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1部  研究活動と研究投資
第5章  技術の交流
3  特許と技術交流
(1)  特許と技術貿易


技術貿易においても特許の位置は重要である。日本銀行為替管理局資料によれば, 第5-4表 にみられるように,わが国の技術導入対価支払額に占める特許権使用料は90%であり,技術輸出においても,特許権使用料は受取額の半分以上を占めている。

現在では,わが国企業が何かを作ろうとすると必ずといつてよいほど外国の特許権に抵触する。したがつて,やむをえず技術援助契約を結ばざるをえない。このことは,通産省調査 注) によれば,技術導入の契機として「特許権に抵触」を理由にあげているものが40.9%と第1位を占めていることからも明らかで,技術開発における特許の重要性を示している。

第5-4表 技術援助契約による外国為替収支内訳表

昭和38年度の導入についてみても,特許実施権の許諾を含むものは54%を占めており,さら39年度においては67%を占めている。

このような現状は,わが国の技術水準の低いことに一因があるとしても,一般に欧米諸国においては,特許は工業を支配するものと理解され,それぞれの特許がきわめて戦略的であり,それらは製造工程,または製品基本的部分のものが多いことによると思われる。これに対し,わが国企業は特許に対し比較的関心が少なかつたこと,また自社の研究はなるべくわからせない方がよいとの考えで,事業化の方針が決らなければ,出願しないという傾向にあつたことも一因と考えられる。


注)通産省企業局「技術導入の現状と問題点」(昭和37年8月)

特許が戦略的になつてきたため,出願に関しては,他社がこれにふれて工業化できないように範囲をひろくし,特許を売る場合には,特許使用料のほか,ノウハウ等の技術者指導もあわせて売るという方向になつてきている。

このような特許の商品化の趨勢,いいかえれば,技術交流の活発化の傾向は,商品のライフサイクルの短縮化,最近における技術の急速な進歩により, 一層拍車をかけられるであろう。またこれによつて得た対価を新たな研究投資に向けることにより,その産業分野における自社の位置を一層強固なものにすることができる。このような観点からわが国企業においてもより一層の研究を行なうと同時に,その研究成果の特許に対する認識を新たにすることが重要である。

第5-11図 異議申立及び審判請求推移

もつともこのような特許に対する認識の必要性は,ここ数年来各種の文献にも叫ばれ,またその実例として,事業実施後数年たつてその製品の実績があがりはじめたころをみはからつて特許権侵害といわれ,やむなく技術導入を行なうといつたケースが多くあつたりしたため,特許に対する認識は高まりつつある。すなわち,この認識の度合を示す一つの尺度として,公告に対する異議申立の比率をみると, 第5-11図 の如く,年々増加しており,また特許に対する審判請求件数も年々増加する傾向にある。


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