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  各論
§13  エネルギー
III  石炭
1.  自然条件および操業条件の国際比較

表13-2 をみると昭和36年3月の日本の全鉱員1人当りの能率は,0.81トン,月に直すと21.1トンと史上最高を記録したが,西欧やソ連とくらべるとまだ40〜80%低い。その原因はどこにあるのだろうか。自然条件を比較すると,炭層密度(1m2 当りの埋蔵炭量)では,日本は平均3.6トンで,英国7.8〜11トン,西独のルール18.Oトンより大部悪いが,フランスや西独アーヘンと同じ位である。埋蔵量の1/3を占め,日本最大の石狩炭田では9.6トンと世界的に遜色がない。炭層の山丈,炭丈および稼行深度の点では,日本はむしろ恵まれている。とくにソ連のドンバス炭田は,山丈が日本の約半分の89cmという悪条件にもかかわらず,月産26トンと日本の平均を大巾に越える能率をあげている。要するに,自然条件が西欧よりとくに劣つているとはいえない。問題は操業条件にある。昭和35年度の年間揚炭坑口当り出炭は,全国平均5.7万トン大手17.2万トンで100万トンを越える西独,50万トン級のフランスとは大差がある。1,000トン当り維持坑道長は,104.8m(昭和36.3)で西独の2.3倍フランスの1.4倍であり,1,000トン当りの坑道掘進長は41.1m(昭和35年度)で,西独の3.7倍,フランスの2.2倍となつている。断層,しゆう曲等地質条件の変動が多く炭層が不安定なことも一因であるが,採炭箇所の分散と坑内構造の不合理な展開が,歴然としている。切羽集約,垂直,水平の坑内構造採用等による運搬のスピード化と単純化により,坑口の統合をはかり,揚炭坑口当りの出炭規模を拡大することが,合理化計画達成の決め手となる。計画では,大手の規模を昭和38年35.8万トン,昭和42年41.2万トンとフランス並にすることを目標としている。

現在すでに5指に余る炭鉱が,能率40トンを越えているが,これらは現在の所,500m以下の浅部を対象とし徹底した切羽集約を行ない,斜坑方式ながら運搬系統を単純化し,高能率をあげている新鋭中型炭鉱(30万トン前後)が多いが,深部炭量を対像とし,運搬能力100万トン級の立坑,ベルト斜坑を根幹とした大型炭坑が,逐次戦列に加わつてきている。70銭/kcalの重油に対抗しうる石炭価格とするためには,出炭量の大部を100万トン級の立坑方式炭鉱に仰がねばならないが,維持年数30年,可採率30%として1炭鉱当り約1億トンの埋蔵量を必要とする。昭和25〜30年度に行なわれた埋蔵炭量調査は,複雑な形状に細分化された鉱区を斜坑方式で開発する場合を想定しており,立坑方式ならば稼行可能な劣質炭層や薄層を除外している。したがつて,現在の鉱区の形状にとらわれず立坑方式による深部開発の観点から,新たな埋炭量調査に着手すべき時期にきているといえよう。


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