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  各論
§11  鉄鋼
I  生産の飛躍的拡大と技術の動き

日本の鉄鋼生産は粗鋼ベースで昭和36年2,820万トンに達し,イギリスを越して世界第4位となつた。過去10年間の生産は 図11-1 にみるように順調に伸びており,粗鋼生産の伸び率は昭和26年を100として,430を示している。これは世界平均の183%に比べ著しい成長で,ここ3,4年急速にのびた中国を除いて主要製鉄国中第1位であり,イタリア,ソ連,西ドイツ,フランスの伸びが日本に続いている。

日本鉄鋼業は,鉄鉱石で70%以上,原料炭で50%以上(昭和35年度実績)を海外原料に依存しているが生産設備の合理化と技術水準向上によつてこのような不利な原料条件を克服し,わが国経済の発展,なかでも重化学工業化と 図11‐2 に示すような順調な輸出の増大に支えられて飛躍的な生産の発展が可能になつたと考えられる。普通鋼圧延鋼材の産業部門別需要量をみると, 図11-3 のとおりで,近年自動車,建設,鉄鋼,電気機械,金属製品向けの需要が大きく伸びていることがわかる。

図11-1 鉄鋼生産高推移

図11-2 鉄鋼輸出入の推移

図11-3 普通鋼圧延鋼材

主要産業部門別需要量(輸出と小口販売業者を除く)の32年,35年の対比このような増産にもかかわらず,人口1人当り粗鋼消費量は207kg(昭和35年)で西ドイツ,スエーデン,アメリカの約半分,イギリス,カナダの3分の2に過ぎず,まだまだ今後の伸びが期待される。

過去10年間の甲種技術導入は,製鉄部門2,製鋼部門5,圧延部門12,特殊鋼部門7,二次製品14部門合計40件(鋳鉄を除く)となつており,とくに主要な導入技術としてい純酸素転炉製鋼法とストリップ圧延技術とがあり,すでに消化しきつて今や生産の一大背景となつている。これらの技術導入と平行して,国内の研究体制も急速に整えられつつある。

各大学および附属研究所としての東北大金属研究所,東大生産技術研究所における基礎研究の進展,金属材料技術研究所の5年にわたる整備と試験研究の開始および鉄鋼メーカーの研究部門の着実な伸びとによつて,研究体制が充実してきたが,鉄鋼各社は近年生産規模の増大にともなつて,将来に対する技術の創造の必要性から中央研究所設立の気運を高めてきた。

研究費についてみると,八幡,富士,鋼管,川鉄,住友金属,神鋼の大手6社の研究費(支出額)の推移は, 図11-4 のとおりで,昭和35年度は前年度の5割増の61億円となつている。このうち固定資産購入額が27億円を占めていることはいかに研究所の設立が盛んであるかを示すものである。また,鉄鋼業全体の研究費は費用額で54億円(35年度)であるが,これに対しアメリカは8.3倍,イギリスは,1.1倍となつている。これらの研究所が充実されて行くにしたがい,わが国の鉄鋼業も独創技術を生み出していくことになろう。

図11-4 鉄鋼業の研究費の推移


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