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  各論
§18  防災科学技術
II  防災科学技術の諸問題
5.  地盤沈下

わが国は,地殻構造が非常に複雑な上に,地震や噴火による変動も加わり,広範囲にわたつて土地の隆起あるいは沈降が生じている。

これらの自然現象に,人為的原因による土地の沈降が加わる。この人為的原因による地盤沈下の例が最近非常に多くなり大きな問題となつている。

自然現象による地盤変動と異なり,人為的原因による沈下は,ある程度その制御,対策が可能である。人為的原因としては,第1に地下水の過剰汲み上げがあげられる。東京,大阪,尼崎,新潟(水溶性天然ガスを含む地下水の汲み上げ)等,大都市,工業地帯の地と,硬い地盤の層のところで,地すべりが誘発され進行する。地すべりの誘発を助長する原因として,地震,降水,地下水などの自然的な作用や,道路の盛土,切取りなどのような人為的な作用があげられるが,やはり降水や地下水による影響が大きい。

地すべりを予知し,また予防することは非常にむづかしいが,やはり地すべり地帯の実態を十分調査して,それからえた資料をもとにして防止工事を行なわなければならない。

現在,つぎのような諸調査が行なわれている。1)航空写真による地すべり地形の調査,2)伸縮計・傾斜計等を組合せたすべり面測定器による地表面の移動量調査,3)弾性波試験,ボーリング等による地質および土質の調査,4)薬品のアイソトープによる降水観測や盤沈下の大部分はこれに属する。また,炭田地帯の地盤沈下についても,地下から固形物をとつたために起る陥没の他に,地下掘さくにともなつて湧水する地下水を坑外に排除するために起る地盤沈下が見られている。

新潟付近の沈下は,昭和26年11月の水準測量を行なつた時から問題になり,港湾施設の機能喪失,河口付近の市街地の排水不良などの事態を生じた。これらの地帯の防災対策としては,まず地盤高を調査し,その土地のかさ上げや防潮堤の築造などを行なうことが必要である。これは一般の水害対策と同様であるが,堤防や護岸が基礎地盤と一体をなして沈下し,有効な高さが減ることにより防災上の効果が減少することが多い。したがつて,沈下量に応じた堤防のかさ上げ,排水路の整備等,常に環境の変化に応じた対策を講ずるよう努力しなけれぱならない。

一方根本的対策としては,回収水や海水の利用,新水源の開発等により代替水源を求め,地盤沈下の原因の中,人為的な原因となつている地下水の過剰汲上げを厳重に規制するとともに公共的な管理の下で,地下水の利用をはかるよう十分考慮すべきである。


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