ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
1部  研究活動と研究投資
第3章  国際協力
4  国際会議と科学技術者の交流
(4)  研究者の長期海外渡航


最近,優秀な頭脳の海外流出として問題となつているわが国の研究者の海外への長期渡航の実態はどのようなものであろうか。そこで科学技術庁の行なつた「科学技術関係研究者の国際交流に関する調査」結果に,文部省の行なつた「海外渡航研究者実態調査」中間報告のうち自然科学系研究者の数を加えたものを以下に紹介する。

まず,6カ月以上の長期間にわたる海外渡航研究者は, 第3-8表 の通りである。昭和34年から38年にいたる5年間に1年平均約1,000人が渡航していることになる。また,34年には686人であたものが38年度には1,117人と約1.7倍になつている。とくに民間企業ではこれが2.2倍と高くなつている。

わが国において現在活躍している自然科学系の研究者が約10万人とすれば最近の長期海外渡航研究者数約1,000人(年間)は,その約1%程度でありそのうちのいわゆる流出研究者は量的にはそれ程多いとはいえないと思われる。しかし,その中に年令的にも若くかつ将来をしよく望される有能な研究者がかなりあることを考慮する必要があろう。

第3-8表 長期海外渡航研究者の推移

長期渡航研究者を専攻分野別にみると, 第3-9表 の通りとなり,医薬系が一番多く,そのほとんどが医師である。また,大学では医薬系,理学系が,研究機関では工学系が,民間企業では工学系がそれぞれ優位を占めている。

第3-9表 専攻分野別長期海外渡航研究者数

また,渡航先は, 60カ国近くに及ぶが,全体の約3分の2はアメリカである。渡航者のほとんどが留学,研究を目的にしており,教授,指導等の目的で海外に出たものは約2%程度にすぎない。年令別では30才台が約半数を占め,40才台が2割強である。その渡航期間については,8割以上が2年未満となつている。

さらに,滞在費,旅費の出所別はどうなつているかというと,滞在費については渡航者の約5割がギャランテー(外国の法人,大学,個人等の負担),約2割が国連,外国政府,フルブライト等,約1割が日本政府またはこれに準ずる公的機関からの支出によつている。しかし,旅費については,国連,外国政府,フルブライト等によるもの約2割,ギャランテーによるもの約2割,日本政府等によるもの約2割とほぼ同数となつている。

次に,海外に就職した研究者は 第3-10表 のとおりである。すなわち,日本で勤務先を退職し,諸外国の研究所,大学,企業等に勤務しているものは合計143人となつている。このうち,文部省関係の人は128人,国立研究機関から行つた人は9人,民間企業から出た人は3人,その他から3人である。また専攻分野別では,数学,物理,工学系が75人,生物,農医薬系が58人であり,とくに数学,物理,基礎医学が多い。

第3-10表 海外に就職した研究者の推移

年度別では年々減少しており,年令別では30才台が6割近くを占め,次が40才台の順になつている。勤務先は渡航者と同様3分の2がアメリカである。

これらの結果だけでもかなり示唆に富むものではあるが,実態を究明し,有効な対策をたてるためにはこのほか,渡航の動機,長期滞在の意志の有無

第3-10表 西ドイツおよびイギリスの研究者の海外渡航状況

等を調査し,さらに研究環境,処遇等の厳密な比較を行なうなどの必要があるであろう。

参考までに,西ドイツおよびイギリスの研究者の海外渡航状況を示す最近の資料を 第3-10表 に掲げる。フランス,西ドイツ,イギリスなどでも最近研究者の海外流出が大きな問題になつているといわれている。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ