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1部  研究活動と研究投資
第1章  政府の施策
1  主要施策の動向
(1)  国立試験研究機関等の整備および研究・学園都市建設の推進


昭和39年度においては国立試験研究機関および国立大学等の研究機関の整備をはかり,国の行なう研究活動を強化するとともに,研究の効率化と研究環境の整備をはかるため研究・学園都市建設を推進し,さらに研究者の処遇改善による人材の確保等につとめた。

まず,国立試験研究機関の整備に関連して,昭和39年度における主な機構・組織の新設には,次のものがある。すなわち,宇宙開発を総合的かつ効率的に推進するため,宇宙開発推進本部が科学技術庁の付属機関として設置された。また,九州地方における資源開発と各種産業振興に寄与するため,通商産業省の付属機関として九州工業技術試験所が設置された。さらに,農作物のウイルスおよびウイルス病の基礎研究を行なう植物ウイルス研究所が,農林省の付属機関として新設された。

このほか,試験研究機関の主な内部組織の新設としては,国立防災科学技術センターに雪害実験研究所,国立衛生試験所に毒性部,北海道農業試験場に草地開発部,農事試験場に山地支場がそれぞれ設置された。

次に,国立大学等の関係機関の整備については,昭和39年度から国立学校特別会計が新設されて,国立学校,大学付属病院および大学付置研究所の円滑な運営,施設設備の整備等がはかられることになつた。同年度に新設された付置研究所は,原子炉工学研究所(東京工業大学),宇宙航空研究所(東京大学)などである。また,科学技術者等の養成に資するために,理工系学部・学科の新設および大学院研究科の新設が行なわれたほか,国立高等専門学校の増設および図書館短期大学の創設が行なわれた。さらに,公立医科大学の国立移管がすすめられた。

以上のほか,国立試験研究機関および国立大学等について,研究施設設備等の一層の整備がはかられ,また,各試験研究機関を通じて試験研究費の増額が行なわれた。

次に研究・学園都市建設の推進について,その背景と昭和39年度にとられた措置は次の通りである。

近年,都市の急速な発展と人口の過度の集中は,都市近郊の各種試験研究機関においてしばしば騒音,振動,大気汚染,等の問題を生み,また水,電力,ガス等の供給の不安定をきたすなど,研究環境を次第に悪化せしめ,試験研究の推進に大きな障害となつてきた。

このような状況を背景に,科学技術会議は昭和37年7月に行なつた諮問第3号「国立試験研究機関を刷新充実するための方策について」に対する第1次答申において,試験研究機関の立地条件および施設設備の改善に関する方策として,第一に国立試験研究機関の集中移転をとりあげ,研究環境の改善,施設設備の共同利用,共同研究の円滑化,人的交流の活発化等により試験研究を効果的に推進するため,過大都市をはなれた地域に国立試験研究機関を集中的に移転させる必要があるとし,国立試験研究機関は,関係省庁首都圏整備委員会,関係地方公共団体等と密接な連絡をとり,適切な計画を作成し,その実現をはかるべきことを答申した。

この答申を契機として,関係省庁において国立試験研究機関の集中移転問題に関する検討がすすめられたが,他方,首都圏整備委員会ではかねてから首都圏整備構想の一環として,東京の近郊に新官庁都市を建設して官庁の疎開を行なう計画をすすめていた。

その後,これらの国立試験研究機関の集中移転計画と新官庁都市計画を一本にまとめて推進することになり,昭和38年9月に研究・学園都市の建設地は筑波地区とし,その計画規模はおおむね4,000ヘクタールを予定する,また,用地の取得造成は日本住宅公団が行なう旨の閣議了解が行なわれた。

引き続いて,研究・学園都市の人口規模,都市規模等についての基本構想が作成され,茨城県と用地取得の折衝が開始されると同時に,研究・学園都市に移転を希望する国立試験研究機関,国立・私立大学,民間研究機関などの調査が行なわれた。

昭和39年4月には用地取得の方針を示す茨城県案に基づいて検討がすすめられ,5月に用地取得について政府の基本方針が決定された。そして,用地取得の見通しとレイアウト案の固まつた7月から,関係機関で諸経費の概算が行なわれ,10月には研究・学園都市建設全体計画案がまとめられた。

こうして昭和39年12月に,新都市の建設は昭和40年より着手,おおむね10ヵ年で完成し,新都市の建設にあたつては,十分な都市施設を整備するとともに,移転機関等の施設設備の充実をはかることが閣議了解された。

また,首都圏整備委員会委員長を本部長とする研究・学園都市建設推進本部の設置が閣議決定され,昭和40年2月に発足した。近く日本住宅公団による用地買収も開始されることになり,研究・学園都市の建設は漸くその実現の緒についた。

また,科学技術者の需要は急速に高まりつつあるが,国立試験研究機関は待遇,研究還境などの点で科学技術者を誘引する魅力に乏しく,その確保が一層困難になつている。国立試験研究機関の果たすべき役割がますます大きくなつている時に,国民の期待に応え優れた成果を生み出すためには,優秀な研究者を確保するとともに研究意欲の昂揚をはかる必要があろう。このような状況に対処し,科学技術会議は諮問第1号答申において,大学教官および研究公務員の待遇改善について格段の措置をとるべきであると述べ,同会議諮問第3号第1次答申においてもふたたびこのことが強調されている。

さらに,昭和39年9月の臨時行政調査会の意見においても,研究公務員制度の改善の必要が強調され,採用選考の弾力的運用,給与および諸手当の改善,勤務時間制度の弾力的運用,研修の充実,職務発明等に対する報償制度の確立,兼職の範囲および手続の緩和などに言及されている。

これらの意見を十分に考慮して,科学技術庁では,毎年人事院に対して研究公務員の処遇改善に関する要望を行なつているが,昭和39年度は,1)研究公務員の俸給(とくに中堅層)の引き上げと上位等級の定数増加,2)研究特別手当の新設,3)所長の1等級格付と研究管理者の管理職手当増額,4)大学院修了者の適正処遇,5)昇給昇格等給与制度の運用の改善について要望を行なつた。

これらの要望のうち,現在までに実施に移されているものは,1)給与を9.1%引き上げる,2)所長を甲・乙2種の指定職に格付けする,3)管理職手当の改正と適用範囲の拡大を行なう,4)初任給調整手当の支給期間を5年間に延長する,などである。

また,科学技術庁ではかねてから研究公務員制度の改善について検討をすすめ,昭和40年1月に現行の国家公務員上級職試験による研究職の採用方法について,問題の提起と検討およびその対策をまとめた。


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