ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
1部  研究活動と研究投資
第2章  総合分野における研究
7  ガン対策と医用電子技術
(1)  ガンの研究と診療


ガンの患者は,医学の急速な進歩にもかかわらず,世界的に増加の傾向を示している。このような事態に対処して,わが国のガン研究は,日本ガン学会,ガン治療学会,胃集団検診学会,肺ガン研究会の各学会を中心に,文部,厚生両省関係研究機関,国立病院,大学などにおいて活発に進められている。

子宮ガン,頸頭部腫瘍,骨腫瘍,網内系腫瘍,乳ガンなどに対しては,それぞれの関係学会において研究委員会がつくられ,また,乳ガン,胃ガンについては,国際的な協同研究も行なわれている。さらに,これらの研究を綜合し,より有機的な関連をもつて有効な推進を行なうため,昭和40年度からは,文部,厚生両者が中心となつて,広汎な綜合研究計画がつくられることになつている。

ガンの基礎的研究は,発ガン・制ガン機構をはじめ,ガンの増殖・転移,ウイルスによる腫瘍などの各方面に盛んに行なわれており,最近では,制ガン剤,発ガン性物質と核酸との反応のような,分子生物学的立場からの研究も重要視されている。

また,薬品あるいは免疫物質による人体のガンに対する抵抗性の強化の問題が急速な注目を集めつつある。

診断の面では,わが国で最も大きな割合を占める胃ガンについてみると,ここ数年,その早期発見に多くの努力が払われ,胃カメラ,X線の所見における早期ガンの特長の把握と細胞検査の技術向上の結果,90〜95%の早期ガン診断率が得られるようになつた。胃ガン集団検診の普及,胃カメラ,細胞試料採取装置の進歩(胃内を観察しながら写真撮影試料採取が可能となつた)も,ガンの早期発見に大きく貢献している。

ガンの治療に用いられる放射線源は,ガンの種類,部位により種々のものを必要とするので,最近ではこれら各種線源をセンターに集中設置する形態が一般化しつつあり,装置および技術の進歩の結果,ガンの部位によつては手術と同等またはそれ以上の治癒率が得られている。とくに最近普及しはじめたベータトロンあるいはリニアックのような高エネルギー照射装置はガン治療に新らしい可能性を開くものとして期待されている。

制ガン剤として現在試用されているものは大別して5種類(アルキル化剤,代謝抵抗剤,抗生物質,ホルモン剤およびその他の薬剤)あり,全身的な副作用を防ぐためにガン局部附近の血管にのみ薬剤を注入する方法(局所かん流法)も開発されている。しかし,その効果はまだ一般性がなく,臨床的には,単独治療法としてよりも,手術後残存するガン細胞に作用させ,再発を抑制する効果を期待する方向に進んでおり,より有効な新らしい制ガン剤の開発が待望される。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ