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1部  研究活動と研究投資
第6章  諸外国の動向
6  その他の諸国
(6)  カナダ


カナダの国民総生産は1962年で404億ドル(13兆4,532億円)であり,ほぼイタリアに匹敵する。国民1人当所得でもアメリカ・スウェーデンに次ぐ高い位置にあり,国内総生産への製造業の寄与は近年26%に上つている。しかし,先進工業国に比べ研究投資はかなり低い水準にあり,国民総生産にたいする比率では1%に達していない。

主要な財源は政府であり,カナダ全体の研究開発費の5分の3以上を支出しているが,これは自然資源の開発になお大きな努力が必要であることと,鉱工業のかなり大きな部分が外国(とくにアメリカ)所有であるカナダ産業の特殊性によるものと思われる。

カナダ連邦政府の科学技術行政の中心機構は,イギリスの科学技術研究庁(DSIR)とほぼ同時に設立された国家研究会議である。これは大学,産業界,労働界を代表する科学者をもつて構成され,内閣の科学閣僚委員会である枢密院科学技術研究委員会(委員長はイギリスの旧科学大臣に相当する)の諮問機関として,一般科学政策の策定にあたる。議長は各省調整の機関である各省科学顧問より成る諮問会議(アメリカの連邦科学技術会議に近い)の議長を兼務するため,研究会議はアメリカの大統領科学諮問委員会に類似する役割を政策樹立の面で果たしている。しかし,同時に多数の研究機関を持つており,大学への補助金交付機関としても活動している。

同会議の研究機関は,応用生物学,建築,応用化学,純粋化学,医学工学電波・電気工学,放射線生物学,航空,応用物理,純粋物理等の分野である。

なお,カナダは医学研究に伝統があり,1960年に医学研究会議が併設されるに至つている。

そのほか,政府各省の研究機関が,国防,原子力,農林水産業,水資源,鉱物資源,気象等の研究を行なつているが,さらに各州が自然資源の開発や産業開発支援の研究計画を実施し,6つの州に州研究会議がおかれている。

連邦政府の研究支出は第6-20表のとおりで,国防関係がかなり大きい比重を占めるが,このうち,約80%が政府研究機関によつて実施され(農林水産関係はほぼ100%),産業界への委託は国防関係が30%程度,原子力関係は約10%とみられる。

産業界については,前に述べたように外国資本の支配が強く,研究活動にもこれが大きく影響している。これらの企業は,外国会社の子会社として親会社からその研究開発成果を導入し,カナダ産業の技術水準を急速に高めたが,これらの親国と競争することは非常に困難であり,また自分自身の研究機関を設立してカナダ市場のために製品を開発する必要性も大きいものではないと考えられる。

第6-20表 連邦政府の科学関係支出

第6-21表 カナダ産業の研 究開発実施(1959)

産業界の研究投資は1959年でカナダ全体の31%であり,研究開発実施比率では39%(うち製造業35%)となつている。第6-21表の示すように,総額において約9,900万ドル(329億6,700万円)に上つており,このうち航空機,車輌等の輸送用機器が約27%を占め,次いで電機,電力が16%,化学工業14%,その他となつている。


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