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  各論
§12  化学工業
I  化学工業の一般的動向と技術的背景


化学工業は代表的な成長産業といわれ,産業構造の高度化,重化学工業化の一翼を担う産業として,その成長に多大の期待と努力が注がれている。事実この数年間に非常に早いテンポの技術革新と大巾の設備投資が行なわれた結果,全般的な経済成長につれて,化学工業の総合生産指数は昭和30年を100として,昭和35年には199と,諸外国のそれをかなり上廻る成長率を示した( 図12-1参照 )。しかしながら,これを鉱工業全体の伸びと比較した場合,諸外国の化学工業の伸びが常に鉱工業全体の水準を上廻つているのに対し,わが国の化学工業の伸びは逆にこの数年間鉱工業の伸びを下廻つている。このため製造工業に占める化学工業の比重は生産額からみて昭和30年の12.6%から昭和35年の10.6%へと低下する結果となり,貿易面についてみても,全輸出に占める化学工業製品の比率は,昭和30年の4.6%から昭和35年の4.2%と停滞している。

図12-1 各国の鉱工業および化学工業の生産指数の比較 (昭和35年/昭和30年)

以上のことはわが国の場合製造工業に大きな比重を占める機械工業およびこれに関連する工業がこの数年間に著しい成長を遂げたため化学工業の伸びが相対的にこれを下廻つたことにもよるが,他面わが国の化学工業が,停滞部門である化学肥料を中心とする無機化学工業に偏重した生産構造から脱皮する過程にあることによる。又国際的に見た場合企業規模の過小,技術的後進性,原料,エネルギー事情の不利等から国際競争力の弱い産業部門であることが貿易の自由化をひかえて,特に問題となつている。

しかしながら,最近の産業の成長と生産構造の変化にともない,化学工業においても合成樹脂,合成繊維を中心とする有機合成化学が化学工業の新らしい成長部門として登場し,さらに石油化学の進出とともにめざましい技術革新と生産構造の変革が行なわれつつある。貿易の自由化に直面したわが国の化学工業にとつての目下の急務は,この石油,天然ガス等の新原料を軸とする新らしい化学工業への脱皮により国際競争力を高めることにある。


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