,わが国では,労働力は過剰気味であると考えられていた。しかし,日本経済の発展と科学技術の進歩は,経済規模の加速度的拡大を促し,多くの労働力を必要とするようになり,さらにその質的向上を強く要請するに至つた。

労働力の量的な供給の面については,最近の労働力需給基調の変化にもみられるように,若干の供給余力を残しながらも,不足基調へと移行しつつあるが, 一方,今後科学技術を中心として発展する社会・経済の要請する人材の供給,およびその質的な充実のためには,各人にその資質に応じた教育・訓練の機会を与え,各人の能力を産業,社会において,充分活用することが,今後一層必要になるものと思われる。

戦前のわが国の科学技術者の役割は,先進国の進んだ科学技術の摂取を主とし,先進国とわが国との間の格差を埋めることに重点がおかれていた感がある。しかし,近年の技術革新の発展は,導入技術によつて一旦身につけた技術を急速に陳腐化させ,長期間にわたつて一つの技術に頼ることを不可能にさせた。先進国の研究成果を受け入れ,すぐれた技術を導入することは,わが国の科学技術水準向上のために不可欠なものではあるが,わが国が先進諸国に伍して,経済成長を続けて行くためには,今まで以上に独自の研究と技術開発に努めることが要請されている。

すなわち,今後の科学技術者に強く要求されるものは,豊かな創造力と,科学的洞察力である。さらに,今後の研究と技術開発は,グループ活動を必要とするプロジェクトが多くなることが予想され,従来の研究体制とは異つた新しいタイプの科学技術者(プロジェクト,リ-ダーのような)の出現が期待されている。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ