ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
  各論
§19  医療および公衆衛生
IV  今後における研究の目標

以上,医療,保健の分野における科学技術の現状と問題点についてのべてきたが,今後これらの科学技術の研究開発に当つては次のような基本的態度が必要であろう。

第1にこれらの領域における研究の専門化と総合化の問題である。最近における研究の方向はますます先端的な専門領域に細分化してゆく傾向にある。しかし,医学は微小な細胞の機能から人体という完全に総合された生体に至る広範な対象をもつ科学であるから,ますます専門化し分化する分析的基礎的研究と,これを総合する総合的,応用的研究の努力とがともなつて行なわれる必要がある。したがつて,この両者の調整が最も重要である。

第2に,臨床医学と公衆衛生学との接近の問題がある。医学の研究には個人をその対象として取扱う臨床医学的接近のほかに,人間を社会的存在としてとらえ,その背景である社会生活の場で考察を加える公衆衛生的接近が必要である。現在わが国における臨床医学の発達が世界的水準に達していることには異論はないであろうが,それが個人から集団へと問題が移行した場合医学研究の展開方式について,なお検討を要する余地が少なくない。さらにこの両領域からの研究結果についても,より一層の努力がなされる必要がある。

最後に,今後における医療,保健領域の科学技術の発展は,従来のような医学単独の力のみによることなく,理工学や一般生物学等との協力によつて総合的に推進されなければならない。今日までの医学の研究方式や医療技術の開発は他の科学分析分野における既開発の技術を医学へ応用することが主であり,それも多くは医師が,個人的な研究の場でやつてきた。しかし,今後は関連する各科学技術の分野を総合する組織的な研究によつて医学側の要請が一歩一歩解決されねばならない段階に立ちいたつている。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ