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  各論
§10  機械工業
II  機械工業における技術(電子及びオートメーションは電子技術参照)
5.  潤滑

機械の進歩にしたがつて,驚くべき速度・荷重・温度の諸条件が機械細部に課せられ,機械細部に対する潤滑の重要度と関心がいちじるしく高まり,この面の学問,技術も飛躍的に進歩してきている。わが国では1956年に潤滑学会が誕生し,多くの成果をあげてきた。

CRCの潤滑油評価用エンジンの試作研究,切削油技術研究会の切削油の調査研究,ろ過器の研究,潤滑剤の異物に関する実態調査等の研究,調査が行なわれた。しかし潤滑についての研究は諸外国に比べると,まだ手薄であり,今後さらに多くの力がこの分野に注がれることが必要とされている。潤滑の研究と技術の進歩にかかわらず,軸受などの負荷容量,耐焼付性,耐摩耗性;軸受材の寿命;潤滑剤の耐熱性,潤滑性能評価法の確立,給油の自動化などの諸要求に対して学問と技術の面から解決すべき問題が多い。最近の技術動向の要求は次のような状況である。

(1)潤滑剤:添加剤入り高級潤滑油の質・量の進出はめざましく,とくに無灰清浄分散剤が脚光を浴びてきている。研究も摩擦と摩耗の防止という立場からの研究に基礎がおかれている。
(2)潤滑法および潤滑装置:工作機械のスピンドル軸受,その他高速,高負荷能力,高精度の軸受,探動スラスト方式のスラスト軸受,気体軸受,プラスチツクス軸受等のすべり軸受の潤滑が着実に前進しており,とくに多面すべり軸受の進出は注目されている。 ころがり軸受の潤滑では,排気タービン用玉軸受の研究が注目され,実用面ではセンジミアシルの軸受をはじめ,工作油・作動油・燃料などによる潤滑がふえ,問題がいろいろでてきている。このほかシャーシ潤滑は,今後の問題と思われているが余り進んでいない。また塑性加工の潤滑では,被膜処理および二硫化モリブデンの進出が。 めだち,なかでも固体潤滑剤をコーチングして使用することと二硫化モリブデンの使用が目立つている。なお近来における潤滑装置の傾向は,高能率化,自動化の方向に向つており,潤滑技術もかなり近代化してきている。さらに各種給油装置,噴霧潤滑装置,集中潤滑装置などにも著しい向上がみられる。
(3)密封装置およびろ過装置:ブルドーザ,自動車,オートバイなどのころがり軸受の損傷の大半が密封装置にあることが明らかになり,改善が行なわれた。ろ過については,大型ろ過装置における自動化と連続ろ過に工夫がみられる。樹脂加工ろ紙を用いた拡張表面ろ過器,焼結合金ろ過器,けいそう土ろ過器,マグネチツクフイルタ,遠心分離浄化装置の発展が著しい。また,歯車ケースに強制潤滑を採用し,ろ過器を十分に活用した方式が歯車箱の温度,軸受の摩耗や腐食の点ですぐれていることが明らかにされた。
(4)潤滑管理:製鋼機械,車両用ジーゼル機関などで進んでいる。 より進んだ潤滑技術が,十分に機械設計に採用され,より合理的な機械の設計および需要者の立場にたつて,より経済的な機械の製作が今後の機械技術の大きな方向となろう。その意味では潤滑は機械の技術のうちで最も重要な分野の一つで,今後の研究,開発が一層要望される。

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