ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
1部  研究活動と研究投資
第5章  技術の交流
4  国内における技術交流


研究開発の果実,すなわち新製品,新技術が企業経営上有利であるとの判断がなされれば,外国技術の導入の場合と同様,国内の他企業からの技術導入の希望が発生し,ここに国内の技術交流が始まる。

注)

この国内交流の状況を通産省の調査 注) によりみてみよう。まず技術導入についてみると,調査対象となつた資本金5,000万円以上の企業約1,000社における導入件数は 第5-17図 のように昭和32年度の495件から,36年度の999件と5年間で倍増しており,そのうち国内からの導入は,32年度の179件(36.6%)から36年度の414件(41.5%)と増加し,国内交流は活発化している。これは導入に価する研究成果が多くなつてきたというよろこばしい傾向の現われとも考えられるが,一方対価支払額についてみると,36年度において総額350億円のうち,国内に対する支払は14億円(4%),国外に対する支払は336億円(96%)であり導入件数とは大幅な開きが認められる。

このような状況は,わが国の技術導入が国内,国外に広く目を向けて行なわれているが,多額の対価を支払うべき基本的な特許や重要な技術はおもに外国より導入され,国内よりの導入は簡易なものが多い傾向を示していると考えられる。


注 企業局 「わが国企業における技術投資に関する調査」

第5-17図 技術導入件数及び技術料支払額

また32〜36年の5年間の導入件数累計によつて内外国比をみると, 第5-18図 のとおりであり,国内からの導入は,全産業において導入件数の41.1%であり,主要産業についてみると,機械工業の63.3%,ゴム皮革工業の53.7%,電気機械工業の45.2%等国内交流の活発化を示している。また石油石炭製品工業の8.2%,鉄鋼業の15.8%は外国技術依存の強いことを示し,化学工業の32.3%,輸送用機械工業の35.5%は,国内交流は活発であるが,外国との交流が一層活発であることを示している。

次にこの国内交流について, 第5-19図 をもとに技術提供の面からみてみよう。

まず技術提供件数では,32年度の140件から36年度の355件と大幅に増加している。このうち外国への提供は36年度においても72件(20.2%)であるが,外国からの技術料の受取り額をみると,32年度の5,000万円(15.1%)から36年度の8.7億円(41.8%)と最近における伸びは著しいものがあり,外国への提供件数と対比すれば外国へ提供された技術が重要なものが多いことがわかる。

このことは,国内における技術交流が活発化したといつても,交流される技術は比較的簡易なものか,あるいは外国へ提供されるような技術は,国内では自社で独占するか,またはそうした技術は他社が国内で導入しても,企業上の魅力に乏しいため国内交流の対象にはなりにくい,といつた場合が多いことを示していると考えられる。

このようなことからみて,基本的な重要技術の提供は国外へ,そして国内への提供は軽易な技術という傾向は,今後も続くものと考えられる。

一方このような考え方は中小企業を対象とした場合異なつてくるであろう。

なぜなら技術開発にともなう資金力やリスク分散のための共同研究,新技術企業化の資金難,親会社との技術提携等を考慮しなければならない。

そこで前にも述べたように技術革新の波が中小企業にも及んでいる今日,中小企業の技術水準について目を向けてみよう。

注)

中小企業庁が行なつた調査 注) によれば,下請,系列企業におけるクレーム発生状況は,昭和36年度に比べ,昭和38年度は増加したとするものが,下請工場では18%,自動車部品工場では15%,繊維,染色関係では23%であり,また減少したとするものはそれぞれ33%,77%,58%,となつており,中小企業の技術水準は向上しつつあるといえよう。またこの減少の理由としては設備の近代化をあげるものが最も多く,次に検査設備の整備,設計・技術水準の向上とつづいている。一方増加の原因としては,親企業における検査規準の厳格化があげられ,次に設備の老朽化,新製品へのふなれとつづいている。このようなクレーム発生の増加および減少の原因をみても最近の技術革新の中小企業への波及が明確に現われていると同時に,中小企業においてもその技術水準向上に努力していることがうかがわれる。またこのような減少の原因としてあげられた事柄への努力が,今後の中小企業の指針ともいえるであろう。

次にこのような技術水準の向上に対する努力の方法を注記の調査によつてみれば,技術改善を行なつたもののうち38.4%が自社の研究投資によつて行なわれており,その事業所(自社改善を行なつたもの)あたり研究投資も36年平均の1,565千円から38年の2,834千円と82%の伸びを示しており,全産業の同期間における伸びの26%と比較すればめざましいものがある。また自社以外による技術改善では,親会社からの指導が16.6%,機械購入先からの指導が8.9%,同業者よりの導入が5.9%,特許または技術料によるもの3.5%,官公立試験研究機関の指導3.0%,その他となつている。このように技術交流は親企業から,機械購入先からと一方通行の感はあるが,比較的活発に行なわれているといえよう。


注)中小企業庁「中小企業技術実態調査」(昭和39年10月)

第5-18図 産業別技術導入国内比率

また最近の外国技術導入の資本金規模別推移をみても資本金5,000万円以下の企業による導入は34年の16件から38年の85件と著増しており,このことからも中小企業への技術革新の波及,および中小企業の技術水準向上への意欲が類推される。

第5-19図 技術提供件数及び技術料受取額


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ