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1部  研究活動と研究投資
第4章  研究投資
1  研究費の推移と構成
(5)  研究費の国際比較


研究費に関して先進諸国と比較する場合,研究費の定義,統計のとり方,統計の対象の範囲,統計の精度等々で各国とも少しづつ相違があり,あまり詳細な比較はできないが,最近OECDで研究統計の標準化を試みている事情等もあり,近年になるほど比較可能な資料が得られているので,ここではごくマクロな比較から,わが国の現状を国際的に位置づけてみよう。

まず主要国の研究費の推移をみると, 第4-5図 に示すように,各国とも年々相当な増加をみせており,わが国のそれは増加率はかなり大きいが,絶対額においてはまだこれらの国に及ばない。これを国民所得に対する比率でみると, 第4-6図 に示すようになり,この面でもおくれをみせている。さらに国民1人当りの年間研究費負担額でみると, 第4-11表 のとおりとなり,研究費の格差は経済力の差に強く相関しているとみることができる。

一方このような差は,研究関係従業者の給与水準や政府の支出する国防研究費の多寡や,さらには民間企業における技術貿易収支の状況によつても,相当影響されるものと考えられる。この点わが国は,給与水準が低く,その分だけ相対的に研究費総額が低く,また国防研究費が非常に少なく,かつ技術導入料が多いので,これらを考慮すると,最近の各年度だけでみれば研究費の実質に見かけほどの差はないものと考えられる。

第4-5図 主要国の研究費の推移

第4-11表 主要国の国民1人当り研究費負担額および国民1人当り国民所得(1961年度)

第4-6図 主要国の研究費の国民所得に対する割合

次にこれまでの研究費の累計額については, 第4-12表 にみられるように,比較可能な1958年から1963年にかけての6カ年間の累計額では,この期間のわが国の研究費を1とすると,西ドイツが1.9,ソ連が6.6,アメリカは234となる。これに同期間のイギリスを推計してみれば3程度にはなろうし,フランスでも1.2〜1.5程度になる。研究が成果の積み重ねの上に推進されるものと考えると,科学技術の水準はその蓄積量の大きさに関係するといえよう。この意味から過去の蓄積の少いわが国では,むしろ上記諸国を上まわる研究費を支出することが必要であり,したがつて現状はまだまだ少いということができよう。

研究者1人当り研究費については,1962年度についてOECDが試みた比較があるので,これとわが国のそれを比べてみると, イギリス,西ドイツ,フランス等の約4分の1の水準である。研究者のとり方にちがいがあり,わが国の研究者数がやや多めになつていることはあるが,いかにも大きな差である。

第4-12表 各国の研究費の時系列および累計額

研究費の負担では,先進諸国においては国防研究費の政府支出が大きいこともあつて,政府の負担割合が大きい。1962年度について,OECDで比較したものにわが国のそれを加えてみると, 第4-7図 にみられるとおりである。とくにわが国は技術導入費が多く,これを研究費とみなして考えると,技術導入のほとんど全部が民間企業によつて行なわれている現状から,政府の負担割合は相対的にもつと小さくなる。

第4-13表 研究者1人当り研究費-1962年度-

第4-7図 主要国の研究投資における政府負担率(%)-1962年度-

研究活動は,その成果が広く人類の福祉につながることから,一面では非常に公共性の強いものであるといえよう。とくに基礎研究と呼ばれる範ちゆうのものには,国のなすべき先行投資として,政府が支出すべきものが多くあると考えられる。また民間ではなかなかやれないような研究,例えば原子力とか宇宙に関するもの,成果が出るまで非常に長い期間がかかるようなものなどについても,わが国においては一層政府支出分の増加することが望まれる。


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