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  各論
§9  繊維
II  繊維工業技術の動向
7.  縫製

戦後の衣生活の簡易化の流れにのつて,逐年,既製衣料に対する需要が高まり,縫製工業は質量ともに発展している。

しかし,その内容は依然前近代的といつてもよく,家内工業的な下請企業に頼り,設備の近代化も遅れている。現在,人手不足が最大の隘路となつているが,これを解決するためにも,縫製工業自体の組織化,合理化がすべてに先行するといえる。

技術面で縫製工業に望まれることは,まづサイズの規格化,細分化である。昔から既製衣料の普及している先進諸国では,国民の平均体位が絶えず測定され,これに基づいて統一した規格がつくられ,必要なサイズが取り揃えられている。使用注意をも含めた品質の表示,わが国の風土に合つたデザイン創出も重要な課題である。

デザインの重要性は輸出縫製品に対して一層大きくなる。縫製品の輸出は,繊維貿易の高度加工品化という世界的傾向にともない年々増加し,輸出産業としての地歩を固めるに至つているが,内容的には問題が多い。値段の割に品質が良いことが,輸出の伸びている最大の理由であるが,輸入制限が強化されつつある現状では,これを高級品輸出に切り替える必要がある。縫製品の場合,高級品か否かは,結局デザインの良否できまるから,オリジナルなデザインの創出が先決問題である。

ただ,イタリアのデザインはそのままイタリア国内にも海外市場でも通用するのに反し,気候,風土,習慣を全く異にするわが国のデザインは,そのままでは海外で通用し難い面が多い。

このような環境の不利をどう克服するかが大きな課題である。また,高級品化に関連して,従来の規格品量産方式を多種少量生産方式にどう適応させるかも問題であろう。


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