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  各論
§10  機械工業
II  機械工業における技術(電子及びオートメーションは電子技術参照)
2.  生産加工技術

生産加工技術は,機械の製造工程においてその品質の向上と経済的生産のために最も重要な技術の一つである。機械の精度向上,生産性の増大,自動化の急激な発達につれて,生産技術の発展・開発が要求されている。欧米諸国が相当古くから研究を続け,その成果として現在見られるような強固な機械工業の基礎を作りあげたのに比べると,わが国の生産加工技術は,各分野においてかなりの遅れがあるのが現状である。しかし最近では生産加工技術の研究開発を重点的に実施するために,研究体制を拡充する必要のあることも政策的に取り上げられ,民間の研究努力により着々と成果をあげつつある。
(1) 鋳造技術

鋳造技術の水準は,機械の性能を左右するといわれている。わが国ではこれまでにノジュラー鋳鉄,ダクタイル鋳鉄などの強靭鋳鉄と,従来の砂型法に代り,機械化や自動化が可能であり,寸法精度の高い鋳肌のすぐれた鋳物を大量かつ均一に製品を生みだすシエルモールド法や金型法などの新らしい技術が採用されて,さらに改良が重ねられている。しかしこの新らしい技術も普及と生産性については多くの問題を含んでいる。
(a) 技術の進歩

(i)鋳鉄鋳物:球状黒鉛鋳鉄の鋳造技術が向上し,品質,信頼性がともに向上しており,とくにFC50,FC20なとは品質・信頼性共に向上している。溶解ではキュポラの大型化,有効高さ比の増大,材料の機械装入,風量の自動制御,平衡送風の実施等,高級鋳鉄製造の方式に集約しつつある。ダクタイル鋳鉄ではホスホライザ法に代り圧入法が一般化し,Mgの添加歩留りも良好となつている。造型も100ワク/日から400ワク/日と能率が向上してきている。熱処理では,アメリカでは既に一般化しているが,パーライト可鍛鋳鉄用の雰囲気調整大型トンネル炉が最近建設され始めている。国内技術のセンダイトメタル・OZメタルも実用化し,ダクタイル鋳鉄と同じ用途に採用されている。また,可鍛鋳鉄は技術の向上により鍛造品の分野にまで進出しようとしている。
(ii)鋼鋳物:シエルモールド法,エヤセツト法,CO2 法が一段と普及し,造型機による生産性の向上,品質の安定がある。溶解では大電力,高電圧による迅速溶解が採用され,塩基性電気弧光炉溶解が主体となつてきている。フエロモリブデンの代りに酸化モリブデンを使用して原価の低減,歩留りの向上がみられる。このほか鋼中へのNi添加作業,粉末材料の溶鋼中への直接噴射による脱硫法が注目されている。 (0.055%Sの低硫)
(iii)非鉄合金鋳物:生産量の増加とアルミニウム合金ダイカストの生産量が増加している。
(iv)鋳造機械設備:自動化,大型化,専用化の線での合理化が進んでいる。 鋼用大型電気炉の設置,鋳鉄用の有鉄心無溝形低周波誘導炉の輸入,サンドミルクラツカの大型化,高能率化,鋳枠寸法1,200×1,200の自動式大型造型機の国産化,シエル鋳型の中子への利用,清掃装置としてショットセパレータ付の連続ホイールアブレータの国産化,加圧ダンプ方式反転排砂シエルブローイング機の製作などが設備における主なる技術動向である。一方運搬の合理化・作業の流れを主眼とした工場設備の配置,集塵装置の問題が残されている。

(b) 普及と生産性の問題点

新らしい鋳造技術の導入とその進歩にもかかわらず,その普及の程度は強靭鋳鉄は,わが国の銑鉄鋳物業社の3%,シエルモールド法は8%程度の普及で,とくにシエルモールド法による製品の比率はアメリカの25%(1957年)に対し,日本は1.1%(1958年)である。さらに生産性においては,日本はアメリカの1/4強,イギリスの1/2程度である。さらにアルミニウム鋳物については,アメリカがダイカスト法,イギリスが金型鋳造法を主流とするのに対し,わが国では旧式の砂型鋳造法が依然として主流となつて残されている。また,鋳物の材料についても,日本では銑鉄が高いので屑鉄を使用することが多く,技術的に同じ水準の場合にも,使用材料のために鋳物の品質が低くなることも多い。基本的な製造技術である鋳造には解決しなければならぬ点が多い。
(2) 塑性加工技術

塑性加工は量産に適し,合理化とコストの低下に有効な技術である。

(a)鍛造:自由鍛造ではR.R鍛造法の採用とマニピュレータの使用が多くなつたが,アメリカで自動運転およびワンマンコントロール方式の新らしい液圧鍛造プレスが使用されているのに比べ,まだかなりのおくれが目立つ。また,ソ連では溶鋼より直接するが,日本ではAl,Si系合金で研究中である。型鍛造は,日本では未だ一焼鍛造を行ない難いものが多く,粗形,荒地が不適当で仕上打回数が多いので,アメリカに比べて金型の寿命はかなり短いが,最近,高圧水によつてデイスケールすることが型鍛造に一部利用され始め,型の寿命を延長できるようになつている。鍛造機械としては,鍛造プレスがハンマーに代りつつある。外国では6,000t,4,000tのものが設置されているが,日本では小型のもののみである。型彫機械として昭和35年にイギリスで放電加工によるものが発表され,わが国でも一部の工場で研究され,専用の放電加工機を計画中である。また,最近わが国で最初の200t摩擦プレスが製作された。

(b)板金加工

(i)プレス機械:ターレットポンチプレスの数値制御など,プレスの自動化・半自動化が一段と進歩し,トランスファープレスによるプレスラインのオートメーシヨン化も普及し,プレスの高速化と共に生産性を高めている。 さらにプレス加工の精密化・プレスフレームの応力解析・動的特性・フレーム設計の研究が有効に進んでいる。
(ii)その他の新らしい加工法:最近最も華々しく脚光を浴びた高エネルギー高速度加工法は,寸法の正確さと加工時間が短いという利点をもつている。 大型の高力耐熱合金の成型に効果的な火薬の爆発力を利用した爆発成形法,水中高圧放電による成形法が一部実用に入つた。また,アメリカのボーイング社の冷却成形は,加熱成型の精度向上に新らしい途を開いたものとして注目されている。さらにシゴキスピニング,引張り成形,ゴム型成形の研究開発が要望されている。

(c)歯車の転造法:塑性加工を利用した歯車の新らしい工作法として脚光を浴びてきている。ソ連では高周波加熱による大型(dia500mmモジユール100)熱間転造設備を設置し,アメリカでは常温で歯車類似のセレーシヨンを行なつている。

今の所実用化には問題がある。
(3) 切削加工法および研削加工法

(a)切削加工:切削速度をあげて単位時間当りの切削量を大きくし,高能率化をはかろうとするのが最近の動向である。すなわち工具が著しく改善されて高速度鋼から超硬合金に移行すると同時に,工作機械も進歩して高速回転が可能となつたので,切削速度も100m/min以下であつたものが現在では200〜400m/minが常用切削速度といわれるようになつてきた。

しかも工作機械はますます高速化する傾向にあり,一方工具も新らしいセラミツク,サーメット工具等が高速切削に適したものとして出現してきて,切削速度は同様に高速へと移行しつつある。高速切削は,加工時間が短縮し,切削抵抗も低下するため機械に加わる力が少なく加工精度が向上する。仕上面が平滑になる等の長所があるが,切削温度の上昇とそれの工具への影響,機械剛性の高度化,部品の高精度等技術的に解決すべき点が残されている。

(b)研削加工:研削砥石による加工法で,その切くずは極めて小さく,かつ研削速度は切削の10倍〜数10倍の速度である。

機械工作が精密化されるにつれ研削作業の飛躍的な進歩が要求されており,その近代化が要望されている。研削砥石は切削工具にくらべて,非常に複雑な要素から構成されているので,研削の問題を根本的に研究して,研削作業を高度化するためには,砥粒の切削現象の解析・砥粒の摩耗・研削現象の解明が要望されている。

(c)工作機械によるプロダクシヨン・システム生産方式に関して,最近は大きく見解が変化してきている。トランスフアーマシンによつて代表されるいわゆる,デトロイト型のマスプロダクシヨンは,必ずしも合理的かつ最新式のものでなくなつている。それに代り,製品の種類が単一であることを条件とせず,また,その量が問題でないようなある生産方式をとることが,新らしい意味でのマスプロダクシヨンであると考えられるに至つている。それはオートメーションの発達により,機械の作動を連続させながら,製品には,大きなFlexibilityをもたせ,中断のない統計的に安定したオペレーシヨンをする方式である。そして機械や制御装置にmodular constructionを採用して必要資本を最少たらしめることができる。数値制御の工作機械のように,その仕事は連続であるが,テープの指示により種々の形のものを加工し,製品は多種多様であるものは,その代表的な例であるといえよう。代表的な工作機械について実際の動向を検討してみよう。

(i)複合工作機械:品物を最少のセツト回数でできるだけ多くの工程を完了することにより精度の向上と工数の低減を目的とし,複合性を附与された機械である。 複合工作機械による加工では,従来の工作機械に比べて,死節時間の減少と生産性の向上をもたらし,取付替による歪が少なくなる。使用されるのは,如何なる形状,如何なる材質の工作物が来るのか分らないようなジヨビング工場,タービン・ボイラ・ディーゼル・コンデンサ等品物は一定であつても形状の異なる機械を加工する工場に適している。わが国では横中ぐり,横中フライス複合機の普及が拡大している。欧州では倣い旋盤とタレツト旋盤を複合させたタレットVDFのように工作機械の複合化の傾向がある。将来は数値制御化される見通しである。
(ii)トランスファーマシン:かつて,オートメーシヨンの代名詞のように考えられたトランスフアーマシンは,電動機・自動車・車両部門にかなり普及したが,実用上から種々の反省が加えられている。 すなわち資金・採算の面より考えて,生産の目標が機械の生産能力に合致することが第1の原則であるが,実際には理想通りにならないことが多い。トランスファーマシンが計画されてから使用されるまでに大体1〜2年かかるので,モデルの変更や製品需要の予測に誤りがあると当初から問題を生ずる。 また,これまでの使用実績から次の諸点が問題点として指摘されている。 (イ)取付具は需要者側が設計して作るものであるが,取付具の原因による事故が多い。(ロ)工具の交換をいかに迅速に行なうかがとくに鋳鉄・鋼を削る場合に問題である。(ハ)工具の寿命・耐久度・切れ味の良否が加工品の精度に関連して問題である。(ニ)加工品のばらつく原因の一つに,切削油の中に入つた切削屑があげられるが,その分離とか,切削屑が加工面と取付け具の間や加工物と規準面の間に入つたり,電気制御機の中に入るために生ずる事故の防止が問題となつた。とくに鍛造品の場合には,切りこを切らなけれぱならないことが設計の時に考慮されなけれぱならない。(ホ)電気品・油圧機器・リレー・リミツトスイツチの事故が多いので,信頼性のある部分が必要である。 トランスファーマシンは,現状では本当に役立つものを要求に応じてメーカーが製作する陣容が十分でないので,むしろ自家製の少し性能は低くても簡易形のものが増加する傾向があり,多少の設計変更があつても融通のあるパレットタイプのトランスフアーマシンがより適当であろうと要望されている。また,簡単なトランスフアーマシンは中小企業にも採用される可能性があると考えられている。わが国では現在では製作したトランスフアーマシンが使いものにならないということはなくなつてはいるが,デトロイト型のトランスフアーマシンの採用にはかなり批判的であり,わが国の事情に合致したものの開発が要望されている。
(iii)数値制御工作機械Flexibilityがあり,短時間にかなりの生産能力を持つ能率のよい生産ラインが,合理的な生産方式として関心が寄せられている。数値制御の工作機械は,こうした合理的な生産ラインの自動化機械として注目を集めている。数値制御方式では,テンプレート等の基準となる母型を一切使用せずに,予め穿孔テープや,磁気テープに仕様をデイジタル記号の形で蓄積しておき,この指令情報によつて一連の工作を連続的に行なわせるもので,品種を変更するときは,指令テープの交換だけでよい。そして小規模の生産でも大規模生産の場合と同じコストで製作することができるので,日本には今後大いに普及することが予想されている。アメリカでは既に一般工作機械にまで数値制御を使いこなし,小さな工場でも十分の効果を発揮している。他方,数値制御された3ユニツトのあるトランスフアーマシンもあらわれている。欧州では主として位置決めに使用されている。 わが国でも,大学・研究機関の先鞭とメーカーの開発研究の努力およびユーザーの積極的な協力により,独創性のある方式の完成をみた。工場で稼動するものも数十台に達し,普及の機運が生れつつある。普及に大きな影響をもつのは,生産の規模と加工の種類に対し,どの方式,どの機種がよいかという点についての十分な研究とその経済性についての明確な見通し,および機械の精度や故障のない運転等の信頼性があげられる。そして数値制御も,もつと制御の容易な方式や,使用目的に合致したものの開発が必要であるとされている。

(4) 特殊加工法

機械工作の分野において,工作機械の切削・研削加工法以外の新らしい原理の加工法が登場してきている。そのおもなものの動向はつぎのようなものである。

(i)超音波加工:超音波周波数で振動する工具が砥粒を介して被加工物を機械的に衝撃し,またはラツプして微細な加工屑を生じさせて加工を行なうものである。硬質,超硬質,脆質の金属および非金属の孔あけ,切断,平面加工,表面仕上,ねじ切り,彫刻等の加工が可能である。加工精度で数μ,仕上面あらさは0.2μ以下にすることができる。その他テフロンのような非金属材料の加工,機械加工後のバリ取り,バイト切削の時のバイトや放電加工機の電極に超音波を与えることも注目されている。
(ii)放電加工:液中で向い合せた電極と被加工物の間に電気的エネルギーを放電という形で直接被加工物に与えて加工を行なう方法で,機械加工分野に大きく進出している。この技術は国内で独自に開発されたものであるので,今後の研究,活動分野の拡大が期待されている。抜き型や成型の製作に使われる火花放電加工,ジユール熱を利用して硬質材料の切断をする接触加工,その他切り取り加工ではないが表面被覆加工,放電時に生ずる圧力を利用して金属を成形する放電成形法,焼結と同時に成形する粉末放電加工法が注目されている。加工法としての長所としては,電導性の良好な金属であれば,その機械的性質に関係なく,真鍮,銅等の電極を用いて加工が出来る。加工精度もよく,小さい穴や細い穴の加工も容易である。熟練を必要とせず数台の機械を同時に運転できる等の諸点がある。しかし,電極の製作に時間がかかり,かつ消耗が多いこと,位置決めが難しいこと,加工速度のおそいことが欠点である。
(iii)噴射加工:粒子を被加工物に噴射して加工する方法で,シヨツトピーニング,グリツト・ブラスト・液体ホーニング等がある。 この方法は,バネ,軸,歯車に対し疲労強度を増加させたり,潤滑性を向上させるために用いられている。その他梨地処理とか前処理用として採用されている。
(iv)電鋳加工:原理は電気メツキと同じである。その原理は古くから考えられていたが,加工時間の長いこと,コストが高いために余り発展しなかつたが,他の加工法ではできない精密加工ができる特徴がある。
(v)電解加工:金属の電気分解を有効に利用した加工法である。この方法は工具が消耗しないこと,素材の硬さに関係なく金属であれば加工できる。 一工程で複雑な形状の加工ができる。 電流密度を大にすればそれに応じて加工速度を早めることができる。加工による歪みがないなどの特徴をもつている。エレクトロシエービングと呼ばれる加工法は研削よりもはるかに速い加工速度をもつているので,各種硬質金属の加工に新らしい道を拓くものとして注目されている。この方法による鍛造で粗加工したジエツトエンジンのタービン翼を,従来の精密研剤で1〜2時間がかかつたのが,10分間で仕上げるのに成功した。
(vi)化学的加工法(ケミカルミーリング):フオト・エツチングの原理を応用して精密な製品を作る方法で,加工しようとするパターンを大きな原画に作り,これを写真的に縮小し加工しようとする金属面に焼きつける。それに耐食性の複膜を作つてから加工液に浸漬して化学反応を起させて露出面の加工をする。この方法の特徴は,1)機械的な加工ではできない複雑な形状の加工がでぎる。2)特殊な工具を必要とせずに多量生産に適した非常に広い面積の加工ができる。3)任意の内面上の加工も平面上と同じように加工できる。 4)機械力を加えないので材料の物理的性質を変化せずに,軟質,硬質何れの金属にも応用できる等である。この方法は航空機部品,自転車ボデイなどの肉抜き,板状材料の切抜き・穴あけ,航空機パネルに外国では利用されている。さらにカラーテレビ受像管用のシャドウマスク,電子線のマスキングを正確に行なう無数の穴を非常に高い精度で一面に加工できる。その他金属性のフイルタ,トランジスタの電極を蒸着するマスクの製作にも応用される。 わが国では今後の応用が期待され,その技術の発展と向上が要望されている。
(vii)電子ビーム加工法:電子銃によつて電子の流れをつくり,電子レンズを使つて電子ビームを小さな焦点に集束させて加工物に衝撃させて加工する。 この技術は先端をゆくものとして注目されている。この方法は,従来の方法では不可能なような微細加工が可能である。また真空中で加工するので,材料の汚染がない高温材料の加工が出来る等の特色がある。カラーテレビ用のシヤドウマスク,合成繊維用のノズル,ブラウン管のグリツド等の応用に注目されている。将来は溶接への応用の可能性が予想される。

(3) 溶接および接着剤の利用
(a) 溶接

機械工業に広く使用される溶接技術は,製造技術として重要な地位を占めており,日進月歩の勢いで溶接用材料および新らしい溶接法の開発と実用化が進められている。わが国の溶接技術もここ数年来格段の進歩をとげ,世界的な水準に到達しようとしているが,新らしい方法とか自動化の点についてはまだ遅れがある。

以下最近の主な溶接技術の動向を概観する。

(i)炭酸ガスアーク溶接法:高能率・経済的で半自動および自動溶接が,下向き,水平隅肉溶接のみ,ならず,短絡移行現象の利用や銅壁の使用によつて横向き,縦向き溶接も可能となつた。またアークスポツト溶接・裏波溶接もでき各種の軟鋼,高力鋼,ステンレス鋼にも適用され,さらに原子炉関係の構造物,圧力容器に実用されつつある。
(ii)エレクトロスラツグ溶接:かなり以前にソ連で開発されたもので,板厚40〜50mm以上の重機械の垂直溶接に有効である。わが国では当初ベルギーよりバートマデツク溶接装置が輸入され,その後国産化もされたが,大型の発電機器,圧力容器に実用化されつつある一方,一部ではまだ研究中である。
(iii)プラズマジエツト法:高温がえられるので溶接,溶断,溶射に応用されようとしている。
(iv)電子線溶接:1950年頃より,フランス,ドイツで開発され,原子炉燃料棒のジルコニウム被覆の溶接などに利用されており,大気と反応し易い材料を10-1〜10-5mmHgの真空中で溶接するもので今後の利用が注目されている。
(v)超音波による圧接・ろう接:溶接困難なTi,Zrなどの活性材料およびこれらとステンレス鋼や低合金鋼などの他金属との異材継手の場合に応用できることから有望視されている。
(vi)誘導加熱溶接:これが実用化されたのは未だ新らしく,わが国ではまだ本格的に採用されていない。鋼管の突合せ溶接・シーム溶接に適用される。 またこれに関連して高周波抵抗加熱溶接法の開発が要望されている。
(vii)その他:黒鉛,サーメツト,セラミツクなどを接合するための真空ろう付法,摩擦熱と機械的圧力の併用による摩擦溶接(ソ連で実施されている)の開発に期待が寄せられている。
(viii)自動化:鋼材のアーク溶接の自動化は6%程度で,大部分が手動なので自動化が大きな課題となつており,この面ではわが国はかなりおくれている。

(b) 金属接着剤の利用

金属接着剤を構造物(英国のコメツト機,スイスの鉄道車両,自動車の台枠の組立,エレベータの組立て),機能部品(印刷回路,精密機器の廻り止め,電気部品の境面の接合),密封(分圧胴体の気密,主翼の外板と桁と小骨の接着),高圧油配管,蜂巣構造に盛に使用されてきているが,日本ではまだ欧米ほど一般に採用されるに至つていない。これらの応用例では構造物重量が軽くなる;疲労の強さが増す;外面が滑かになる;気密が保持できる;製作費が安くなる;設計が合理的になる;鋲付より合理的になる等の効果があるので,この種の技術は今後その比重が増大してくるものと思われる。現段階では接着後の検査ができない:接着作業・準備作業の高度の管理を必要とするという欠点もある。

接着剤としてアルダイト(スイス),エピコート(イギリス),リダツクス(イギリス),プライボンド(アメリカ),PR系シーラント,EC系シーラント(アメリカ)等が有名であるが,日本ではこの方面に対する関心が未だ薄い。

接着剤を積極的に機械工業に応用することにはかなりの遅れがあると考えられる。


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