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  各論
§17  輸送
V  航空輸送
3.  航空保安施設

航空機事故は,その性質上大事故となり易いがそれだけに,他の輸送機関とくらべてオーバーホールには最高度の技術を集め,厳重なチエツクシステムを適用して安全性を高めている。再開後のわが国の民間航空事故の直接的原因は,操縦士の過失によるものが比較的多い現状であるが,この操縦士の過失を防止するには,より十分な教育施設の整備と訓練が必要である。航空機が今日のように高速化され,高性能化されると,その安全対策としては単に操縦士の技りょうの向上だけでは不十分で,各種の航空保安施設の整備が肝要となる。

わが国の航空保安施設の大部分は,戦後駐留軍によつて整備されたのをそのまま引きついだものであり,すでにかなり老朽化したものもあり,現状では不十分な面も多いので,その早急な整備改善をはかり,さらに最新の電子技術を応用して,航空機の高性能化と交通のふくそう化に対応する施設の開発を行うべきである。現在航空保安施設には,つぎのごとく電波によるものと灯火によるものとがある。
(1) 中,長波無線標識(レンジおよびNDB)

NDBは無指向性の電波,レンジは指向性の電波をそれぞれ発射し,機上の自動方向探知機あるいは受信機によりコースを知つて飛行する方式であるが,すでに旧式となりVOR,タカン,VORTAC等に次第に切換えられつつある。
(2) VORとタカン

VORは特殊の回転指向性を有する超短波を,タカンはパルス型式の極超短波をそれぞれ発射し,航行中の航空機はこれらを受信して,VOR局からの自機の方位,またはタカン局からの自機の方位と距離を知りうる。現在VORは8局,タカンは6局設置運用されている。
(3) VORTAC方式

VORとタカンを同一場所に設置運用した方式である。
(4) GCAとILS

GCAは視界不良の場合,空港監視レーダおよび精測進入レーダーの2組のレーダーにより空港周辺を航行する航空機および進入する航空機を誘導するためにその航空機の位置を監視する装置である。現在東京,大阪,名古屋,千歳の各空港に設備されている。

ILSはローカルライザー,グライドスロープ,シドルマーカー,アウターマーカー,コンパスロケーター等の地上施設より発射される電波により,視界不良の場合も機上の計器に対し,進入方向および着陸滑走路の指示を与える施設で,東京国際空港のみに設置されている。
(5) 航空路監視レーダーと空港面探知レーダー

航空交通のふくそうする空域において長距離レーダーによつて有効範囲内の航空機をすべてスコープ上に現わし,また視界不良の際空港の地上面の航空機,自動車等の移動状況をスコープ上に現わす高分解能レーダーが世界の主要空港において用いられているが,わが国にはまだ設置されていない。
(6) 航空灯火

航空機が着陸の際GCA,ILS等の無線施設があつても,これは清走路から一定距離(ILSの場合,滑走路より約1,000m,高さ約60m)を有する位置まで航空機を誘導するにすぎず,それから後の進入はやはり操縦士の目視により接地を行なわなければならない。そのため滑走路灯,進入灯等の整備は航空保安上いささかもゆるがせにできない。現在主要空港には灯火施設があるが,ローカル空港については灯火施設が設けられておらず,今後運用時間が延長して夜間離着陸を行なう必要が生じてくる場合は,その整備が検討されなければならない。


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