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1部  研究活動と研究投資
第1章  政府の施策
1  主要施策の動向
(4)  技術開発の促進


政府は国の行なう研究活動の強化につとめるとともに,民間の研究活動を盛んにし,国産新技術を開発・育成するための諸施策を講じている。すなわち,技術導入の審査を通じて優れた外国技術導入をはかる一方,補助金・委託費等による直接的助成および金融・税制上の優遇措置,研究組合制度などを通じて間接的助成等を行なうとともに,新技術開発事業団による新技術の企業化の開発委託,あつせんなどを行なつている。さらに,工業標準化事業,特許行政の推進および各種の普及広報活動,奨励制度の推進等によつて広い意味での科学技術振興の基盤の整備につとめている。

まず,外国技術導入に関しては,昭和39年度の技術導入は1,041件(うち甲種500件,乙種541件)で,昭和38年度の1,137件(うち甲種564件,乙種573件)より件数では僅かながら減少したが,金額にして39年度は559億円(うち甲種500億円,乙種59億円)であり,昭和38年度が487億円(うち甲種446億円,乙種41億円)であつたので,約70億円の増加となつている。この技術導入の動向に関しては第5章において述べる。

次に,民間等の国以外の機関の行なう研究に対する直接的助成としての補助金・委託費のうち主なものについて述べると,科学技術庁から支出しているものには科学技術試験研究費補助金および同委託費,原子力平和利用研究費補助金および同委託費,発明実施化試験費補助金,資源総合利用方策調査委託費などがある。文部省では科学研究費補助金,科学試験研究費補助金のほかに私立大学の研究関係の補助金を支出している。厚生省からは科学試験研究費補助金のほかに結核研究やガン研究等に補助金を出している。農林省関係では指定試験事業委託費,都道府県農業関係試験場費補助金,農林水産業特別試験研究補助金,農林水産企業合理化試験研究費補助金などを支出している。また通商産業省からは,鉱工業技術試験研究費補助金,重要鉱工業技術試験研究委託費,中小企業技術改善費補助金,中小企業技術指導費補助金,石炭技術振興費補助金などを支出している。そのほか,運輸省から支出している科学技術試験研究費補助金および建設省から支出している建設技術研究補助金などがある。

また,民間の研究に対する間接的助成として,研究資金に対し各種の税制上の優遇措置がとられており,現在までに実施されている研究関係税制措置は巻末の一覧表(付表1-1)に示す通りである。

このうち主なものは,試験研究用設備の特別償却制度,新技術企業化設備の特別償却制度,試験研究法人等に対する寄付金に係る損金算入限度額の特例,特定寄付金についての税額控除制度,技術輸出所得の特別控除制度などである。

政府は,科学技術会議の諮問第1号答申の趣旨に沿つて,関係税制の改善につとめているが,昭和39年度税制改正において実現をみたものは次の通りである。


1 試験研究用機械設備等の特別償却制度および開発研究用機械設備等の特別償却制度の統合および拡大

従来の試験研究用機械設備等の初年度3分の1特別償却制度および開発研究用機械設備等の初年度10分の1の特別償却制度を統合してその拡大をはかり,昭和39年4月1日から42年3月31日までの間に取得した開発研究機械等について,初年度におい取得価額の95%相当額を償却できることとした。(租税特別措置法第12条,第44条)


2 特定寄付金制度の拡大

教育または科学の振興をはかるため,個人の行なう寄付に対する寄付金控除制度につき,控除対象限度額を従来は所得の10%であつたのを20%に,控除額を従来は控除対象寄付金の20%であつたのを30%に,それぞれ引き上げた。(所得税法第15条の6)


3. 技術輸出所得の特別控除制度の拡大および延長

技術輸出所得控除制度の適用期限をさらに5年延長(昭和44年3月31日まで)するとともに,控除割合を,海外への技術提供による収入金額の70%(従来は50%であつた)に引き上げ,さらに,適用対象に対外支払手段を対価とするコンサルティング業務を含め,この場合の控除割合を収入金額の20%とした。(租税特別措置法第21条,第58条,第13条の3の4項)このように,研究用機械について事実上初年度全額償却を認めるようになつたことは画期的なことであり,他方,技術輸出所得控除制度の充実は,開放体制を迎え,国産技術の育成によつて一層の輸出振興をはかろうとするものである。

また,科学技術映画フイルムの輸入関税の免除については,昭和40年度から関税定率法等の一部改正を行ない,学校,博物館,研究所その他これらに類する施設において使用される教育用のフイルム(撮影済みのもの),スライド等について関税の免除が認められた。

次に,わが国で開発された試験研究の成果を企業化に直結させるための措置としては,新技術企業化用機械設備等に対する税制上の優遇措置があり,さらに積極的助成策として日本開発銀行ならびに中小企業金融公庫に対し,新技術の企業化に際し,必要な設備資金ならびに長期運転資金(公庫のみ)について融資あつせんを行なう制度がある。昭和39年度における申請件数は11件,うち推せん件数は9件,また同年度総工事額38億2,200万円に対し同年度推せん額は12億3,500万円であつた。

なお農業においては,新しい能率的な農業技術の採用により農業経営の改善をはかるため,農業改良資金制度があり,昭和39年度においては,資金の貸付枠を39億円(38年度18億円)と大幅に拡大した。

さらに,鉱工業技術の効率的な向上をはかるため,これに関する共同研究を推進することをねらいとして昭和86年5月に鉱工業技術研究組合制度が設けられた。昭和36年度以後今日までに合計11組合の設立認可をみているが,昭和39年度は緩衝材技術研究組合,アルミニウム建築用品表面処理技術研究組合の2組合の設立が認められた。研究組合については,研究の推進,新技術企業化等に関して税制上の優遇措置がとられるほか,鉱工業技術試験研究補助金の優先交付が行なわれており,昭和39年度に支出された補助金額は合計1億5,700万円である。

昭和36年7月に,企業における新技術の開発にともなう危険負担の軽減と新技術の所有者と企業家との円滑な仲介をはかることを主なねらいとして設立された新技術開発事業団は,新技術の委託開発,開発した新技術の普及,新技術の開発のあつせん等の業務の推進にあたつている。

昭和39年度において委託開発を実施したものは,帯鋸の電解焼入れ技術,真空脱炭法による低炭素フェロクロムの製造技術,芳香族メルカプタンの製造技術およびラセン分光光度計の製造技術の4件であつた。なお,超精密標準尺の製造技術,カーボンブラツク・グラフトポリマーの製造技術および塩素法による高純度酸化鉄の製造技術など4件の開発課題を選定したが,委託は40年度にもちこされた。また,新技術の開発のあつせんについては,昭和39年度にラバープレス法による粉体の加圧成形品の製造技術および二成分合成上下振動台の製造技術の2件についてあつせんが成立した。

以上の新技術開発等の試験研究に対する直接的な措置とは多少性格を異にするが,発明の保護奨励策としての特許制度の運用,注目発明の選定公表,発明実施化試験費補助金,地方発明センターの助成等の発明の奨励,実施化の推進,技術水準の維持と向上および使用,消費の合理化に寄与する標準化制度の普及徹底等を通じて,広い意味での科学技術振興の基盤の整備がはかられた。また,研究成果の普及,学術および科学技術映画の製作普及,各種広報啓発誌の発行や,科学技術週間,防災の日などを中心とする各種の行事,ならびに日本科学技術振興財団等による普及活動,さらに地方科学技術振興会議の開催等による普及広報活動が推進された。なお,農林業においても農林業改良普及事業の充実がはかられた。


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