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  各論
§11  鉄鋼
II  技術水準の向上と設備の近代化
1.  コークス比600を割る

コークス比すなわち高炉において銑鉄1トンを生産するに要するコークス消費量は,鉄鋼業の技術水準を示す一つの重要な指標である。

わが国のコークス比は逐年低下し,昭和36年6月以降ついに600kgを割つた。わが国のように原料の大部分を海外に仰ぎ,輸送コストの節約のためにも,当然できるだけ良質の原料を輸入,使用する国と,他方,たとえばフランスのように,自国産の低品位原料の活用に意を注ぐ国とでは,使用する原料の品位。に大差がある。したがつて,コークス比だけでいちがいに技術水準を判断することはでぎないが,わが国のコークス比は, 図11-5 に示すように諸外国にくらべて抜群の優秀さである。このような成果はもちろんわが国の製技術の一般的向上にもとづいているが,とくに重要な要因を次にあげよう。

第1に,鉄鉱石品位の向上とその粒度の適正化である。鉱石の平均鉄分は逐年向上し,昭和35年60%から36年61%と高まつた。また原料の事前処理技術の研究と破砕篩分け技術が進歩して,粉鉱処理が徹底して行なわれる,ようになつた。

第2に,焼結鉱使用の増加があり,コークス比低下に大きく影響している。昭和35年10月以降焼結鉱配合割合は50%の大台を越え,36年7月には58%に達し,ソ連,イギリスについで世界第3位となるに至つた。しかも,焼結鉱には自熔性焼結鉱が広く用いられるようになつた。焼結鉱は高炉原料として酸化率,強度,気孔率,鉄分,鉱物学的組成等の品質特性が優れていることが必要である。すなわち酸化率,気孔率はできるだけ大きい方が,被還元性がよいが,一方落下強度と耐圧強度を要求される。この強度を上げようとすれば粉コークスを多量に使用して高温で焼結せねばならないのでどうしても溶融型焼結鉱となりやすく気孔率が低下する。しかも鉱物学的組成からみるとパイアライト(2FeO・SiO2)という非常に還元されがたい化合物を生じる。自溶性焼結鉱がその改善策として考えられるに至つたのはこの点にあり,それは従来高炉へ媒溶剤として直接装入していた石灰石を粉状にして焼結鉱を造るときに一緒に混入した,いわば高炉の完全食糧である。この際石灰石の粒度が重要な要素であり,昭和30年以来研究されて34年から広く利用されるに至つたのである。

図11-5 主要国のコークス比

第3に,コークス灰分の低下と,強度および粒度の適正化である。灰分は,従来12〜13,%が多かつたが,最近ではほとんどの高炉で9%台の優秀なコークスが使用され,強度,粒度ともに研究し,改善されてきて,コークス比低下に最も大きく影響している。

以上コークス比が600を割つた主な原因をさぐつたが,さらにコークス比を大巾に低下させ,出銑量を増加させる新技術として,重油又はコークス炉ガスを吹込む研究が進められており,これに伴い熱風温度600°Cより900°Cまで上昇させている。結果として公称能力1,000トン高炉のおいて銑鉄トン当り71Kg重油を吹き込んだ結果,105kg/tのコークスが節約されてコークス比は504kgとなリ,出銑量は34トン増加したという報告がなされている。


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