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1部  研究活動と研究投資
第5章  技術の交流
2  技術輸出の現状
(2)  技術輸出の内容



1 電気機械の製造技術

電気機械は合計69件で増加の傾向にあり,その技術内容も発送配電,産業用電気機械,積算電力計,けい光灯,電球等の強電関係からラジオ,テレビ,通信機等の弱電部門へと移行している。それらのうち先進地域には,ダイオード,通信機,特殊コンデンサー等高度の技術が向けられ,後進地域に対してはラジオ,けい光灯,電球,積算電力計等が輸出されている。したがつて先進国向けのものは特許実施権の許諾が主であり,後進国向けのものはプラント輸出,工場の新設に伴うもの等であり,これらに関する図面,技術資料の提供のほか技術者の派遣,相手方技術者の教育等が主となつている。


2 輸送用機械およびその他の機械の製造技術

輸送用機械においては,11件中5件を船舶で占めている。しかし,それらはいずれも後進地域向けであり,世界一の造船国を誇るわが国において,造船技術の先進工業国からの技術導入はみられても,先進工業国に対する技術輸出はみられない。

その他機械については,全体で20件であるが,繊維機械は11件と半数以上を占めている。これは低開発国の工業化が普通繊維製品の自給から始まることに起因すると思われるが,この11件中アメリカ,ソ連等へも輸出されており,前節にものべたように,この部門におけるわが国技術水準の高さを示すものであろう。このほか先進国向けとして西ドイツに対する丸鋼自動結束機の製造技術があげられるが,本部門における先進国向けはアメリカ2,西ドイツ,ソ連各1の計4件と非常に少ない。

技術輸出の方法は電気機械部門と同様に,ノウハウの提供,技術者の派遣,相手方技術者の教育等であり,一般に組立技術等最終段階の技術に関するものが多く,相手国の国産技術の進歩に応じ次第に部品の製造技術,加工技術と進んで行く傾向にある。


3 採鉱冶金関係技術

本部門は対価受取額,1件当り受取り額ともに1位を占めている。もつともこの中にはわが国技術輸出中最大の規模である日本ウジミナスのブラジルに対する製鉄技術の21億円を含んでいる。しかしこれを例外として除いても1件当り6,300万円と相当な額となつている。

本部門21件中鉱山開発技術は9件で約半数であり,銅鉱山1件以外は鉄鉱山である。これは従来から日本が輸入している鉄鉱石の品位の向上と数量的な安定供給をねらいとしての現地鉱山の合理化,近代化を図るための技術輸出が大半である。

その他鋼線,鋼索の製造技術が4件,溶接棒の製造,製鉄に関するものが各2件,アルミ鋳物,亜鉛鉄板,超硬工具等の技術が輸出されているが,本部門はほとんど低開発国向けであり技術者の派遣による技術指導がその主体をなしている。


4 化学工業関係技術

本部門の73件は,わが国技術輸出の第1位を占め,しかも先進地域への輸出比率も他部門を圧している事は前項にも述べた。これら先進地域に輸出されているのは,塩化ビニル,パラキシレン,尿素,ポリビニルアルコール,酢酸ビニルおよび医薬品のカナマイシン,コリマイシン,シノミン等世界的水準に達している製造技術で特許実施権の許諾または製造工程のノウハウ等が多い。

これに対し後進地域に対するものは,印刷インキ,塗料等の材料の選択,配合,処方に関する技術等,比較的技術経験の長い輸出しやすい簡単な技術と,尿素,苛性ソーダ,塩化ビニル等の製造技術のように高度の技術が輸出されている。しかしこれら高級技術については先進国に対するような特許実施権の許諾,一部プロセスのノウハウに止まらず,製造工程の一貫した図面,技術資料の提供,技術者の派遣および相手方技術者の受入教育等全般に及んでいる。


5 土木建設関係技術

本部門41件中東南アジアは29件を占め,残る12件も低開発地域であり,しかもダム,発電所,港湾設備,運河等産業基盤の育成のための国土開発的な総合技術に主体がおかれていることは,最近における低開発国の開発意欲がうかがわれる。

したがつて建設関係部門における技術輸出件数は年々増加し,その対価受取りもこれにともなつて,増加しており,この傾向は今後しばらく続くものと考えられる。

また,本部門がその仕事の内容上契約相手として相手国政府を対象とする場合が多く,したがつて本部門の技術輸出の成果が,直接間接に当該相手国に対する今後のわが国技術輸出に大きな影響を及ぼすことが想像され,技術輸出当事者の一層の努力と自覚が望まれる。


6 その他の技術

その他の部門の技術については,その多くが,最終製品の製造技術,加工技術が主であるが,ここでとくに目につくものとしては,真珠養殖技術の8件,グルタミン酸ナトリウム製造技術の4件がある。この両者とも歴史的にもわが国独自の技術である。またこの真珠養殖技術の対価受取り方法は,販売権を取得するとともに,生産量の1/2を現物取得するといつた契約がとられているが,これを金額に換算すると1件当り1億6,000万円と技術輸出部門中最大の受取り額となつている。


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