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  各論
§17  輸送
IV  海上輸送
4.  航路標識



(1) 電波標識の重要性

航路標識は光波標識と電波標識の二つに分類され,わが国の航路標識の施設数は昭和36年2月1日現在光波標識が2,207ヵ所,電波標識が60ヵ所である。

光波標識は光線を利用するもので,灯台の光の到達限度は約70kmであり,しかも霧,荒天の際には役に立たなくなるのに比べて,電波標識は数においては全体の2.7%を占めているに過ぎないが,標識の種類によつてはロランの如く遠く2,500km迄も電波が届くので,わが国沿岸においては電波を利用する海面は光の灯台のそれに比し約5倍の面積を有し,この点で電波標識の発達は重要な意味を持つている。電子技術の進歩は電波航路標識に大きな影響を与え,船舶のマリン・レーダーの採用とともに,マイクロ波を利用した新しい施設が出現している。ここでは航路標識の中とくに発達のめざましい電波標識について述べることにする。
(2) 電波標識の発達と現状

電波標識は使用する電波の種類によつて中波を利用するものと,マイクロ波を利用するものに分けられ,そのおのおのが表17-9のようにさらに細く分けられる。

(a)方向探知方式

1900年に方向探知機が発明されてから現在まで次第に発達してきたが,最近はダツシユ符号を,指向性を与えずに発射する無指向性標識からさらに設備費および経費の少ない回転式無線標識へと発展してきた。

(b)ローラン方式

第2次大戦中に発達したパルス技術を応用した双曲線航法の代表的なもので,遠洋航行用として世界各国において採用されている。この方法はロラン局から1,750kC〜1,950kCのパルス電波を発射し,船上の受信機で2局からのパルス電波の到達時間の差を読取り,図面(チヤート)と対照することによつて自船の位置を決定するもので,到達距離は昼間は1,300km,夜間は2,500kmの範囲におよび,従来の方法に比し,格段の正確さを有しており,商船,漁船のみならず,航空機にも利用されている。

(c)マイクロ波回転ビーコン

中波ビーコンは180km位から使用できるがマイクロ波の場合は55km位からでないと使用できない。しかしマイクロ波の直進性により誤差が少なく近距離航法に対してはきわめて有効である。その方法は空中線が高速回転と低速回転の2面があり,船側のマイクロ受信機で両方の信号を受けて方位を決定するもので,低速空中線が直北を向いた時高速空中線から875c/sに変調された信号を受信し,低速空中線が2度回転する毎に高速空中線から600c/sの信号を受信し,低速空中線が船の方向に向いて1,000c/sを受信する未での音数を数え2度を乗ずることによつて,ビーコン局からの自船の方位となる。現在は岩手県の綾里崎に設置されている。

(d)レマーク・ビーコン

このビーコンは船舶用レーダー(9,000MC用)を搭載している船舶に対し,レーダーの映像に重ねてビーコン局の方向へ線状の輝線を出現させることにより自船の方位を決定する方式であり,現在は神奈川県観音崎に設置されている。

表17-9

(e)コース・ビーコン

狭い水道を航行する場合,上下2つに位置した導灯を結ぶ直線の延長に沿つて航行していたが,この直線をマイクロ波におきかえたのが,マイクロ波コース,ビーコンである。その方法は2つの符号を有するマイクロ波,例えばV(……‐)とB(-……)等を組合せて発射すると・両波が重なつた部分(コース)では長音(-)になるが,コースからはずれるとV又はB音になるのでコースに沿つているか,沿つていないかわかるようになつている。現在は冨山県の伏木港と新湊港に建設中である。

(f)ハーバー・レーダー

ハーバー・レーダーは港湾に精密なレーダーを設置し,常に港内の状況を適確に把握し,船舶の運航,能率化に寄与するもので,わが国では北海道の釧路港および大阪港に建設中である。外国では,センチ波(9,OOOMC)を用いているが,わが国では精度のさらによいミリ波(24,000MC又は35,000MC)を使用している。

以上簡単に最近の電波標識について述べたが,今後も電子技術の進歩とともに新方式のものが開発されると思われ,この場合受信側の装置は,できるだけ簡単な装置と方法で迅速に測定できることが必要である。


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