ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
  各論
§18  防災科学技術
III  防災に対する国の役割
2.  防災計画技術体系の確立

地域防災の計画性について考えるとき,伊勢湾台風により多数の人命が損なわれたことは大いに反省されねばならない。

企業と人口の大都市集中は,都市の地価をつり上げ多くの住宅や零細企業を不良でしかも危険な環境に追いやりがちである。災害に対する抵抗力が弱いままに低湿地や干拓地がいつのまにか市街地化するところに問題があり,伊勢湾台風ではこうした都市建設の無計画性が端的に露呈された。

最近米国においても防災性を重視した地域開発計画が災害対策の主要な要素として採り上げられているのは注目すべきことである。

工業立国によつて発展を期せねばならないわが国では,近年全国的に海岸埋立による工業用地造成の気運が強いので,これらの地域開発に対しては長期的な方針のもとに,経済的,自然的環境を十分に把握した総合的な計画を樹立しなければならない。すなわち防災計画を国土総合開発計画の基本的要素としてとり入れることが肝要である。

伊勢湾台風災害実態調査の結果,1)急速な都市化の傾向を考慮に入れた地域区分の設定,2)新しい建築様式と避難場所の選定,3)公共土木施設設計基準の再検討など種々の問題が指摘されたが,なおこのほか1)被害の地域的局限または重要地域防護のための遊水対策,2)洪水または高潮についての超過確率の検討,3)環境に応じた被害の想定,4)水系を一環した計画的水管理方式の確立などをあわせて行なわなければならず,これらの要素の相互関連的な評価が重要になる。このような意味から地域開発計画は常に最新の知識に裏づけられた組織的調査によつて整備されなければならないものであつて,伊勢湾台風の被害はその地域の急速な発展を防災計画的見地からチエツクできなかつたことに対する一大教訓であつたともいえよう。

ここでは主として伊勢湾台風を例にとつたが,地震,火災等の自然災害についても科学的な防災計画の総合的樹立をはかるため,全国的に主要都市を重点として震度分布図,浅層地盤構造図,風力分布図,火災危険分布図等の作成が進められている。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ