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1部  研究活動と研究投資
第5章  技術の交流
3  特許と技術交流
(2)  特許出願状況


最近における特許および実用新案の出願状況をみると, 第5-12図 のとおりで,年々増加の一途をたどつている。また外国人の出願も年々増加し,特許出願については,その25%前後,実用新案については,その1.7%前後を上下している。

第5-12図 年利,特許及び実用新案出願状況

しかし 第5-13図 にみるように,先進諸国における特許出願に占める外国人出願の比率は,わが国におけるよりも大きく,またいずれの国においても増加する傾向を示している。とくにイギリスにおいてば最近50%を越えており,西ドイツにおいても29年に22.4%だつたものが年々増加し,37年には39.9%が外国人出願によるものとなつている。

第5-13図 各国特許出願中外国人比率

このように出願比率の面からみれば,わが国における外国人出願は先進諸外国に比べてけつして高くない。

もちろんわが国においては外国人出願の伸びを上まわる内国人出願の増勢(38年における外国人出願の対前年度伸率11.1%に対し,内国人出願伸率は12.8%)が,外国人出願率の増勢を抑えているのが現状であり,外国人出願は今後ますます増加するものと考えられる。なぜならば多額の費用と,繁雑な手続きを要する外国特許出願をあえて行なう以上,相応の経済効果を期待するであろうし,またそれを期待しえない国に対して貴重な外貨を費いやして出願を行なうはずはないからである。そこで高度の経済成長を続ける西ドイツやわが国が,出願の対象となることは当然であろうし,出願特許の影響度の高い先進工業国にかたよることとなる。

したがつてその国における外国人特許の出願件数が当該国に対する諸外国の評価を推定する一つの目安となるのではなかろうか。ここで 第5-14図 にみられるとおり,わが国に対する諸外国の出願件数は昭和30年代初期には,西ドイツの半分以下であつたのが,37年には4分の3近くなつており,急激にその比率は高まつてきている。したがつてこの意味においても今後より一層の発展を期待されるわが国に対する外国人の特許出願は増加するものと考えられる。

第5-14図 各国特許出願にお ける外国人件数

このような外国特許の増勢は当然のことであり,むしろ問題にされなければならないことは,わが国の外国への出願の数が少ないことおよびその質の低いことである。

第5-5表 にみられるように外国人の日本への出願に対して,日本人の外国への出願は非常に少ない。このことは前に述べたように特許に対する認識の低さもあつたではあろうが,多額の費用と繁雑な手続きを要してまで外国出願に踏みきるほどの特許が少なかつたためと思われる。これは審査における公告率にも現われ,昭和32〜38年平均で,特許については内国人のものの公告率が43%であるのに対し外国人のそれは70%,実用新案については内国人の45%に対し外国人の67%といずれも外国人の公告率は高く,したがつてわが国における特許現存権利数に占める外国人の割合は 第5-15図 に示されるように年々増加の傾向にあり,39年末には37.4%となつている。

さらに,このよらなわが国の特許等の出願に現われた技術水準は,西ドイツにおける特許および実用新案の出願状況と比較してみれば明白である。昭和34〜37年平均の特許および実用新案出願におる実用新案の比率は,西ドイツにおいて44%,わが国において59%であり,わが国の発明考案においては,技術程度の低い実用新案が技術程度の高い特許の出題より著しく多いことに現われ,また実用新案が多いことは,企業における研究投資は活発化してはいるが,製品および工程の改良改善的な研究が多いことを示すものと思われる。

ここで昭和38年における特許出願状況をみてみよう。

特許分類による産業部門別は 第5-16図 のとおりであり,化学材料部門が29%と一番多く,以下機械部門21.1%,弱電部門12.8%,運輸機器・建設部門9.2%,強電部門7.9%,農水産部門6.3%,その他日用品・家具・繊維雑貨部門13.7%とわが国産業の成長ぶりとよく一致している。しかしそのうち外国人出願の比率をみると,全体の25%に対して,化学部門では38%と非常に大きな比率を示していることは,本部門における技術の発展が著しく,新製品,新技術の発明考案が先進諸外国においても盛んであることを示している。

第5-5表 年度別出願状況


第5-15図 内外国人特許権利数推移

第5-16図 特許分類別内外国 人別38年度特許出願状況

ここで昭和34〜38年の5年間について,出願類別のベストテンを 第5-6表 によつてみると,有機化合物の1位,ゴム・可塑物の2位は動かず,また近年における高分子化合物の伸びは著しいものがある。これらはすべて化学工業にはいるものであり,最近における有機化学,高分子化学を中心とする化学工業のめざましい発展を示すものである。

第5-6表 類別特許出願件数ベストテン表


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