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1部  研究活動と研究投資
第1章  政府の施策
2  科学技術関係予算
(3)  総合研究関係の予算


国が総合的に推進すべき試験研究として指定した研究分野に,どのように予算が支出されているかを示したものが 第1-5表 である。この表にあげてある分野は,科学技術庁が中心となり,各省庁の試験研究機関の緊密な協力体制のもとに推進されている防災,宇宙,海洋等のいわゆる重要総合研究に該当するものである。このほか国が総合的に推進しているものでは原子力があるが,原子力関係の研究推進体制は他の総合研究部門のそれと若干異なつているので別に述べることとする。

第1-5表 重要総合研究関係の研究費

防災科学技術については,台風,高潮,地すべり,洪水,雪害,異常気象などを主とする災害防止のため,国立防災科学技術センターが中心となり,関係省庁の協力をえて総合研究体制の強化がはかられ研究が推進されている。

環境科学技術については,大気汚染,水質汚濁,騒音振動などの公害問題が生活環境改善に関する問題としてとりあげられ,関係省庁の協力のもとに研究推進がはかられている。

海洋科学技術については,海洋科学技術審議会の答申の線に沿つてすすめられているが,昭和39年度は沿岸における海象ならびに地形地質に関する基礎的共通的分野の総合研究が行なわれるとともに,潜水調査船の開発に関する試験研究等が委託によつて行なわれた。

電子技術については,電子技術審議会の意見を尊重し,基礎電子技術,エネルギー変換技術,電子計算技術,自動制御技術および医用電子技術等の8部門が重点的にとりあげられて推進されでいる。

昭和38年度から重要総合研究分野として指定された対ガン科学技術は,39年度から医療科学技術として推進されることになり,ガンの予防,治療技術の研究のほか,はしかワクチンの研究,エルトールコレラ防疫対策研究などが採りあげられ,厚生,労働,文部等の各省の協力のもとに推進がはかられた。

最近問題になつているガン対策について,研究費に関係行政費を加えた国のガン対策費は, 第1-6表 に示す通りである。

このほか,都市工学については,昭和39年度に都市交通管制に関する研究が推進された。

産業保安技術については,炭じん爆発にともなう一酸化炭素中毒障害等の問題が追求された。航空技術については,航空技術審議会の答申を参考にして,超・遷音速機,V/STOL等に関する研究の推進がはかられた。また,人間科学については,昭和38年度から3ヵ年計画で人間能力の測定評価方法について総合研究が推進されている。水高度利用技術については水収支の機構に関する総合研究が推進された。なお,生物科学については実験動物に関する総合研究がすすめられている。(なお,宇宙科学技術については,本節(2)および次章1参照。)

第1-6表国のガン対策費

重要総合研究は,研究を担当する国立試験研究機関の予算と科学技術庁に計上されている特別研究促進調整費などが主要な財源となつて運営されている。その額は逐年かなりの増加を続けており,昭和39年度,40年度においては,それぞれ37億円,41億円となつている。これは科学技術振興費の約9%強を占めているが,ここに示す数字には人件費等が含まれていないので,この割合は実質的には上述の数字を相当に上廻つているものと思われる。

また,この重要総合研究の推進に大きな役割を果たしている特別研究促進調整費は,とくに推進する必要のある重要な研究でかつ早急にその成果が期待されるものについて,各省庁の研究業務の総合的な促進と相互間の調整をはかるために科学技術庁に一括計上される予算であつて,その額は昭和38年度2.5億円,39年度3.9億円,40年度5億円と年々増加している。

以上の重要総合研究は,主として科学技術庁が中心となつて推進されているものであるが,文部省,農林省,通商産業省などにおいても,それぞれ関係分野の研究の総合的な推進がはかられている。すなわち,文部省の科学研究交付金制度(昭和40年度から科学研究費補助金に統合された)において,放射線影響,核融合,災害科学,超高層物理,ガン,ウイルス,脳,大気汚染,水質汚濁などの重要課題を特定研究ないし総合研究として指定し,年次的計画的な研究の推進を行なつている。また農林省においては,構造改善,生産性の向上,選択的拡大等新しい農林水産業施策の動向に即応し,農林水産業が産業として確立して行くための前提となる革新的な新技術の創出と,その早急な体系化を期するため,とくに重要な試験研究を特別研究費をもつて推進している。昭和39年度においては,構造改善対策研究,研究開発的共同研究,行政対策関連研究,重要個別研究等に分けられ推進された。さらに,工業技術院においては,試験研究所の特別研究として昭和39年度は1)将来の技術の中核となるような試験研究,2)産業保安および公害対策技術,輸出振興対策技術,資源開発技術等の所管行政に密接する問題で解決を急がれる研究,3)各試験研究課題のうちとくに国として解決を要望されている研究,4)各試験研究所の協力体制を確保することにより早急に研究成果をうることが期待できる研究等を中心として推進がはかられた。特別研究のうち,とくに重要なものは指定研究として推進され,またこれらの重要研究の総合的推進の調整のために昭和39年度は12.6億円が計上された。また工業技術院では,鉱工業技術試験研究の助成にあたつても,国の研究との関連のもとに,補助金については鉱工業技術試験研究補助金指定課題が設定され重点的な推進がはかられている。また委託費については,昭和39年度は直接発電に関する研究がとり上げられた。


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