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1部  研究活動と研究投資
第2章  総合分野における研究
3  直接発電
(3)  開発の現状


ここでMHD発電の研究開発の現状について燃焼型と閉サイクル型に分けて簡単にのべる。


1 火力用燃焼型

現在,世界各国で出力30〜50万KWのMHDトッパー火カプラントの演習設計,経済評価等が盛んに行なわれている。

ガス温度が2,3000 K程度以下になるとガスの導電度が下がり電力を有効に取り出せなくなる。したがつてその温度以下では,ガスの熱エネルギーをむだにせぬため,これを電気に変える別の変換方法を考える必要がある。そのうち有効なものは,熱交換器を通して在来の汽力発電方式を用いるもので,この場合MHDがトッパーの役目をする。この MHD と在来型火力発電とを組み合せた方式がMHDトッパー火カプラントである。

第2-1図 火力用MHD発電開発状況と計画

第2-1図 は世界各国における燃焼型の開発状況を示したものである。この図からわかるように,開発の方向は二つに分かれる。

一つは大出力・短時間,もう一つは小出力・長時間のもので,それぞれMHD発電実用化のための二つの問題解決を目的としている。すなわち,実用のMHD発電の出力はすくなくとも30〜50万KW以上でないと,経済的に有利でない。したがつて熱損失,磁界発生のためのエネルギー損失等を上回る出力が得られるような大型機を試作して,実用プラント建設のための技術的問題点の把握や,経済評価を行なおうというのが,大出力・短時間機開発の目的である。

一方,小出力・長時間機の目的は,長時間実用機の開発に不可欠な耐熱流路壁および電極の材料構造の研究にある。

このほか技術開発上の問題点とされているものは1)3,000゜K程度の燃焼ガスをつくるための高負荷燃焼装置,2)シード物質の添加および回収方法,3)発電部を出た高温のガスと空気を熱交換させる高温熱交換器,4)前述の強磁界を得るための超電導マグネット等であり,これらの研究開発はある程度分離され,並行的に進められている。


2 原子力用閉サイクル型

これは高温ガス冷却原子炉の冷却材であるガスをMHD発電の作動ガスとして使用するものであるが,高温ガス冷却炉そのものが現在開発段階にあり,その実用化を前提としているため,この型の研究は基礎的段階にあるとみられる。

作動ガスはアルゴン,ヘリウム等の希ガスにセシウム(またはカリウム)をシードしたもので,これらは燃焼ガスに比べて,かなり低い温度で高い導電度を示すが,MHD発電に有効な導電度は1,800゜K以上でだいと得られない。ところが,現在の試験用高温ガス冷却炉のガス温度は1,100°Kぐらいまでであり,1,500°K〜 1,800°Kぐらいまで上げられる見通しも出ているが,いずれにしても,作動ガスに比較的低い温度領域で十分な導電度をもたせることが問題である。そこで作動ガスを熱的に非平衡状態にして,低い温度領域で導電度を上げようという,非平衡電離法が,この型の中心課題になつている。

現段階では,原子炉に相当する熱源として電気ヒーターによるシミュレーターを用い,小規模実験装置によつて非平衡状態の研究が行なわれているが,非平衡状態が確認されたのはまだ一例しかない。


3. その他

その他現在のMHD発電方式はすべて直流であるが,交流発電方式に関する理論的研究や,小規模実験も行なわれはじめている。また作動流体として気体のかわりに液体金属を用いることも考えられている。この場合は,金属であるから導電度がはるかに高く,作動温度が低くて,大きな出力が得られるはずであるが,熱エネルギーをどのようにして液体金属の運動エネルギーにするか等の問題がある。

さて,以上のような種々の方向に沿う,研究が,各国で行なわれているが,国によつてその研究の方向や重点のおき方に多少のニュアンスの相違がみられる。

例えば,アメリカをみると,MHD発電研究を最初にはじめ,以来トップを切つているAVCOは,電力会社との共同研究体制をとつて燃焼型の研究を主に行なつているが,NASAや軍関係の委託研究は,もつぱら非平衡の研究に向かつているようである。これはMHD発電の目的が地上用よりむしろ宇宙船用であるためと思われる。原子力とMHDを組み合わせ,MHD発電の原理を逆に使つて原子力ロケットのプラズマ推進器(イオンロケット)も考えられているようである。

これに対し,イギリスなどでは石炭が豊富なので燃焼型の研究が盛んで,変換効率の高い発電方式としてMHD発電が取り上げられ,さらに天然ガスの使用も考えられているようである。

わが国のように燃料費が割高で,燃料の輸入依存率の高いところでは,変換効率の高い発電方式という点で,MHD発電が注目されている。


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