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  各論
§16  電気通信
II  通信技術の現状
5.  放送技術



(1) ラジオ放送技術

ラジオ放送局は戦後の民放の開始により急増し,昭和35年9月には実に341局をかぞえるに至つたが,最近の電気器具利用のいちじるしい増加にともなう雑音強度の増大のため雑聴地域が生じつつある。外国電波による混信妨害についても電界強度0.03mv/m以上で相当な混信を与える波の数は,昭和27年末の7波に比して昭和35年度末で約50波と急増している。このため放送電力が数百キロワットにもなる超大電力中波放送の実施が検討されている。

しかし,これらの雑音,混信妨害に対して強い特質を有するFM放送への移行が抜本的な対策と考えられており,昭和35年春からNHKによつて大電カクライストロンを用いた10kW出力のUFHFM放送機による実験放送が行なわれている。また最近ステレオに対する関心が高まつているが,放送の分野でもステレオ放送標準方式の確立の動きが世界的に活発となつており,わが国でもFM放送と関連して研究が進められている。
(2) テレビジヨン放送技術

テレビジヨンの受信契約数は,昭和32年度末の約100万から昭和36年末には約200万と急激に増加している。その間放送局の増加やテレビ中継回線網の完備が大きく寄与してきたが,すでにのべたごとく現在のテレビチャンネル計画による周波数割当ではその需要に応ずることが困難な状態となり,UHF帯の利用が望まれているが,実施上の技術的問題点となる受信機のUHFコンバータについては,UHF電波を変換して,現在のVHF受像機の第2チャンネルまたは第3チャンネルに変換する装置が開発されている。しかし現在のダイオードコンバータは雑音指数をより低くする様改善が望まれている。

カラーテレビジヨンはアメリカについで昭和35年9月に東京,大阪を中心として放送され,サテライト局等を合せて現在11局から放送されている。この方式はアメリカで行なわれているNTSC方式とほぼ同様な方式であつて,黒白テレビジヨンと同様帯域巾6MCで,走査線525本,1秒間の走像枚数30枚のものである。

これに対する受信機はアメリカのRCA式カラー受信方式によるシャドウマスクタイプの3電子銃形受像管を使用しているので黒白テレビジョン受信機に比して非常に高値であり,3原色(赤,緑,青)の各電子ビームを集中させるための調整の複雑さ,マスクを通過する電子が少ないための明度の不十分さ,カラー受像管の偏光角度が70度で黒白受像管に比して小さいための受像機の大形化等の点よりその普及は遅々としている。受像機についてはRCAの21形に対しわが国では17形および14形シャドウマスク形を国産化しているが,螢光部の改良により21形に比し明るくなつているとはいえ,黒白受像管にくらべればまだ数分の一程度である。これらの受像機に対しては,上記の点の解決を必要とし,同時に世界的にいまだ決定的なカラーテレビ受像管を見ない現状なので他の種の受像管利用による方式も研究すべきであろう。またステレオテレビに関してはまだどの国も実用化していない。わが国では,NHKの技術研究所で二重格子を受像管の前におくことによつて,左右の眼の位置による受像の相違を利用して立体惑を出す方式について研究がなされている。

表16-1 わが国における現用周波数割当箇数

わが国のテレビジョン技術は戦後の電子技術研究の制限により諸外国に比し開発が遅れ,多くの外国特許に制約され,その使用をやむなくされているがビデオテープレコーダに関しては新しい単ヘツド方式および2ヘツド方式がわが国で開発され,アメリカで開発された従来の4ヘツドのアンペツクス方式に比してヘツドの特性むらによる色変化のない点がすぐれており国際的に注目されている。またカラービデオテープレコーダ用アダプタとして色度信号線順次方式の開発が進められ,従来の直接録画方式に比ベテープレコーダの伝送歪の影響をうけにくく,映像の再生ビート妨害の少ない等好結果がえられている。このようにビデオテープレコーダ分野においては,日本の技術はかなり進んでいる。


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