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  各論
§18  防災科学技術
II  防災科学技術の諸問題
3.  集中豪雨

狭い地域で短時間内に多量の雨が降る集中豪雨による被害も最近目立つている。昭和32年に長崎県諌早附近に,36年に長野県飯田附近,北海道石狩川流域,新潟県中越地方を襲つて,甚大な被害を起したのはみな,この集中豪雨である。

この現象はおもに梅雨の終り頃,梅雨前線が日本本土に停滞して,しとしと雨が降つている時,南方洋上から豊富な水分と,たくさんの熱を含んだ空気のかたまり(湿舌)が,細長い帯状の流れとなつて太平洋高気圧の西側の周辺にそいながら北上し,梅雨前線につきあたつた時起るもので,その前線の北側にある冷たい,かわいた空気に急げきに冷され,いままでおとろえかかつていた梅雨前線に十分な,水と熱を補給して,急に活動を開始させ,前線付近の狭い場所に,大雨を降らせるものである。

一般にその土地の年間総降水量の20分の1が1日で降るようなことがあると一応被害が起ると思わなければならない。(東京だと年間総降水量は約1,500mmだから1日70〜80mmの雨が降ると危険になる。)不連続線の停滞とか,台風や熱帯性低気圧の本土接近ということまでは判明するが,どの辺に豪雨が降るかということは,現在では台風の予想よりもはるかにむずかしいといわれている。

表18-2 36年度特別研究促進調整費による「集中豪雨防災」研究計画

ラジオ・ゾンデや,気象用レーダー等では「降りそうな型」だとかどの地点に雨が降り始めたかを発見するには大いに役立つが,どの位の量がどの地域に降るかを考察することは,非常にむずかしいのが現状である。36年6月27日,伊那谷を襲つた集中豪雨では天竜川上流の飯田市を中心とした狭い地域に1日325.3mmの雨が降り,月平均降水量226.2mmをたつた一日で軽くオーバーし,被害もきわめて大きなものとなつた。

伊那谷の災害は,広い範囲にわたる関連分野の研究者,技術者の密接な協力による防災技術の向上と,国の強力な施策による総合的な防災体制樹立の必要性を教えている。昭和36年度科学技術特別研究調整費が支出され,運輸,農林,通産,建設の4省の協力により伊那谷の総合的な調査研究が進められている( 表18-2参照 )。

このように,大災害が地域的に集中する傾向に対処して,防災科学技術を確立するとともに関係各省庁による総合的,組織的調査を積極的に推進することが重要である。そこで36年度科学技術特別研究促進調整費により,とくに被害の大きかつた天竜川上流地域について,総合研究を,運輸,農林,通産,建設の4省の協力により行なつている( 表18-2参照 )。


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