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1部  研究活動と研究投資
第1章  政府の施策
2  科学技術関係予算
(5)  研究関係補助金,委託費等


国全体の研究活動は,研究の目的や性格に応じて,国立試験研究機関,大学,民間の研究機関等多くの研究機関によつて分担して推進されている。そして,国が特定の研究を一層促進しようとする場合,国自身の研究活動を強化するとか,国立試験研究機関以外において行なわれる研究活動を援助することが考えられる。後者の場合も,民間の研究資金に対して税制上ないし金融上の優遇措置を講ずるなどの間接的な方法と,補助金,委託費の交付によつて資金の一部ないし全部を供給する直接的な方法とがある。また,国自身で研究を推進するにも,国立試験研究機関で行なう場合と既存または新設の特殊法人研究機関などに行なわせる場合とがある。

科学技術振興関係費中における研究補助金,研究委託費などの最近の推移を,原子力関係も含めて省庁別に示したのが 第1-8表 である。

第1-8表 研究関係補助金,委託費等の省庁別推移

すなわち,科学技術振興費中の補助金,委託費は昭和38年度の51億円から39年度は54億円,さらに40年度は61億円と増加しているが,科学技術振興費以外の補助金,委託費は,昭和38年度26億円,39年度32億円,40年度38億円であるから,両方合計すると,昭和38年度77億円,39年度86億円,40年度99億円となる。これでみると,補助金,委託費は科学技術振興関係費の8%程度を占めていることがわかる。

現在支出されている主要な科学技術研究のための補助金,委託費は 第1-9表 に示す通りである。そのうち,金額的にもつとも大きいのは,文部省から支出されている科学研究費交付金であり,これと科学試験研究費補助金をあわせると,昭和38年度27億円であつたものが,39年度は29億円となり,40年度は従来と区分方法に若干変更があつたが,約34億円に達している。これは,科学技術振興費中の補助金,委託費総額の50%を越えるものである。この交付金は主として大学に対して支出されており,研究分野はすでに述べた通り理工農医の各分野にわたつており,特別な題目の重要研究の推進や組織的な研究の育成に大きな役割を果たしている。このほか,文部省からは民間学術研究団体に対する補助金(昭和39年度1億3,000万円)と研究成果刊行費補助金(同年度6,000万円)公立大学設備費補助金(同39年度4,900万円)などが支出されている。また,科学技術振興費以外では,私立大学における学術の基礎研究に必要な機械器具等設備に対する補助と私立大学等(大学・短大・高専)の理科系学部学科学生の実習用設備に対する補助をあわせて,昭和39年度は35億円が支出された。

次に産業技術を対象とするものでは,通商産業省から支出されている鉱工業技術試験研究補助金が金額としてもつとも大きい。昭和39年度は,とくに産業構造の高度化または国際競争力の強化に著しく寄与する重要な技術の試験研究のうち指定課題に該当するもの110数件について7億6,000万円の補助を行なつた。指定部門には,電子機器,新発送電方式,測定・分析等機器・機械,宇宙開発機器,V/STOL,高分子化学,組立建築(プレハブ)用部材,工業材料,公害防止,産業保安などがある。なお昭和39年度における共同研究として注目すべきものは,垂直短距離離着陸用軽量構造エンジンの特定要素製作に関する試作研究,写真レンズの生産自動化に関する研究,高性能大型電子計算機の試作研究などがあげられる。また,39年度に新たに計上された重要鉱工業技術試験研究委託費は,国として重要な鉱工業技術に関する研究のうち,国が行なうことが困難なものについて,その研究の効果的な推進をはかるため民間に委託しようとする趣旨で設けられたものである。39年度は直接発電に関する研究について,委託費6,300万円が交付された。このほか,中小企業技術振興をねらいとする中小企業輸出振興等技術改善費補助金,中小企業技術指導補助金および石炭鉱業特別対策事業の一環としての石炭技術振興費補助金が支出された。

農林水産業の技術分野については,農林省から農林水産業特別試験研究費補助金が大学,民間に,農林水産企業合理化試験研究費補助金が関連企業にそれぞれ支出されている。また,都道府県の農業試験場,蚕業試験場,林業試験指導機関,水産試験場等に対して試験研究費補助金が出されている。なお,昭和39年度から新たに漁況海況予報事業補助金が交付されることになつた。これらの総額は昭和38年度が5億4,000万円,39年度は6億1,000万円であつた。このうち都道府県の農業試験場に対する補助金がもつとも多く,農林省の試験研究補助金の60〜70%近くを占めている。

このほか運輸技術については,交通事故防止,高経済性船舶および新形式輸送機関の開発,航空交通管制,鉄道車両,自動車,港湾施設等の研究を中心に,運輸省から科学技術試験研究補助金(39年度6,900万円)が支出されており,建設技術に関しては,国土計画,河川,道路,建築関係等に対して建設省から建設技術研究補助金(39年度2,000万円)が支出されている。また,厚生省からは,医療,社会福祉関係を含めて昭和38年度は8,900万円,39年度は1億4,200万円が支出されている。厚生省については,このほか地方衛生研究設備費補助金,ガン研究助成金など昭和38年度に1億2,500万円,39年度に1億2,600万円が支出されている。

以上のほか,各省に共通する総合的,基礎的な研究分野,例えば,大気汚染,水質汚濁,人工降雨,凍結乾燥などを対象として科学技術庁から補助金および委託費が出されているが,それは昭和38年度で8,000万円,39年度で6,000万円であつた。科学技術庁からは,そのほか発明実施化試験補助金,地方発明センター補助金,資源総合利用方策調査委託費などが支出されている。

また,宇宙,原子力といつた新しい総合分野の研究についての助成が行なわれている。宇宙科学技術については,観測用ロケットの試作,実験等を民間に委託してきており,昭和38年度は約1億3,000万円の研究委託を行なつた。ところが39年度には,宇宙科学技術の推進体制を整備して,一貫した観点から強力にこれをすすめるため,宇宙開発推進本部が科学技術庁の付属機関として設けられたので,これらの予算は一括して同本部に計上されることになつた。また,原子力については,原子炉の構造や安全性等に関する研究委託費と,動力炉の開発,放射性同位元素の利用などに関する研究補助金とが支出されているが,両者あわせて昭和38年度は約3億円であつた。

第1-9表 主要な科学技術研究補助金,委託費等

一方,補助金,委託費とは一応別であるが,特殊法人の研究機関または研究推進機関等に対する政府出資金は年々増加している。これらの出資金の推移は 第1-10表 に示される通りである。

これらの特殊法人は,出資金のほかに,補助金の交付を受けたり,さらに民間の資金をあわせて,積極的に研究開発を推進しており,今後の国の研究活動にますます重要な位置を占めるものと考えられる。

例えば,理化学研究所においては,物理・化学を主体とした基礎および応用研究の推進がはかられているが,昭和39年度は埼玉県朝霞地区への移転建設工事およびとくにサイクロトロンの建設が促進された。また,新農薬創製の研究のため新たに研究室が設置され,このため政府から14億4,700万円の出資金が支出された。このほか,文部省等からの補助金の交付をうけ,また民間からの研究の委託に応じて,研究活動が推進された。

第1-10表 特殊法人研究機関等に対する政府出資金の推移


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