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1部  研究活動と研究投資
第2章  総合分野における研究
12  人間科学


人間科学は,人間とそれに関係ある諸諸問題を扱うきわめて多面的な総合科学であり,社会における人間の行動の解析にもとづいて,問題の解決を見出そうとするものである。

今日の社会では,ほとんどの人々は,何らかの意味で科学技術の影響をうけ,そのために生ずる問題もまた多い。とくに,生産活動に従事する人々は,急速な技術革新との直接的な接触のため,きわめて多様,深刻な問題に当面している。このような科学技術と人間との相関は,人間科学が当然取上げるべき大きな命題の一つであり,人間性の尊重に立脚し,人間能力の新たな開発のために,従来の労働医学,労働衛生学,精神衛生学などの分野をこえた総合的な立場からの研究が進められなければならない。

わが国においても,最近の急速な技術革新は,作業内容の変質と,労働力の高生産性産業への移動をもたらし,さらに,平均寿命の延長などから,労働力構成は,次第に老齢化しつつある。

このような変化は,必然的に従業者に対し,新しい職種への急速な適応を要求するものであり,そのスムーズな運用のためには人間科学的な見地から各種産業の要求する作業能力を検討し,これに対応する個人の能力を測定評価して,適正配置,効果的訓練の方途を確立しなければならない。

個々の産業にとつても,このための研究はきわめて重要であり,また多くの努力が払われているが,研究の根本である人間能力の評価についてはきわめて多くの要素が複雑に交絡し合つており,多くの科学分野からの基礎的な研究の積重ねを必要とし,したがつて,国がこの面で積極的な役割を果たすべきであると考えられる。

このような状況から,昭和38年度から,科学技術庁は人間科学に関する総合研究計画を設定・推進し,厚生,労働両省を中心に,その研究機関および大学その他の研究機関の参加により,第1次の3カ年計画が実施されている。

この計画は,作業環境における人間能力の測定評価方法の確立を目標とし,人間能力を構成要素(筋力などの身体的要素,課題処理,弁別などの精神的要素,各種の環境に対する適応力など)に分解し,各要素の変化の範囲,適応の仕方などを究明して,各要素のもつ意味・重要性を検討し,これらをどのように組合わせ評価すれば,人間能力として近似し得るかを明かにしようとするものである。現在実施されている研究は,おおむね次の通りである。


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