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1部  研究活動と研究投資
第6章  諸外国の動向
6  その他の諸国
(3)  ベルギーおよびスウェーデン


ベルギー,スウェーデンはいずれも国民総生産への工業の寄与が40%以上であり,経済規模では,西北ヨーロツパのおよそ平均にある工業国といえよう。とくに1人当り所得が高く,ベルギー約1,110ドル(約39万9,600円,1960年),スウェーデン1,600ドル(約57万6,000円,1961年)であつて,ことに後者は全ヨーロツパ中最も高い。
1 ベルギー

ベルギーの科学技術振興が政策レベルに組み入れられたのは,1959年以降である。この年科学関係閣僚委員会,省間科学政策委員会,科学政策国家会議の3機関が設立され,国家の科学技術行政体制が確立された。閣僚委員会は国家的規模での科学政策の策定と各省間の調整にあたり,決定事項は省間委員会によつて具体化され実施される。科学政策国家会議は,学界,産業界, 一般学識経験者中より指名され,政府の諮問機関として科学政策の策定と,とくに科学関係予算の計上にさいしては,大きな役割を果たすほか,人文系を含む総合的研究開発計画の作成にあたる。

研究実施機関は,大学,国立研究機関,核エネルギー研究センター,産業界研究機関に大別されるが,これらにたいする政府支出は 第6-16表 のとおりである。産業界その他への研究委託(とくに国防のそれ)は行なわないところにこの国の特色がみられる。政府補助金交付機関として重要なのは,農工業研究振興協会(IRSIA)で,主として大学,産業界研究組合,その他への補助金支出のため,政府科学予算の10%を与えられている。 また特色があるのは,科学政策国家会議の勧告によつて,総理府予算に計上されている緊急研究プロジェクト特別予算であり,大学,政府研究機関,産業界をとわず,分子生物学,宇宙研究,人間遺伝学の研究計画にあてられている。

第6-16表 ベルギー政府の科学関係支出

産業界は国全体の研究開発費の約40%(1961年では約13億ベルギーフラン(約93億6,000万円)を投資しており,電気,機械,化学産業が全産業研究開発の約70%を実施している。しかし従業員数50人未満の小企業が98%を占める産業構造から,研究活動は大企業への集中を示している。 研究組合は55をかぞえるが,約半数の組合は自身では研究能力を持たず,大学へ委託している。


2 スウェーデン

スウェ-デンの研究投資は国民総生産の1.7%(1961-'62年)と高い水準にあるが,研究活動の政府レベルでの調整機関は最近までなかつた。

1962年12月,政府は首相を議長とし,関係閣僚,学界,産業界代表から成る科学諮問会議を設置し,事務局として特別作業部会を組織して長期的観点から総合調整を行ない,国家の科学政策の策定にあたることになつた。政策実施機関としては,6つの科学アカデミーがあり,各研究分野の調整を行なうほか,関係各省に所管される12の各分野研究会議が,主として大学にたいする研究補助金の配分を行なつている。

研究会議は大多数が1940年代に設立されており,'61年にさらに財団の形で技術の分野に2つ新設されたが,政府の科学政策の諮問機関でもあり,また最近は官民研究機構間の調整にも乗り出している。このような例としては技術研究会議によるオートメーション,電子工学,医用電子工学および技術,生産技術,工業微生物学,水汚染の各諮問委員会の設置がある。

政府の研究活動は商務省原子力局に管理される原子力公社や,国防省国防研究所,通信,鉄道等国営企業の研究機関,その他各省研究機関で行なわれるが,その大部分は私企業へ委託される。 第6-17表 に示されるように,国防研究開発の比率が大きく,スウェーデン全体の研究開発費の約4分の1を占め,このため,政府支出は48%となり,アメリカ,イギリス,フランスに近いパターンがみられる。政府の委託は航空機,エレクトロニクス,車輌工業へ行なわれるものが大部分で,基礎的なものは大学へも委託されている。

主要研究会議の補助金(1963-'64年)

自然科学   研究会議      8.95(百万クローナ)
原子力     〃        7.67(基礎研究のみ)
医学      〃        8.88
技術      〃        8.10
建築      〃        0.80
農業      〃        2.10
スウェーデン科学研究産業開発財団  10.00
ノーランド財団          15.00

なお,大学については,スウェ-デン政府のほか),米国機関がらの研究資金が自然科学および医学の分野で2,500万クローナ(約17億5,000万円)に上つていることがめだつ。

産業界の研究活動は,近年における私企業所属研究所の整備が著しく,企業による研究投資は国全体の半ば以上を占める。研究実施額では1962-'63年で,8億クローナ(約560億円)と推定されるが,うち4分の1以上が政府支出によるものである。産業研究組合は木材,金属,繊維等6組合があり,政府補助は約4分の1である。

第6-17表 スウェーデンにおける研究開発費(政府研究開発 資金の配分および産業界研究開発費)


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