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1部  研究活動と研究投資
第3章  国際協力
5  情報交流活動
(2)  国際的情報交流活動の促進


現在わが国で行なわれている情報の国際交流は,主としてわが国の大学,学協会,研究機関等と海外の関係機関との学術資料の交換,わが国の情報機関と海外の機関との協定による政府出版物,特許資料等の交換などの形で行なわれているが,各国とも国際的な情報交流の体制を整備,強化する必要を認め科学技術情報交流の促進について各種の国際協力がすすめられている。

国際的な協力作業の主な課題として,1)一次文献の入手を容易にする方法として専門別の雑誌のリストの作成,2)既に作成されている二次文献のリストの作成,3)二次文献(主として抄録)の作成,発行形体の標準化,著者抄録の活用,4)専門用語および命名法の国際統一,5)文献の分類方式の標準化,5)索引作成方法の研究,7)文献の検索方法,とくにその機械化の研究,8)文献の複写および再生方法,9)複写文献の利用にともなう著作権の問題,10)言語問題,文献の翻訳,国際的抄録に用いる言語の選定,11)情報専門家の養成およびその職業的地位の向上,12)国内的および国際的な情報交流に関るすセンターの設立,等がとりあげられている。

これらを取り扱う多数国間協力活動には,例えばユネスコ,国際ドキユメンテーション連盟(FID),経済協力開発機構(OECD),国際標準化機構(IS O),国際学術連合会議(ICSU)などの行なつている国際的情報交流促進計画がある。

ユネスコにおいては,従来からクリアリング・ハウスという名称のもとに,研究活動の基礎となる文献,統計その他の情報,資料の収集,分析,配布に関する活動の推進をはかつている。また,書誌・ドキュメンテーション・用語国際諮問委員会の援助のもとに,科学一次出版物,抄録誌,索引誌とその関連事業,科学翻訳と用語,科学ドキュメンテーションにおける機械化と記号化,会議,学会等に関する情報等について国際協カの推進をはかつている。゛国際ドキユメンテーション連盟(FID)は,世界の文献整理,とくに国際十遁分類法(UDC)の作成,その他ドキューメンテーシヨンに関する長期計画の策定など多くの活動を行なつてきている。その主な事業は,機関誌の刊行,その他文献管理,分類,複製,選択方法に関する各種出版物の刊行等のほか,国際十進分類法の追加・改訂,抄録,翻訳,ドキュメンタリストならびに情報専門家の養成,文献複写および検索法の検討,標準化および術語の統一などである。

OECDの情報活動における具体的な国際協力活動としては,科学研究委員会の活動の一つとして,国際通用語以外の言葉で出版される科学技術文献の利用活用を促進させるため,各国の現状ならびに発展状況に関する情報を正確,迅速に入手する方法を検討している。こうした活動の成果として,1960年にヨーロツパ翻訳センダーが設立された。また,OECDではわが国の刊行文献が諸外国でどのように利用,活用されているか調査を行ない,改善に有効と思われる諸点を示唆している。

また,国際標準化機構(ISO)は主として,各国規格の調整,単一化をはかるための国際的に統一した標準をつくりこれを奨励するとともに,加入各国の標準化事業およびISO専門委員会業務に関する情報交換を行なう等国際"的な標準化の推進をはかつている。

また,二国間協力活動には,日米間に行なわれている日米科学委員会を中心とする協力がある。科学技術情報・資料の交換促進に関しては,日米抄録機関代表者の会合と一次刊行物編集者の会合を開催することが日米科学委員会において勧告された。この勧告に基づいて,日米両国の抄録,索引技術の改善およびこの分野の技術的諸問題に関する意見の交換等のための抄録索引専門家会議,機械翻訳に関する基礎問題についての研究の現状紹介と将来の共同研究の推進のための専門家セミナー, 一次刊行物に関する現状紹介と一次刊行物をめぐる諸問題についての意見交換を促進するための一次刊行物編集者会議,等がそれぞれ開催された。これまでの諸成果を通じて今後は一層具体的な協力内容,方法などの検討に移ることとなつている。

このほか,今年11月国立国会図書館およびアメリカ原子力委員会(AEC)の共同主催でアジア・太平洋地域AEC資料寄託図書館研究会議が東京において開催されることになつている。

科学技術関係国際会議への参加,およびこれらの国内開催や科学アタッシエの強化などについでは,すでに前節で述べた通りである。なお,昭和39年度に科学技術会議では諸外国の科学技術情報活動の現状に関する調査を行なつたが,欧米の主要国においては,科学技術情報活動の国全体の体系の強化を国として取りあげ,既存の情報関係機関の強化,関係機関相互の連けいの強化,科学技術の進展に対処するための新しい専門機関の設置およびこれらの全体を総合調整し,国全体の情報活動の機能の強化につとめている。

以上の諸協力活動を通してとりあげられている一般的な課題のうち,わが国が当面している問題点として次の三点があげられる。

第一は情報の収集の問題,第二は言語の問題,第三は情報の伝達の問題である。

科学技術関係の文献資料の著しい増加は,情報収集上大きな問題を提起している。それは,資料の選択の面で,言語要因からくる日本文献の価値判断の行ない難い点にあること,ならびに情報収集の方法には,寄贈,購入および交換があるが,最近では寄贈,交換による情報収集が大きな比重を占めている。現在これらは,それぞれの専門情報機関において行なわれているが,経済的な面で協力活動を阻害している面がかなりある。

次に言語の問題があるが,わが国が研究成果の海外交流の重要性について認識し,その上にだつて,日本文献の外国語訳という仕事が始められたのは,1930年頃からといわれているが,戦後に至つてその気運はとくに高まりつつある。

自然科学分野においては,文献等を直接に外国語で発表することが多くなつてきてはいるが,重要な日本文献がありながら翻訳がないため,あるいは翻訳が十分でないため,海外での評価と利用の機会を失い,これが国際協力の面で一つの阻害要因となつており,翻訳についての問題が大きく取りあげられるに至つた。

日本の研究業績に対する認識を高め,それの海外での利用を促進させるためには翻訳は当分さけられない仕事であり,また翻訳の良否は論文の質の良否に大きく関係するので,専門分野の内容に精通し,かつ外国語に堪能な専門家を確保することが強く望まれている。この点に関して,日本在住の外国人専門家の協力が強く要請されているとともに,将来の方向として,エレクトロニクスを応用した機械翻訳がとりあげられ,プログラミング等に関する基礎研究,および計算機自体に関する基礎研究における問題点の検討が行なわれ,将来の研究協力への第一歩を踏み出した。

最後に,情報伝達の迅速性は,情報収集の網羅性同様に,情報活動における重要な要素である。これに関しては,抄録,索引サービスなどがあるが,抄録,索引作成の面で関係機関相互に重複する傾向が強くなつてきている。

この重複をさけるために,関係機関相互間で抄録等の交換を行ない調整がなされているところもある。

また,情報の有効な伝達手段として,抄録,索引誌の刊行を強化することはもちろん,その作成にあたつては,国際標準化機構(ISO)や国際学術連合会議抄録委員会(ICSUAB)などの勧告による抄録作成の指針の標準化をはかることは,相互利用上,また機械化サービスにおいて,大きな便宜をもたらすものと考えられる。

こうした活動の現況から,国際協力を今後より層,円滑に促進するためには,諸外国における研究成果の吸収,利用をはかると同時に,わが国の科学技術の成果をも積極的に提供する体制を確立することが望まれる。

最近の科学技術の発展により,あらゆる情報が相互により幅広く要求されるようになつたために,全般的な情報の収集と伝達組織とを考慮した,有機的な体制の確立が必要であり,これがひいては国際協力の円滑化を促進することにもなる。このような観点から,わが国における科学技術情報の総合センターとしての日本科学技術情報センターの拡充はきわめて重要であり,国の内外の研究者等の情報利用者に対する科学技術情報案内所としてのクリアリング機構の必要性が痛感されている。

また,わが国としては地理的に欧米諸国から遠隔の地にあり,とくに言語的障壁など,欧米諸国における国際協力の場とちがつた面があり,国際協力の効果を一層あげるためには,これらの点を十分考慮した情報処理技術を確立することが必要となつている。


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