ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
1部  研究活動と研究投資
第1章  政府の施策
1  主要施策の動向
(2)  試験研究の総合的推進


最近の科学技術は,ますます細分化・専門化の方向をたどるとともに,各分野相互の関連が強まり,総合化の傾向が著しい。例えば,純粋科学の面における生物物理学,電波天文学の誕生や,技術の面における医用電子技術の発展,人工衛星,原子炉の開発などにみられるように,きわめて多種多様な分野の総合化が行なわれている。

このように総合化された科学技術を発展させるためには,関連分野の研究者の連けい協力と,総合的な研究体制が必要になる。

このため,政府は研究に対する社会的要請,研究成果の国民生活,国民福祉等に及ぼす影響などを考慮しつつ,とくに国として総合的に推進すべき試験研究として,原子力技術,宇宙科学技術,航空技術,防災科学技術,環境科学技術,海洋科学技術,電子技術,医療科学技術,人間科学,都市工学,水高度利用技術等の分野の研究の積極的な推進をはかつている。

これらの諸分野のうち,国として重要と認められ,かつ早急にその成果が期待される試験研究で,とくに有機的連けいを持つた研究体制によつて進める必要のある研究を,重要総合研究に指定して,その効率的かつ総合的な推進をはかつている。

重要総合研究は国立試験研究機関を中心として推進される。例えば,地震防災総合研究は,国立防災科学技術センター(科学技術庁),農業土木試験場(農林省),港湾技術研究所(運輸省),気象研究所(気象庁),土木研究所(建設省),建築研究所(建設省)等の協力体制のもとで,また環境科学技術の一つとして実施されている大気汚染防止に関する試験研究は,国立防災科学技術センター(科学技術庁),気象研究所(気象庁),公衆衛生院(厚生省),林業試験場(農林省),労働衛生研究所(労働省)等の協力体制のもとで,それぞれの分担項目にしたがつて有機的連けいをとりつつ研究が進められている。

この重要総合研究は,国立試験研究機関の予算と科学技術庁に計上されている特別研究促進調整費を主な財源として運営されている。

なお,これらの研究推進についての基本方針あるいは重要事項を審議する機関としては,科学技術会議をはじめ,宇宙開発審議会,原子力委員会,海洋科学技術審議会,工業技術協議会,電子技術審議会,航空技術審議会等があり,政府はこれらの機関の答申,決定,勧告等の趣旨に沿つて研究の推進にあたつている。

また,科学技術庁では,政府予算のうち科学技術振興関係の予算について,国家的見地にたつて科学技術の画期的かつ計画的振興をはかるため,必要な予算の確保とその効率的な配分を目途として,総合的な観点から調整を行なつている(予算の見積り方針の調整)。

また,科学技術の発展は,資源の総合的利用の推進に大きく貢献するものである。

最近における急激な経済成長と社会開発の新たな展開,国民の生活様式の大幅な転換などは,開放経済のきびしい諸条件の下で,新しい資源領域の創出,資源の最適組合わせによる利用を切実に要求している。

わが国の工業用燃料はますます海外依存度を高めているが,輸送・流通・加工等の分野における技術の向上は,わが国の劣悪な資源的条件を著しく改善した。水・土地その他の国内資源も,経済・社会の構造変化にともない,資源価値の変動,需給の逼迫・競合などの多くの面に困難を生じているが,資源調査,開発,利用,保全の各分野にわたる科学技術の進展は,潜在資源の顕在化,資源利用の高度化を通じて,資源領域を拡大し困難を克服しつつある。一方,資源利用の総合化のために多数の専門分野での研究協力の強化が期待されている。世界経済の発展の中で不断に変動するわが国の資源構造に対し,その国際的優位を先行的に確保し,またその劣悪条件を解消するために,広汎な分野にわたる科学技術の研究がより強力に推進されなければならない。

以上の観点から土地資源,水資源,森林資源,鉱物資源,海洋資源,食糧,エネルギー,高分子資源,鉄鋼などのそれぞれの分野について,さらに治山治水等の保全防災,環境科学技術,都市問題などの横断的な問題について,資源調査会などが中心となつて広汎な調査活動を展開している。その調査結果等にもとづいて,とくに推進する必要のある重要事項をとりあげ積極的な推進をはかつている。

すなわち,昭和39年度においては,土地・水資源関係におけるそれぞれの利用競合の合理的な解決をはかるための基礎的調査をすすめ,鉱物資源については硫黄,硫化鉱,黒鉱の有効利用技術,海洋資源については水産増養殖技術等の調査を行なつた。また食糧資源に関しては,将来の日本人の食糧構成の試算を行なつた。エネルギー資源については直接発電(MHD),超臨界圧火力発電に関する研究・調査ならびに石炭の生産および利用技術に関する研究・調査をすすめた。さらに公害対策を含む防災関係として,微生物による産業廃水処理,大気汚染防止,各地の地盤沈下対策等をとりあげ,生活環境関係として生鮮食料品の低温流通問題をとりあげた。このほかに,地熱開発,海水の淡水化,微生物によるし尿処理等の研究・調査を推進した。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ