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  各論
§19  医療および公衆衛生
III  疾病対策
4.  薬剤耐性と菌交代症

この数年来,抗生物質の相つぐ出現にようて結核,肺炎をはじめとする細菌性疾患による死亡が大巾に減少したことは周知の事実である。

その反面,これにともなつて種々の副現象が出現してきた。それらのうちで重大な意義をもつものが,薬剤耐性と菌交代症の問題である。

薬剤耐性については,医薬品の項においてものべるが予防医学上と治療医学上の2つの面からその問題を把握することができる。前者は主としてブドウ状球菌と赤痢菌の問題,後者は主として結核菌の問題である。ブドウ状球菌の薬剤耐性は,今日ではペニシリンに対して最も高くついでストレプトマイシン,テトラサイクリン,クロラムフエニコールの順となつており,また赤痢菌は,最初にサルフア剤に対して高度の耐性を獲得したものが,最近では本症に対して著効のあつたテトラサイクリンやクロラムフエニコールに対してもその耐性を示すようになつた。そのため赤痢の患者数は減少傾向から横ばいになるという新しい様相を示すに至つている。今後は新しい抗生物質の発見によつて,微生物の抵抗性を追いぬくような研究がつねに行なわれなければならない。

つぎに交菌代現象の問題がある。すなわち抗生物質によつて無害な細菌が殺されてしまうために,これに抑制されていたカビ類が繁殖し,新たな障害を起こすものであるが,その診断,治療の面にはなお,未解決の点が多い。


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