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  各論
§9  繊維
III  わが国の繊維工業の問題点

「われわれは自己の持つ数少ない種類の繊維のコスト引下げ,品質改良などに全力をあげているのに,なぜ日本は過剰設備を持ちながら,なおかつあらゆる化学繊維の生産に着手し,また一つの繊維を多くの会社が競つて工業化するのであろうか。」という言葉はよく海外で呈せられる疑問であるが,わが国の繊維工業の問題点を最も端的に表現している。

これまではある程度やむをえない点があつたことを認めるとしても,過当競争の問題は今後われわれが解決すべき最大の問題である。

現在わが国の繊維工業技術は,戦中から戦後の空白を完全に取り戻し,世界的な技術水準にまで回復し,一部国産技術の輸出さえ見られるようになつた。しかし,内容的にはそのほとんどが導入技術,輸入機械によるもので独自に開発した技術は数少ない。追いつくまではやむをえなかつたとしても,一たん追いついた以上はどうすべきか,われわれは今日転機に立つている。

各国で開発した技術を相互交換するという技術の国際分業が進展しつつある今日では,独自の技術の開発が今まで以上に今後のわが国の繊維工業発展の鍵となる。

そのためには,関連工業の基盤強化はもちろん,基礎科学,生産技術,消費科学等,一連の研究を総合的に推進することが必要である。しかし,新技術の開発には,多くの人材と金と時日を要する。世界的規模では中小企業に過ぎないわが国の企業が研究面でも過当競争,重複研究を続けるとしたら,その成果は期待できないであろう。

研究体制を整備して独自の新技術を開発し,生産体制を整備してその育成をはかることが望まれる。


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