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1部  研究活動と研究投資
第2章  総合分野における研究
5  材料
(3)  非金属無機材料


非金属無機材料のもつ耐熱性あるいは特異な電磁的性質は,近年多くの分野からの注目を集めつつある。たとえば,ジエットエンジンの性能,特に出力,熱効率の向上には,噴射推進の際の燃焼ガスの温度上昇が極めて重要であつて,高温加熱部分の材料が大きな問題となつてきた。金属ではどんな特殊合金でもせいぜい800°C以下しか耐えられない。そこで米国では,金属の表面をセラミック材料で被覆保護する所謂セラミックコーティーングを研究しその使用温度を向上させることに成功した。

このことは極めて有益な発明であつたが,表面被覆ではせいぜい100〜200°C程度の使用温度の向上であり限度がある。そこですぐれた耐熱材料そのものの開発に研究がむけられ,金属粉と耐火性物質粉とを混合焼結した所謂サーメットの研究が盛んになつた。

非金属無機物質は,このような耐熱性のみならず,抵抗体,高誘電体,強磁性体等としても金属材料やプラスチックス等の有機材料には求めることの出来ない特性を有しているため,原子力工学,宇宙工学,電子工学などの進展にともないその研究が盛んになつてきている。

このような近年開発されつつある無機質の新材料はニュ-セラミックスと呼ばれているが,わが国では新らしく開発された材料のみならず,既知のものでも今までにない優れた性質をもつ新らしい材料はニュ-セラミックスの中に含めて考える場合が多い。

非金属無機材料のうち従来アルミナ(Al2 O3 ),ジルコニア(ZrO2 ),ステアタイト(MgSiO3 ),チタン酸バリウム(BaTiO3 ),  フエライトなどは耐熱体,高周波絶縁体,高誘電体,強磁性体等としてよく知られていたが,最近はベリリア(BeO),ウラニア(UO2 ),  トリア(ThO2 ),炭化ウラニウム(UC,UC2 ),窒化珪素(Si3 N4 )その他色々の材料が大きくとりあげられてきている。例えばアルミナは今日迄各種の材料として極めて重視されているが,近年アルミナバイトが切削速度を大きく出来る工具として開発され,また,レーザー材料として注目されている。原子炉を高温で長期運転するために,最近はUO2 ,UC,UC2 のような高融点の窯業核燃料を用いれば,熱効率のよいことが注目されている。炭素はすぐれた高温材料で,ロケットやプラズマ関係の材料等に用途が拡がつている。また,ダイヤモンドはすぐれた研削材料として工業的に生産されるようになり,導電性のもの,半導体のものなど,注目されているものがある。デビトロセラミックス,結晶化ガラスも近年発展したもので,低膨張性,無膨張性等の従来のガラスとは全く異つた性質を示すものが出現した。さらに感光性ガラス,半導体ガラスなど注目すべきものが多い。

非金属無機材料特にニュ-セラミックスは,同じ成分でも純度や添加物の種類,製作条件の相違等によつて,その物性は大きく変わり,全く異つた性能を示すことが極めて多い。今後苛酷な条件に耐える新らしい材料を開発するためには,今までより以上に特殊な原料や高純度の材料などが当然要求されてくる。

このような酸化物,炭化物,窒化物,硼化物,珪化物等の単独またはその・組合せによる各種の非金属無機材料の前途は洋々たるものがある。しかしこれらの材質の研究は,まだ充分解明されていない極めて高温高圧の物理化学を土台としたむずかしい領域に属しているので,世界的にみても,研究者の努力にもかかわらず,その成果があがりにくく,他の材料分野に比べて開発がおくれている。とくに我国においてはその感が深い。

このような状況から,科学技術庁では,これら非金属無機材料に関する研究を促進するため,非金属無材料に関する研究所を設立すべくその準備を進めている。


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