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1部  研究活動と研究投資
第5章  技術の交流
2  技術輸出の現状
(4)  低開発国に対する技術協力


わが国の技術輸出は,東南アジアを中心とする低開発国に対するものが主体であるが,これはわが国が本地域における唯一の先進工業国である以上,今後なお一層当該地域に対する技術輸出は増加するものと考えられる。

一方世界人口の70%を占めながら,その生産額において,20%を占めているにすぎない低開発国の問題は世界経済の二重構造を示すもので,その解消は世界経済の安定化のためにきわめて重要なこととされている。これに対する経済協力は二国間で直接に,あるいは世界銀行,第二世界銀行 1) ,国際連合,DAC 2) およびコロンボ計画等の多角的な機構を通じて行なわれており,わが国の低開発国に対する技術協力もわが国技術の宣伝,国際的な技術者交流,企業者同志の接触等の面から重要な意義をもつている。


注 1)  I.D.A国際開発協会


2)  OECD開発援助委員会

低開発国に対する技術協力は,訓練指導によるものと,開発計画に関するものとの二つに大別される。

前者は研修生の受入れ,指導技術者の派遣,当該国に技術訓練センターを設置する等であり,後者は当該国の開発計画作成,具体的プロジェクトの設計等のコンサルティングサービスである。


1 訓練指導に関する技術協力

まず研修生受入れについては,政府ベースで昭和29〜39年の11年間に6,320名,民間ベースで昭和34〜39年の6年間に1,200名を受入れている。業種別では 第5-8図 にみるように政府ベースで農水産は35.8%,鉱工業は21.4%であり,鉱工業の内訳も軽工業の41.2%建設の28.4%と,低開発国の発展の性向を如実に示している。

第5-8図 政府ベースによる技術研修生受入実績

第5-9図 海外技術者研修協による業種別研修生受入実績

民間ベースについてはプラント類の輸出振興,主要原材料および燃料の開発輸入等,鉱工業分野に重点を置いている。すなわちわが国産業界と政府の助成により発足した海外技術者研修協会は,製造工業についての研修生を受入れ,その内訳は 第5-9図 にみるように重電機器の22.4%,自動車の18%,通信機器の8.4%,繊維の8.1%を主とし,以下ほとんどの製造工業分野にわたつている。

また指導者の派遣については, 第5-10図 にみられるように政府ベースで,昭和30〜39年で771名であり,業種別には農水産業の40.2%,鉱工業の28.2%となつており,鉱工業の内訳は,軽工業の39%,鉱業の23.8%,建設業28.4%と研修生受入れと全く同様な傾向を示しているが,鉱業がその性格上,やはり現地派遣がめだつている。

民間ベースでは日本商工会議所が海外企業技術協力斡旋本部を設け,海外進出を希望する技術者,企業を登録し,海外からの要請に対しあつせんを行なつているが,その実績は 第5-3表 の通りであり,わが国企業の海外進出に対するなお一層の熱意が期待される。

第5-10図 政府ベース指導技術者派遣実績

第5-3表 技術者等海外進出促進事業あつせん登録状況

次に相手国と協定を結び,これにもとづいて設置する海外技術訓練センターについてであるが,昭和40年7月現在,セイロン漁業,インド小規模工業,水産加工,農業第1次(4カ所)および農業第2次(4カ所),パキスタン農業および電気通信,タイ電気通信,ヴィールス研究およぴ道路建設,アフガニスタン小規模工業,イラン小規模工業ならびにケニア小規模工業の7カ国13カ所の技術訓練センターが開所され,ガーナ繊維およびブラジル繊維の2カ国,2カ所,の技術訓練センターが近く開所される予定である。このほか日本カンボディア経済技術協力協定にもとづく農業,畜産,および医療の3センダーが運営されている。


2 開発計画に関する技術協力

これについては,政府ベースでは海外開発計画調査委託費及び投資前基礎調査依託費があり,前者は通商産業政策上有意義なもの,後者は外交政策上有意義なものに支出される。また民間ベースでは,海外投資等調査補事業及び海外中小企業技術協力補助事業があり,双方とも政府の補助により現地調査を行なつている。

これらについて昭和39年度の実績をみるとまず海外開発計画調査では,当該国の工業化計画,中小工業開発計画,水力資源,鉱物資源,マイクロ回線建設等に関する8件の開発計画が相手国の要請によつて行なわれている。

また投資前基礎調査については,港湾,橋梁,鉄道,都市交通網,海底ケーブル,水道等の10件について調査が行なわれている。

このように前者が産業立地的な調査となつているのに対し,後者はおもに環境整備的な調査となつている。これに対し海外投資等調査補助事業による調査は前二者をさらに一歩具体化したもので,わが国企業の進出の可能性の検討を行なうものである。調査内容は相手国の政治,社会,経済,自然条件等の諸事情を明らかにするものであり,一企業が商業ベースで実施することは困難であると認められるものについて国家が補助を行なうものであるが,本事業の調査により,今後の企業進出,プラント輸出等との結びつきが期待されている。

また海外中小企業技術協力補助事業は前者よりさらに具体的であり,現地調査にもとづく設計,見積りの作成,建設,運転,経営の指導のための技術者の派遣を行なつている。

以上のほか民間ベースの協力として,海外建設協力補助事業および昭和39年度に新設された海外コンサルティング契約予備調査事業等がある。


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