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  各論
§11  鉄鋼
III  鉄鋼業における酸素と真空の利用
1.  製鋼作業における酸素の利用

製鋼作業における酸素の利用は,平炉および電気炉に対するものと転炉に対するものとに大別される。電気炉における酸素利用は平炉のそれとほぼ同じなのでここでは平炉の酸素製鋼と純酸素転炉製鋼法について述べることにする。
(1) 平炉における酸素製鋼

昭和25年にスタートしたわが国の平炉における酸素製鋼法は,今日世界で最も進歩したものとなつた。酸素は炉内雰囲気に吹込む助燃,鋼浴中に直接通入する山崩し,脱炭などの目的に使用され,生産性の向上と燃料原単位の切下げに大きな寄与をしている。現在日本の平炉鋼の95%が酸素製鋼法によつて製造され,このため年間約3億4,900万m3の酸素が消費されている。わが国における平炉作業の全国平均値の推移を 表11-2 に示す。この表にみられるように,昭和33年以降,とくに酸素を大量に使う技術の研究が実を結び,本格的な酸素製鋼作業に入つた。

そして昭和35年年間平均でみても燃料原単位713,000kcalという驚異的な成果をおさめるに至つている。また酸素の大量使用例を述べれば,36年8月K社の150トン平炉6基の平均で,酸素を良塊トン当り,49.5m3使用して,製鋼1時間当り良塊生産高50.6トン,燃料原単位409,000kcalという成績をあげている。

表11-2 平炉作業成績の推移

なお,英米における酸素使用量は粗鋼トン当りイギリスが5.1m3,アメリカが5.7m3(いずれも昭和34年)となつている。

(2)純酸素転炉製鋼法

転炉における純酸素の使用は,昭和32年9月純酸素転炉製鋼法(LD法)が採用されたのに始まる。

本法は昭和28年オーストリヤで工業化された新技術でつぎのような特色をもつている。

1.平炉鋼に十分匹敵する品質のよい鋼ができること( 表11-3参照 )
2.製鋼能率がよいこと。 すなわち高圧の酸素吹錬によつて炉内の溶鉄が強制的に攪拌されるので平炉精錬より数倍早いこと。
3.建設費が少ないこと。
4.鉄くず配合率をO〜25%の広範囲にわたり調節可能であること等。
表11-3 純酸素転炉鋼と平炉鋼との性質比較

このような利点があるため世界各国において急速に普及し,わが国においても32年9月Y社の50屯炉稼動を皮切りに,現在すでに約20基が稼動しており,昭和40年には50基程度となる予定であり,容量も130トン炉といつた超大型炉が出現している。

本製鋼法採用以来,その技術向上に鋭意努力がはらわれ,作業成績も上昇の一途をたどつているストリツプ材等の極軟鋼を生産する場合,50トン程度の転炉の操業成績は現在およそつぎの通りである。まず製鋼時間は装入から出鋼まで33〜37分,そのうち酸素吹精時間のみをとれば20分以下であり酸素原単位は雑用を含めて50m2程度(純度は,99.6〜99.7%)となつている。この場合混銑率は75〜85%が普通である。良塊歩留は90〜92%,酸素以外の原単位は燃料約5万kcal,ドロマイト5〜10kg,生石灰60〜70kg,石灰石10kg,鉄鉱石,スケール約30kgとなつている。作業成績の推移をみると,製鋼時間,歩留,酸素原単位,炉壁持続回数等に大きい技術進歩が見られる。すなわち,製鋼時間は徐々に短縮されてきており,ノロへ逃げる鉄分と噴出量が減つたため良塊歩留が向上し,酸素原単位も60m3台から約10m3減じた。炉壁持続回数は炉材粒度配合とスタンプ法の改善ならびに製鋼時間の短縮により,現在450回程度と操業開始当時の2倍に近い成績となつている。

表11-4 に昭和36年2〜8月におけりLD転炉操業成績の1例を示す。なお,排ガスの回収は従来ボイラーによつていたが,ガスをそのまま捕集する新技術が目下生まれつつある。

表11-4 純酸素転炉操業成績の一例

わが国の製鋼用酸素発生装置の設置状況は 表11-5 に示すとおりで,近時純酸素転炉の増加にともなつて急激に増えており,また,大容量化してきている。また大型化にしたがう酸素製造コストの低下は 図11‐9 によつて傾向をみることができる。

表11-5 酸素発生装置設置状況

図11-9 酸素発生装置の能力と炉前価格


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