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  各論
§10  機械工業
III  主要機種別の状況
9.  自動車

わが国の自動車工業の成長はめざましく,機械工業のなかで最も伸び率の著しいものの一つである。とくに乗用車および小型四輪トラックの伸びが著しい。

そのなかでも乗用車の発展はめざましく将来は自動車工業の中心となることが予想されている。このような自動車工業の技術や国際競争力はどのようなものであろうか。

(1)乗用車:昭和27〜28年頃,イギリスのヒルマン,オースチンおよびフランスのルノーの技術が導入されて,日本の乗用車の発展過程において種々の分野において技術的発展に刺激を与えたが,最近では導入技術による乗用車でなく,国産技術によるものが大きなウエイトを占め発展してきている。現存乗用車の大部分はモノコツク構造前輪独立懸架で,トーシヨンバネを使用するものもあり,車体軽量化と乗り心地の改善をはかつている。また高速化とともに4灯式前照灯を採用するものも出現した。ブレーキペダル踏力軽減のために,2リーデング,デユオサーボ,ユニサーボ等の使用が増加し,また運転の簡易化を促進するために,トルコンライト自動切換などの装置も次第に普及されてきている。

生産技術の進歩もめざましく,鋳造,鍛造,熱処理,プレス等の粗形材部門より機械加工,組立塗装などにおける作業の連続化と自動化が進められ,ますます量産体制が整えられた。とくに機械加工面においては機関,トランスミツシヨン部品の小穴の内径研磨に代つてホーニング加工が普及し,またセルフセンタリング・ガンボーリングマシンが採用されて機関バルブポータのシート面とステムホールの同心の精度が向上してきている。ホワイトメタルの軸受も,従来の粗材の代りに,たんざく形のバイメタルを切断して成形する方法が採用されてきている。

自動車の高速化の過程でみると,120km/hを第1期とすれば,150〜160km/hのラインが第2期で,現在の高速化は第2期での高速化といわれている。少数の国では第3期の高速化を準備している。これらの高速化の段階では,馬力荷重の増加,車体の流線形化による速度の増加,軽量高出力の機関の出現,燃料,潤滑油消費率の減少などの課題が発生し,動力性能上の問題として適当な変速比,高速運転の疲れからドライバーを守るための運転および伝動機構,ころがり抵抗および空気抵抗の増加の減少または防止,高速用制動装置の研究課題,また高速における安定性と操縦性の問題がある。わが国の乗用車もパワーアツプされて最高速度は何れも100km/h以上となつて国内需要の面では当面問題はないとしても,国際的に見た場合には高速化についての技術的課題が残されている。

デイーゼル乗用車も研究されているがまだ十分なものはない。

自由化を考えた場合,わが国の乗用車の国際競争力は甚だ弱く,とくに大型車はわが国では1,900cc級が最も大型で,欧米の大型車に匹敵するものはない。1,900cc以下のものについては企業努力によつては競争力を何とか保つことができるものと予想されている。

(2)トラック

乗用車の生産が非常に伸びているが,小型四輪トラックの生産数は依然首位である。小型トラック,特にライトバンは前輪独立懸架も多く,スタイル,性能面で向上している。経済的に有利な小型デイーゼルトラックも製作され始めている。普通車部門では,3.5トン積,6.5トン積みのものも製作され,後2軸の大型車も生まれている。高速輸送の主旨に沿い,過給機付のエンジンで性能を向上し,5トン以上では燃料経済も考えてオーバドライブ付ミツシヨンが普通となり,さらに2スピードリヤアクスルを採用したものも現われている。

(3)バス

バスは軽量化の要請に答え,モノコツク構造が後機関係のみならず,アンダフロア機関形に迄進出し,軽合金バスボデイも製作されている。バスの最終的形態とみなされるリヤアンダフロア機関形も実用に供され,ダブルデツカバスが試作生産された。

小形バスも本格的なライトバスが製作され,構造,性能面における進歩が期待されている。

一方輸出用として,運賃の軽減をはかるためのノツクダウン方式によるバス車体の研究が行なわれている。

これによると運賃は1/3になるので,この技術の完成が要望されている。外国ではこの方式によるバス輸出が盛んになつている。

(4)自動車部品工業

当初の自動車部品工業は,技術的に十分確立されていなく,材料の選択・設計が合理的でなく,性能,耐久性に問題があり,品質・性能の不安定が目立つた。とくに電装品・機関部品に問題があつたが,燃料噴射ポンプ・エヤーブレーキ装置・電装品・暖房装置を中心に25品目につき22件の技術導入が行なわれ,さらに製造技術以外に大量生産方式に関するものも導入され,これらが技術進歩を大いに促進した。また自動車部品工業界が中心となつて,自動車部品の性能向上,ラジエータの性能向上,自動車用瀘過器の性能向上,空気ばね装置の性能向上,自動車の高速化に伴うエンジン部品の性能向上について共同研究を行ない,各メーカにおいてもそれぞれの研究を進めてその技術進歩にはかなり,著しいものがある。しかしなお,その技術水準の向上,設備の近代化が必要とされ,製品の量産化体制の確立と,規格の徹底的な統一が,自動車工業の国際競争力からみて強調されよう。そのコストも国際的にかなり割高であるのも大きな問題である。


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