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  各論
§13  エネルギー
III  石炭
3.  水力採炭の現状

高圧水(通常40〜60kg/cm2をモニターのノズルから噴射して石炭を掘り崩すのが水力採炭である。破砕され水と一緒になつた石炭をパイプで坑外まで送る水力輸送と水力採炭とを結合した水力化炭鉱では,外国の例でみると生産性が普通炭鉱の3〜5倍にもなつている。ソ連で実用化され,現在,共産圏全体に広く普及し,昭和34年実績ではソ連12万トン,中共800万トンが水力採炭によるものである。クズバス炭田(ソ連)を例にとると,月能率150〜160トンで普通炭鉱の48トンの3倍もの能率,出炭原価半減という素晴らしい成果をあげている。わが国では水力輸送を数年前に神林炭鉱が率先採用し,さらに昭和35,36両年度には,石炭技術研究所が主体となり,政府の研究補助金の交付を受け,5炭鉱で水力採炭および水力輸送の現場試験が実施された。このほかにもソ連製や国産のモニターを使用し,独力で実用化を進める炭鉱が逐次増加し,昭和37年度内に6炭鉱が本格的採炭に着手する予定である。

表13-5 に水力採炭の試験結果を示す。ノズル元の圧力は,きわめて炭質の硬い区間が120kg/cm2前後,他は40〜60kg/cm2である。一般にフラヤビリテイ30以上の比較的軟い石炭に対しては,モニター掘さく能力20m3 /h以上,切羽能率も全国平均の2倍と一応満足すべき成績を示している。実施炭鉱に対するアンケート調査によれば,大部分が常用可能と回答している。しかし,実用化を達成するためには次の問題点の解決を要する。

(a)所要水圧の低下

わが国の石炭は一般に硬いので,炭層全体をゆるめる予備発破法を研究する。

(b)短壁式または長壁式採炭法の実現

各国で最も採用されているのは柱房式であるが実収率が悪い上に,排気が後ばらしした中を通過することになりガスの多い炭鉱では好ましくない。通気が完全にとれる短壁式または長壁式採炭法が望ましい。水圧自走支保のように迅速に移動できる支保が必要となろう。

(c)高揚程の水力輸送の実現

神林炭鉱は給炭機による押込方式で520mの揚程に成功したが,押込バルブの摩耗が甚だしく,しかも取替に長時間を要するという欠点があつた。石炭技研では,この点を改良した揚程500mの主管圧送方式の実験に着手している。

(d)輸送後の石炭の経済的脱水方法の研究

わが国では,平均石炭トン当りの排水をしており,排水すべき坑内水で所要水量のかなりの部分を賄えるので水力採炭輸送は一石二鳥である。また採炭方法は従来のままでも,これと水力輸送を組合せることによつて,大きな経済性がえられる場合がかなりあろう。たとえば,切羽付近に次々にボーりング孔をうがち,これを利用するパイプ輸送によつて運搬距離を短縮し,老朽炭鉱の起死回生の妙手となしうる。

表13-5 水力採炭切羽の実績


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