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  各論
§15  建設技術
II  建設技術の発展の動向
4.  施工の機械化と工事の大規模化

建設工事における機械施工は,ここ十数年の間にその量,質共にまさに驚くべき発達をとげてきた。

機械施工は,1)工事費を低下させうる。2)人力施工では,量的,質的,保安上できないことを施工しうる。3)生産性の向上によつて労働不足を補い人間を肉体労働から解放する等の特色をもち,今日のぼう大な建設事業を消化し,ひいては急速な成長をとげつつある産業の大きな礎となつている。

現在国内で使用されている建設機械の九割以上は国産品であり,その性能もほぼ外国品に比肩しうるようになつた。その生産量も逐年急速度で増加し,昭和34年度は約350億円,昭和35年度は約500億円に達し,昭和36年度は600億円を突破するものと予想されている。

海外輸出も年産額の約1割に及んでいる。

最近の施工の特色は,機械施工の一貫化と大規模化という点にあり,以下に詳論する。

機械施工の今後の問題は,機械の耐久性および施工能率の向上である。
(1) 機械施工の一貫化,大型化

ダムエ事では,ケーブルクレン,バツチヤープラント,骨材プラント等の施工機械が整えられ,堤体掘削から骨材製造,コンクリートの製造,打設,クーリングに至るまでの一貫施工が機械化され,工事の大型化が達成されている。一般にダム工事は,限られた地域内にばく大な工事量を集中的にもつことが特色であり,巨大な能力をもつダム工事機械類によつて,はじめてダム工事が可能となる。このばく大な工事量を処理ずるため,それに用いる工業用設備および機械は,一般に仮設備という概念から抜け出して工場,永久的施設ないしはプラントという考え方になつてきている。道路工事においては,土工,舗装等一連の機械化により,質と能率の向上が達成されている。

トンネル工事においては,最近では,全断面掘削が採用され,掘進速度がいちじるしく増大している。たとえば,国鉄の北陸トンネルは,13.9キロで世界第5位の長さを有しているが,僅か4年あまりの歳月で完成しており,トンネル掘削技術のめざましい進歩は目を見張らせるものがある。穿孔用ドリルジャンボ,ずり出し用ロツカーショベル,コンクリート巻立て用スチールフオーム,コンクリートポンプ,コンクリートプレツサー等が使用されている。

大規模な土木作業では,23トン級の大型ブルトーザが使用された例があり,大型シベル,大型ダンプトラックの組合せによる土石運搬が行なわれている。
(2) 基礎処理における施工の機械化

軟弱地盤の処理には,サンドドレーン工法が広く採用されており,電気化学的固結法も実施されている。砂地盤の改良には,バイブロフローテーション工法,サンドコンパクシヨンパイル工法などが試験され,成功している。

基礎工事は,ここ数年の間にいちじるしい進歩をとげ各種の新工法が出現し,使用する機械も多種多様となつた。とくに最近の新工法は,いずれも杭打工事における騒音防止に主眼をおいており,市街地の工事等で次第に普及しつつある。その例としては,振動により杭を押し込む方式と,ウオータージエツト等を併用して水圧機で杭を押し込む方式がある。また土中にコンクリートを充填して杭柱を造る工法として,ベノト掘削機による工法等がある。

建築基礎用ケーソンも研究が進められているが,竹中式オーガパイルマシンによる深礎工法が実用化され,地上,地下同時に工事が進められるようになり,工期の短縮に役立つている。
(3) 港湾工事の機械施工

港湾工事は施工方法と施工機械の進歩にともなつて,目ざましい発達を遂げているが,その施工技術の発達は,土木技術の各分野の進歩により支えられており,それらは前に簡単に述べたので,ここでは港湾工事の機械施工を作業船とくに浚渫船を中心に述べる。港湾工事に使用される作業船は浚渫船と構造物工事の作業船に分けられる。作業船全体として最近の注目すべき傾向は,その動力がスチームからデイーゼルおよびデイーゼル発電に変つた事であり,ポンプ浚渫船についても発電式のもの以外にデイーゼル電気方式が次々に誕生している。

浚渫船はその型式により,グラブ浚渫船,デイツパー浚渫船,バケット浚渫船,ポンプ浚渫船,ドラグサクション浚渫船に分けられる。ポンプ浚渫船以外の型式の浚渫船は硬土質の浚渫か又は埋立をともなわない浚渫に使用されるので,主として国の直轄工事を舞台どして発達している。簡単に発達の現状を述べれば,グラブ浚渫船(グラブ容量4立方米のもの)は動力をディーゼル電気に改良し,リモートコントロールを採用し,乗組員を減じる等の外に大型化したために従来よりはるかに硬い土質に対しても威力を発揮している。

デイツパ浚渫船は掘削力の強い型式に改良し,細部の設計にいたるまでヨーロツパ製に比し数段まさるまでになつている。バケット浚渫船についても,シュートのかわりにベルトコンベヤーを使用し′C高さを低くし,船体を小型にした低位型のバケット船を開発したが,これはわが国特有のものである。ドラグサクション浚渫船はわが国で最も数の少ない船種で発達も遅れていたが,昭和36年に完成し伊勢湾で活動を開始した海竜丸は一応国際水準に達した優秀船である。

ここで最近の港湾工事の中で臨海工業地帯造成にともなう埋立ブームを背景として時代の脚光を浴びているポンプ浚渫船について述べよう。ポンプ浚渫船(ポンプ船)は浚渫船というより埋立船という方が当つており,工業用地造成にともなつて発展したものである。

昭和30年以降の工業用地造成実績は 表15-3 のように急激なのびを示している。昭和36年から45年までには約23,200万坪の工業用地が必要とされているが,農地等の転用地の急増は望まれず,今後は臨海地区の埋立が中心となると思われる。

図15-2 は浚渫土量とポンプ船の馬力数の推移を示すがポンプ船の数の増加のほかに質的にも大きな変化がある。

表15-2 工業用地造成実績

それは埋立工事の大規模化にともなうポンプ船の大型化である。すなわち工業用地も1単位で100万〜200万坪が必要となり,埋立土量は2,000万〜4,000万立方米となり,その結果土質の変化,浚渫深度の増加,および排送距離の増加を余儀なくされ,必然的にポンプ船は大型化している。 表15-4 に最近建造された1,000馬力以上のポンプ船の現況を示す。在来は1,000馬力級が最大であつたが,34年には3,000馬力級が,昨年には5,000馬力級のポンプ船が建造され,本年は8,000馬力級が出現した。これを欧米に比べれば従来の小型船は珍らしい位で,最近やつと世界的水準に達したといえる。技術的には,この種の船は戦後,国で建造することを止めたため,民間ベースで発達してきたもので過去2年にわたり,3社が米国の会社と技術提携して技術の向上が図られたが,今後は自国での開発が望まれている。しかしポンプ船の保有量は,米国には遠く及ばないとしても,今や世界第2位に達しており,埋立事業はますます活況を呈するであろう。

図15-3 民間におけるポンプ船(1,000馬力以上)建造状況

表15-3 浚渫土量とポンプ船馬力の推移


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