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1部  研究活動と研究投資
第6章  諸外国の動向
6  その他の諸国
(1)  イタリア


イタリアは国家の経済規模ではイギリス・フランス・西ドイツの半分であるが,これらに次ぐ先進工業国の一つであり,とくにここ数年来,政府は科学研究の強力な推進措置に着手している。

イタリア科学技術行政の中心機関は,科学研究会議(CNR)である。同会議は1923年に設立されていらい,第二次大戦をつうじて国家の科学活動の調整と推進の主体であつたが,1945年再建閣僚会議の諮問機関として戦後へ引きつがれ,1963年には国民経済への科学研究の寄与を高めることを目的とする「科学研究の組織化と推進に関する法律」により大幅に機能を強化された。

同会議は諮問機関として人文系を含めた国家的規模での研究計画の策定にあたるが,同時に実行機関でもあつて,各省所管の研究活動を調整し,また超音波,計算機等の4国立研究所と,主として大学に委託した約80の研究センターを所管して,みずから研究活動を実施している。同会議の実質的運営は学界(人文系1,自然系2の比率),政府,産業界の専門家代表から成る各専門分野委員会により行なわれ,政府研究機関,大学ばかりでなく,私企業にたいする共同研究の振興をも行なつている。したがつて同会議は,フランスの科学研究本部(CNRS)に近似した性格をもちながら,より包括的な権限を賦与されたものということができよう。これらの活動の財政は,3ヵ年計画により,1963-'64年140億リラ(約84億円),1964-'65年180億リラ(約108億円),'65-'66年210億リラ(約126億円)と予算の飛躍的増大が予定されている。

同会議および各省による政府研究予算は,1963-'64年度から科学研究費として一括計上されることになつたが,分野別には原子力関係が最も大きく,半ば以上を占めると推計される。

各省別にみれば,通産省管下の核実験委員会核物理研究所は1959-'60年〜'63-'64年の5ヵ年計画予算で,800億リラ(約480億円)を占め,保健省高等保健研究所35億7,000万リラ(約21億4,200万円),郵政省高等通信研究所6億リラ(約3億6,000万円)('60-'61年),その他国防省,農務省,郵政省,運輸省等の研究機関が主要な額を占めている。また,基礎研究はほとんどすべてが大学で行なわれるが,国立,私立をとわず,国家管理による多数の研究所が近年大学に付置されており,政府支出の著しい増加が予測される。

産業界の科学関係機関は,食品,紙,化学,建築および建築材料,鉱業,機械,冶金,地域社会サービス,繊維,電気の分野で試験・実験機関を含めて500以上と推定される。しかし,大多数は小規模で,研究活動は大企業と少数国営企業に集中している。このため科学研究会議は,最近,共同研究の推進を目的として,二つの中小企業対策をとつている。一つは研究組合設立の奨励である。しかし,財政援助は行なわず,設立に困難のあるばあいには,同業組合にたいし,同会議の実験センダー設立に財政の折半負担を提案している。この種の機関としては,イタリア機械器具開発組合との機械器具実験センター設立や,国立リポイド(複合脂質)化学研究センターなどがある。いまひとつは同会議研究機関や大学付置研究所等への個々の企業による研究委託制度であるが,研究成果は同会議に報告され,公開されなければならないことになつている。


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