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1部  研究活動と研究投資
第4章  研究投資

わが国における研究活動は,大別すると,民間企業,公社,公団(以下「会社等」という)と国・公・私立の研究機関(以下「研究機関」という),および国・公・私立の大学・大学付置研究所・高専等(以下「大学等」という)の三者によつて行なわれている,これらの種々の機関における,昭和38年度の研究投資について,いくつかの特長を次に述べてみよう。

まず,研究費の年々の増加については,昭和36年度までにみられた,20〜30%という率は,昭和37年度は15%,昭和38年度14%と低下し,増加率鈍化の傾向をはつきりと示した。また,従来,研究費の増加率は,国民総生産の増加率に比べて,およそ1.5〜2.0倍程度の値を示してきたが,昭和37年度からは,ほぼ同じ増加率となつている,

このような傾向は,とくに研究費全体の約3分の2を支出し,かつ使用している民間企業の研究投資の動向に大きく影響されている。昭和36年度までは,民間企業の伸びが著しく,全体の研究費の増加に大きく寄与していたが,昭和37年度以降は増加率が大幅に鈍化しており,売上高に対する研究費の割合をみても伸びなやみをみせ,全体の研究費の増加に対する寄与率は減少している。

研究費の国民所得に対する割合では,昭和38年度は1.77%で,昭和37年度の1.78%に対し足踏み状態であり,それ以前の年ほぼ0.1%前後ずつ上昇してきた傾向には頭打ちがみられる。

研究費の費目別内訳については,人件費の占める割合が増加して,昭和38年度では全体の42%となり,相対的に固定資産の購入額の占める割合が減つた。これは,昭和35,36年度にみられた,中央研究所設立ブームによる民間企業の研究設備投資が一巡したこと,および,最近の賃金の上昇等によつて人件費が増加したためである。

民間企業については,重化学工業部門の研究費の占める割合が逐年増加しており,昭和38年度では71.2%を占めるに至つた。

また,これと同時に研究費が大企業へ集中する傾向があり,資本金10億円以上の会社の占める割合は72.4%に及んでいる。

次に,研究者1人当りの研究費を総合物価指数を考慮した実質値でみると,経常的な研究費では昭和36年度以降横ばいであるが,固定資産の購入額も含めたものでは37年度から減少してきている。

研究費の負担者と使用者を,民間と政府(地方公共団体を含む)の二者に分けてみると,昭和38年度では,民間が全体の70%を負担,73%を使用しており,残りが政府で,全体の30%を負担,27%を使用している。

以上について,先進諸国と比較してみると,アメリカ,イギリス,西ドイツ,フランス等に比べ,研究費の総額でも,またその国民所得比率でも劣つており,とくにこれまでの研究投資額の累計では格段の差がある。また,国民1人当りの研究費負担額でみても,研究者1人当りの研究費でみても,わが国ではこれら諸国の2分の1以下である。

このような格差の理由は,根本的には国民所得水準などに示される経済力の差にあると思われるが,他の一つの理由は,国防,原子力,宇宙関係の研究費に関する政府支出に差があることで,政府の研究費負担割合は,諸外国では一般に50%以上にのぼつており,わが国の30%程度に比べ大きな開きがある。


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