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1部  研究活動と研究投資
第6章  諸外国の動向
6  その他の諸国
(4)  ノルウェーおよびデンマーク


ノルウェー,デンマークは長い同盟関係の歴史を持ち,農業国から工業国への近似した過程のなかで,研究体制が整備されつつある。


1 ノルウェー

この国の工業設備近代化は速いテンポで進められており,国民総生産への鉱工業の寄与は32.7%(1962年)と伸びている。他面農業においても着実な進歩があり,ヨーロツパ中最も機械化の進んだ国として1人当り所得ではフランスに匹敵している。

1962〜'68年の経済社会計画には,産業の成長にたいする応用研究および開発の役割が強調されているが,研究一般,とくに基礎研究に関する政策は,政府による国家政策の決定要因として認められるには至つていない。ノルウェーの研究体制整備は,産業界のイニシヤチブで開始されたところに特色がある。すなわち,1946年の王立ノルウェー科学研究会議の設立である。次いで農業研究会議(1949年)が設置され,さらに同年教会・教育省の手で科学・人文研究会議が加えられるとともに,研究会議合同委員会が結成された。

研究会議は学界,政府の協力により国家レベルでの研究計画を作成し,補助金の配分を行なうが,財政は科学技術研究会議が直接政府の補助金をも受けるほかは,国営フットボール利益金から賄われるという特殊な制度がとられている。

政府の研究活動は,各省所属の国防,農業,地質等の国立研究機関のほか,工業省に管理される原子力研究所によつて行なわれる。

研究会議へのフットボール利益補助金

(1961年)

合同委員会     0.139  (百万ドル)

科学技術研究会議   1.320(このほか政府補助418.000)

農業研究会議  0.830

科学・人文研究会議   1.620

計           3.909

研究にたいする政府支出の推移は 第6-18表 のとおりであり,資金源としての政府は, 第6-19表 からわかるように,国営フットボール利益金からの支出分を加えると,ノルウェー全研究費の80%以上を占めている。このうち,国防研究は5%,原子力関係は10%程度であるが,政府の私企業への研究委託はほとんど行なわれない。また漁業および農業研究にたいして政府はほぼすべてを賄つており,とくに前者については特別基金が設立されている。工業化を進めつつある国の研究活動における政府の役割が,ノルウェーにおいて一つの典型を示しているとみられる。

産業界の研究活動は,1962年で約1,200万ドル(約6億円)と推定される。化学,冶金,電子工業において活溌であるが,ほとんどは中小企業であり,15の研究組合が罐詰,紙,パルプ,繊維,鰯油等の分野で結成され,科学技術研究会議から財政の援助を受けている。さらに製造業は産業研究中央研究所および工科大学に付設されている技術研究財団の二つの委託研究機関を利用している。

第6-18表 ノルウェー政府の高等教育および研究にたいする支出の推移

第6-19表 ノルウェーにおける研究および高等教育への投資, 資金源別,実施機関別


2 デンマーク

デンマークもノルウェーとともに1人当所得の大きい国であり,工業化への歩みにともなつて,研究活動も増大している。しかし,政府の産業研究への介入はノルウェーよりも遅く,1950年代の後半からで,1960年にデンマーク科学技術研究会議が設立されている。政府(3名),産業界(5名),学界(5名)代表より成る政府の科学技術政策諮問機関であるが,総合調整の機能はなく,政府による総合的な研究政策は今日でもなお樹立されるに至つていない。政府レベルでの科学研究政策はないが,デンマークの科学研究は実質的に工学アカデミーによつて推進されている。

同アカデミーは産業界,学界の協力により1937年に設立され,会員300名の構成は,学界,産業界(農業を含む)が各50%の比率である。

各専門分野に10研究委員会があり,実質的に研究政策を策定しているが,同時にまた研究受託のために多数の非営利研究所と研究組合を設立している。それらの一部は,大学,工科大学と合併され,現在地質,植物,電子工学,熔接,アスファルト,塗料,原子力平和利用等,約20研究所によつて自から研究活動を行なつている。財政は設立時に設置された特別基金と約100社の主要企業,銀行からの寄附によるが,個々の研究プロジェクトにたいしては直接関連のある企業,または財団から補助金が交付される。アカデミー研究所の財政規模は,約1,900万デンマーク・クローネ(約9億8,800万円,1962年)で,うち1,500万クローネ(約7億8,000万円)が委託研究による収入,残余の約400万クローネ(約2億800万円)が私企業,財団の寄附である。

科学研究にたいする政府資金は,大学,各省研究機関が賄うほか,国防会議,原子力委員会に管理される研究機関に支出される。しかし国防,原子力関係の支出はノルウェー同様低いと推測され,産業界への研究委託はほとんど行なわれていない。

デンマークの研究活動は半ばが私企業によるものである。製造業では外国技術依存が大きいが,医薬品,塗料等の化学工業が戦前から研究活動を行なつているほか,電子工業が研究産業として拾頭しており,またデンマーク鉄・金属産業経営者連盟が最近結成されて,機械工業のための研究開発の拡大に努めている。共同研究は15の研究組合があるが,現在の段階ではまだ小規模で,最も大きいのは食肉研究所である。研究委託はノルウェーの産業研究中央研究所のような機関を持たず,前述のように工学アカデミー研究所やデンマークエ科大学附置研究所が利用されている。農業の分野では,畜産大学,農科大学へ委託されている。


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