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1部  研究活動と研究投資
第3章  国際協力
2  0ECDの科学活動


経済協力開発機構(OECD)は,  マーシヤルプランの受け入れ機関として1948年に発足した欧州経済協力機構(OEEC)を継承して,1961年9月に設立されたものであり,経済成長の促進,低開発国の援助,自由貿易の拡大の三つの大きな目標を掲げて活動を行なつている。

OECDの性格は,OEEC時代の地域機構的なものから,次第に世界的なものになつており,加盟国もOEECの18カ国に,アメリカ,カナダおよび日本を加えて,合計21カ国に達している。

OECDには,理事会,執行委員会,予算委員会などの上部機構と,経済政策委員会,開発援助委員会,貿易委員会などの下部機構とがある。

科学技術関係の委員会には,科学研究委員会(CSR),科学者・技術者委員会(CSTP),技術協力委員会(TCC),欧州原子力機関(ENEA)等があり,またこれらの機構とは別に,科学関係閣僚会議およびその中間委員会などが設けられている。                OECDは設立以来,経済成長の促進および低開発国の援助における科学技術の果たす役割の重要性を認識して,これらの科学技術関係の委員会等の活動を活発に展開してきた。科学研究委員会は,研究者の有効な使用および経済成長にともない必要となる科学研究の開発とその合理化などを目標として活動している。科学者・技術者委員会は,各国の経済成長と関連する科学技術者の需給状況を調査検討し,教育投資計画について助言を行なうことを任務としている。また技術協力委員会は,開発援助委員会(DAC)を助けて開発途上にある加盟国に対する技術援助を行なつている。さらに,欧州原子力機関は,平和目的に使用する原子力の開発促進をはかる目的で設置され,共同事業,科学協力,情報交換,安全基準の作成等の活動を行なつている。わが国は欧州原子力機関に1965年2月に準加盟を実現した。なお,1963年10月に,第1回の科学閣僚会議が開かれ,科学技術と経済成長,国の科学技術政策等について,オブザーバーとして参加したわが国を加え,各国代表間で熱心な討議が行なわれた。

以下,広い分野にわたつて協力活動を行なつている科学研究委員会について,その最近の活動状況を述べることにする。

わが国は昭和39年4月にOECDに加盟して以来,科学技術の分野においては主として科学研究委員会の活動に積極的に参加してきた。

科学研究委員会の活動には,まず科学技術と経済に関連するものとして,科学技術,経済成長および政府の政策,各国別科学技術政策に関する検討,科学研究に対する資金や人材の配分に関する政策などがとりあげられている。次に,研究政策および研究行政に関しては,研究管理に関する各種の活動が,また科学技術情報に関しては,各技術分野別情報伝達方法の検討などが行なわれている。さらに,分野別検討に関しては,特定の分野における各加盟国の研究や行政的問題などの検討を行なつており,例えば水文学,オペレーションズ・リサーチなどが現在とりあげられている。このほか,天然資源研究の国際センターに関する事業として太陽熱,地熱開発国際センダーなどが設けられている。また,科学研究の国際協力に関し,多数の項目について共同研究を実施している。現在実施されている共同研究のうち主なものをあげれば,大気汚染に関する研究,水質汚濁に関する研究,道路安全に関する研究,金属表面の品質管理に関する研究,工業材料の磨耗に関する研究および農業等に必要な殺虫剤に関する研究などがある。

このような幅広い科学活動に,加盟各国はそれぞれの立場から参加しているのであるが,わが国も科学技術庁が中心となり,関係省庁等と参加方針などを検討したうえ,大気汚染,水質汚濁,道路安全等の各種研究グループへの代表派遣や国内での対応作業についても体制を整えつつある。

本委員会においては,経済成長と科学技術政策の関係を統計的に把握する目的から,1963年もしくは1964年を国際研究開発統計年と定め,自然科学,工学,医学,農業等の各分野における研究開発支出額,研究開発に従事する人的資源,技術貿易収支および国民総生産をはじめとする全般的統計資料について統一された様式で加盟各国から報告を求めるための作業がすすめられている。

また,科学研究委員会の主要な活動の一つに加盟国の科学技術政策の国別審査があるが,わが国も昭和41年この審査を受けることになつている。これは,各国の科学技術政策の計画や実施上の諸問題およびその改善策についてコンフロンテーション形式(交互質問の形式)によつて討議するもので,各国毎に順次行なわれており,すでにスウエ-デン,ギリシャについて審査を終え,1965年にはフランス,ベルギーについて行なわれた。審査を行なうにあたつては,まずOECD事務局が審査の対象国について現地調査するための審査官(エグザミナー)を指名する。審査官が委員会に提出した報告書にもとづいて,審査官と対象国の政府代表とが委員会の席上コンフロンテーション形式によつて質疑応答を行ない,その間,随時各国代表の質問および意見の交換が行なわれる。最後にその結果について全会一致方式で勧告,報告などが行なわれることになつている。

わが国の審査は,1966年度の科学研究委員会の事業計画の一つとしてとりあげられているが,現在までOECDのコンサルタントが来日して予備的な調査を行なつており,審査官もすでに内定している。

わが国がこの審査を受けることは,急速な工業発達,経済発展の鍵となつたわが国の科学技術政策の全貌を世界に対して明らかにする好機であるという意味からばかりでなく,国内では見逃されやすい種々の問題を諸外国から ゛客観的に指摘してもらえる好機であるという意味からも,わが国の今後の科学技術政策の推進に貢献するところが大きいと思われる。とくにわが国においては,昨年9月臨時行政調査会から科学技術行政に関する改革意見がだされ,現在政府において検討中であるほか,科学技術会議および日本学術会議において科学技術基本法,科学技術振興長期計画等が検討されている折から,OECDという国際的な場において,わが国の科学技術政策の検討が行なわれることに,各方面から強い関心と期待がよせられている。


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